その最初の数十ページの基礎の思考
その最初の数十ページの基礎の思考
群論の入門書を読み、非常にシンプルな規則からものすごい広がりが生まれていると錯覚していたのだが、歴史的には逆で、さまざまな分野の議論が整理され削ぎ落とされて成立したものらしい。
「その最初の数十ページの基礎の思考が重要」というのはそういうことだろうと思う。
ここまで、私が接してきた数学のことを書いたが、まだどれも入り口だと考えている。いろんな数学書(解析や多様体や複素解析など)を読んできたが、その最初の数十ページの基礎の思考が重要だった。その先に、万華鏡のような綺羅びやかな数学の世界が広がっていくことも想像できる。しかし、それは美術人の理解の範疇ではない。
それよりも私にとってかけがえないことは、その入り口にある精密な思考、そこから生まれる広大で「自由」なアイデアだった。改めて、それは感性の塊のような「詩」だとも思う。その自由さに圧倒されながら制作を続け、自分の狭かった心も広がっていくことが、何よりも嬉しかった。