黒耀石
from 2021/09
Jomon Fieldwork賢者の欠片
黒耀石
PAPERSKY - Jomon Fieldwork賢者の欠片 津田直
Vol.9
長野県・長和町
この黒い石は、火山から噴き出したマグマが急激に冷却された時にできる天然ガラスで、黒耀石と呼ばれている。産出地こそ全国的に限られているものの、旧石器時代から縄文時代にかけて、日本列島に広く流通し、狩猟民族によって愛用されてきたのだ。
彼らが旧石器時代に山の斜面や河原で黒耀石の欠片を見つけた時の驚きは、一体どういうものだったのだろう。その美しさと輝きから、地上の産物ではないと思い、空を見上げたかもしれない。今でもそのような伝承の残された地域があり、「黒耀石の採れるところは、流れ星の降り積もった場所だ」という話が語り継がれているそうだ。
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「大竹さん、ここから産出した黒耀石ですが、どの辺りまで流通していたと考えられているのですか?」「遠いところでは、青森県の三内丸山遺跡でも信州産の黒耀石の鏃が見つかっています」…ということは、およそ500kmの距離を誰かが運んだことになる。一つの鏃から見えてくることがある。その流通の広さとともに、その距離を繋ぐ道が浮かび上がってくる。それは山道だったのか…いや川や海を渡したかもしれない。原石を採掘する者、砕いた黒耀石から石器を作る者、加工された石鏃を運ぶ者…たくましき縄文人の姿が風景と交差する。