「自分がドライバーをやる」それが目的で、そうする予定で、チームを始めたのです
「自分がドライバーをやる」それが目的で、そうする予定で、チームを始めたのです
F:ホーナーさんはもともとレーサーで、25歳の若さでシートを降りてマネジメントに集中されるようになったと伺いました。どうしてそのような早い時期に見切りをつけたのでしょう。
H:もともとは良いスポンサーが見つけられず、そのために資金も少なかった。それで良いチームに行けないところから始まりました。良いチームに行けなければ、レースで勝つことはできません。それでは埒が明かないので、自分のチームをつくろうと決めました。チームのマネジメントをして、ファイナンスも付けて、自らドライバーもやって、トラックを洗ったりもしました(笑)。ええ、全部自分でやりました。「自分がドライバーをやる」それが目的で、そうする予定で、チームを始めたのです。
F:なるほど。ご自身がドライバーをやるために、自らチームを設立された。そもそもどうしてレーシングドライバーになろうと思ったのでしょう。
H:レーシングドライバーを志した理由ですか。スピードが大好きだからです。それとナイジェル・マンセルの存在が大きいです。イギリス人のとても優れたドライバーで、偉大なチャンピオンです。彼に憧れていました。彼のようになりたいと思いました。それでカートから始めて、そこで奨学金も取って、F3で走るようになりました。ステップアップして、F1のテストドライバーも経験しました。F3000という、今で言うF2みたいなところでも走りました。ここまでは多くのドライバーと同じプロセスです。
F:今までレース以外の仕事をしたことはないのですか?
H:ノー。他の仕事をしたことはありません。
F:興味もありませんか。
H:18歳で高校を卒業したときに、「レースを1年間だけやる」と決めていました。1年間の結果を見て、レーシングドライバーで食べていけるかどうか確かめてみようと。勝負してみようと決めたのです。1年間やって芽が出なかったら、自分には向いていないのだなと判断するつもりでした。そうしたらレースをやめて大学に進もうと。結果、しばらくはレースを続けられたので、私は大学を出てないんですよ。
F:レーサーになった初めの1年でもしうまくいかなかったら、大学に行って何か他の仕事をしていたかもしれない、ということですか。
H:その通りです。「レースではない何か」をしていたのかもしれません。