オオカミが羊を食べちゃう
オオカミが羊を食べちゃう
動物は肉食動物と非肉食動物にわけられる:つまり,「動物=肉食+非肉食」だ.だから,羊たちの島にオオカミを何頭か放り込むと,その島にすむ動物の数は増えるよ.
動物=肉食+非肉食
この論証がおかしそうな理由はすぐにわかる.「オオカミが羊を食べちゃうでしょうに.」 でも,オオカミと羊についてそういう事実を知らなかったら,この論証はすごくもっともらしく聞こえるはずだ.でも,「動物 = 肉食 + 非肉食」の恒等式は,世界についてまるっきりなんにも伝えてくれない.
オオカミが羊を食べちゃう
この式は,定義により正しい会計の恒等式だ.
会計の恒等式
この式が伝えてくれることはただひとつ,世界をどんな風にわけるのを選んだかってこと,それだけだ.そして,世界をあれこれにわける方法なら無限にたくさんある.
世界を分ける方法なら無限にある
訳注;「アイデンティティ」(“Identity”)には「恒等式」という意味もある
アイデンティティ経済学は悪い経済学なり=恒等式だけを頼りに何かを言おうとしても見当違いに陥りやすい
といった意味が込められている