つながるための余白を空けておく
気持ちを言葉にするとき、どうしてもディテールは失われる。かたちが似た別のなにかへ置き換えるために輪郭が弱まって、その言葉を読む人が自分と重ねる余地がうまれる。異なっているはずのものが、なんだか重なって見えてしまう。そういう言葉を、僕は詩だと思う。だから、詩を書くことは、きわめて具体的な言葉を扱いながら、どうすれば輪郭を溶かして抽象化させていけるのかという技術のように考える。遠くにあるものを近くへ引き寄せて、言葉のピントを外していく。そうやって、誰かとつながるための余白を空けておくのだ。