COVID-19 2021/9
2021/9/1
感染者数が増え過ぎて、データを疑いつつ見ないといけない事態になっている
信用出来ないデータを使用して、信用に足る分析を行う、ということ
基本再生産数(※何も対策しない場合の一人当たりの二次感染者数の平均値)で言うと5を超えるような感染症を、人の行動を制限することで食い止める経験は、過去に一切なかったことだと思います。
しかも、社会経済活動はそれなりに続いています。すごく制御にとって後ろ向きな条件下なのです。緊急事態宣言が長引いて、声が届いているとは言い難い。中でも、オリンピック開催の心理的な影響は相当大きかったと思います。
宣言に効果がなく、ますます医療が厳しくなったらさらに厳しい措置をしなければなりません。どうしても仕方なければ、立法でロックダウンを考えてほしいという議論もこれまでになされてきました。
そんな中、私権が制限され、経済的な影響も甚大である対策を打たずに済む可能性が出てきたのは、本当に良い兆候だと思います。
ですから、ここで再上昇が起きないように、さらなる対策が必要ならやる。確実に減らすことが必要です。学校再開がある9月に、社会全体で接触が増えて感染が再び増えてしまうことは何としてでも避けたいです。
2021/9/2
ーーオリンピックもあり、お盆に4連休とみんな結構出歩いていた気がします。感染力の高いデルタ株でも感染者が減ったのは不思議です。
デルタ株の流行が起き、他の国の流行状況も見ていると、人出がこれだけある中で減らすのは「もう無理かもしれない」と本気で思っていました。
7月の4連休や盆での移動は制御できていませんでしたし、実際にそれに伴って地域で感染者数が増えました。
だから、感染者が落ちているかもしれないデータをこの数週間見ている時、なぜなのだろうとずっと思考を巡らしていました。
当初の予測と違って、なぜここまで感染者が減ったのかを考えているのですが、いくつかの仮説があります。だいたいわかってきた4つの仮説を共有しましょう。
仮説1:リスク認識による自粛と緊急事態宣言での接触減
仮説2:ワクチンの普及
仮説3:若年世代の行動の変化と自然感染による免疫
仮説4:気温の影響
この中で言うと、一番あり得るのは1+2です。リスクを認識してハイリスクの接触を避けたことと、予防接種が進んでいることが合わさって減っているのだろうと思います。
1の評価はすごく難しい。7月後半は専門家がたくさん警鐘を鳴らしました。僕たちとしてはオリンピックの影で報道されにくい流行状況を何とか知ってほしいと思って必死に訴えたのです。
しかし、2や3については科学的アプローチとしてできることがあります。
今、人口のそれぞれの年齢群や社会リスク層の中で何%がまだ感受性(感染する可能性)を持っていて、今後感染する可能性があるかを定量的に(数値として)把握できていません。これが結構大きな問題です。
第1波、第2波の時は、厚労相の特命で、年齢群別に血清サンプルを大規模にとって抗体の有無を調べる疫学調査が行われました。日赤のデータや病院のデータがありましたね。
「血清疫学調査」というのですが、研究レベルでの実施も重要ですが、大規模に把握しないといけないので国レベルでやらないとダメです。今のところ、日本では大規模に系統立てて実施できていません。
リアルタイムでその状況が把握できれば、感受性を持った人口サイズがわかりますので、結果としてデルタ株の基本再生産数もわかります。いま何%の人が免疫を持っていて、自粛がこれぐらい行われているから、流行対策がなかった場合は血清データからすると再生産数はいくつだな、とわかる。そうすると、対策がもう少し客観化される。
日本ではそれを知ることができない現状は問題です。僕もとても興味のある学術課題ではあるのですが、毎日のリスク評価に必死になって手が回らず、このリアルタイム調査に手が付けられていないことを残念に思っています。
2021/9/3
新型コロナウイルスワクチン接種後の社会における感染拡大
2021/9/7
https://gyazo.com/5944729607419f1009d10a547fef07ff
決定論的SIRモデルを用いたシミュレーション
希望者へのワクチン接種が完了したとする状態で次ページ以降のさまざまな仮定にもとづき感染拡大をシミュレーションし、その結果から、1流行シーズン(150日間)での累計死亡者数を算出した。
https://gyazo.com/dc07d73cacba79d2c7c224eec92e382e
https://gyazo.com/93aa6e2dc85884b5128418d2610a18dc
https://gyazo.com/81dad2725c5f4163b22d5a2a8485c243
ワクチン接種の進展と日常生活の変化に関する提言案について
2021/9/7
https://gyazo.com/81cbb4fedd46da37e8c37e259196ae51
国内流行はいつ始まったのか
デルタ株のウイルスが最初に報告されたのは2020年10月だったが,その後の半年ほどはほとんど検出例がなかった。ところが2021年4月にインドで大規模な流行を引き起こした後,世界各国で検出されるようになった。 国立感染症研究所の調べでは,8月上旬時点のCOVID-19陽性者に占めるデルタ株の割合は関東で90%以上,関西でも80%と推定されている。4月の第4波の流行ではそれまでの流行株が「アルファ株」(B.1.1.7系統,2020年12月に英国で感染拡大が明らかになった)に置き換わったが,それと同じ現象が短期間で繰り返されたことになる。
一体いつから国内におけるデルタ株の流行は始まったのだろうか。感染研がデルタ株感染者のウイルスのゲノム配列を手掛かりに感染連鎖のネットワークを解析したところ,5月上旬から国内各地で同時多発的にデルタ株の感染連鎖が起こっていたことがわかった。
関西や中京,南九州,関東などで個別に発生した6つの感染連鎖は6月末ごろまでに収束したが,首都圏で発生した1つの感染連鎖が規模を拡大し,他の地方へと広がった。確認できた範囲ではこの首都圏の感染連鎖は5月18日から始まっていたが,実際はさらに前から起こっていた可能性もある。空港検疫の陽性者から見つかったウイルスのゲノム解析では,4~5月にかけてデルタ株は主にインドおよびネパールからの入国者で多く検出されており,全国各地で感染連鎖を起こしたデルタ株のウイルスはこれらの国から流入した可能性が高いと感染研は推測している。
2021/9/8
2021/9/29
新型コロナを発症した人のうち発熱がある人は半分以下
https://gyazo.com/0e39ca9f8a78d61d55e1c2c17c0fee0d
https://gyazo.com/f33bf87106a63952f10aade5a895a692
新型コロナというと「発熱」「咳」という症状をイメージする方が多いと思いますが、実際にこれらの症状を呈する方はそれぞれ半分以下とされています(ここでの発熱は「38度以上または自覚症状」です)。
つまり、新型コロナ患者の半分以上は熱がないので、検温をすり抜けてしまうことになります。
「38度以上」を指標にした場合、コロナ患者の83%を見逃す
https://gyazo.com/99123123db12ea599af86559820e636b
スイスで行われた新型コロナ患者の体温に関する研究についてご紹介します。
新型コロナ患者84人と健康な人の体温測定を行い比較をしたところ、新型コロナ患者と健康な人との体温は大部分が重複していることが分かりました。
38度以上の人を検温で引っ掛けるようにすると、確かに健康な人は除外されて新型コロナ患者だけを引っ掛けることができましたが、38度未満の新型コロナ患者(全体の83%)を見逃す、という結果でした。
一方、引っ掛ける体温の基準値を37.1度に下げると、より多くの新型コロナ患者(全体の63%)を見つけることができますが、その分健康な人もたくさん引っ掛かってしまうことになり、基準値を下げすぎると新型コロナではない人までたくさん締め出されてしまうことになります。
では検温に意味はないのか?
具体的に何度以上の人を引っ掛けるのか、引っ掛かった人をどうするのか(コロナの検査をするのか、帰宅してもらうのか、など)を検討した上で検温をする必要はありますが、少なくとも発熱者として引っ掛かった人の中に新型コロナの人が紛れている可能性はありますので、一概に意味がないとは言えないでしょう。
ただし、この検温によって新型コロナの対策として十分と考えることはできません。
検温をすり抜けて施設内に入る新型コロナ感染者がたくさんいるであろうことを想定した上で、対策の一つに過ぎないと割り切って用いるべきと考えられます。