芸術の条件
芸術の条件 新装版 近代美学の境界
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小田部胤久
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芸術の条件 新装版 - 東京大学出版会
「所有」「先入見」「国家」「方位」「歴史」といった、近代美学を「外部」から支える五つの概念を吟味し、美学理論の境界や条件そのものを精緻に問い直す。そして美学を起動するメカニズムに着目の上、その歴史を描出し、制度としての美学を内から外へと開き、その変容を目論む美学芸術学必読書、新装版。
芸術の条件 新装版: 近代美学の境界 | 小田部 胤久 |本 | 通販 | Amazon
目次
まえがき
美学、それは18世紀中葉にヨーロッパにおいて成立した学問であり、近代の刻印を本質的に帯びている。そして、現在の美学的思考もまた、この近代美学の影響のもとにある。それゆえに現在において美学について考える、ということは、この影響力それ自体を歴史的に主題化し、この影響力のもとに書かれてきたさまざまの美学史それ自体を批判的に検討する、ということを含意する。この意味における美学史批判こそ、本書が目指すものである。
「所有」、「先入見」、「国家」、「方位」、「歴史」の5章、これが本書を構成する。この5本の柱は、近代美学とはおよそ疎遠なものに思われよう。だが、これらの概念は、「芸術」(「形式」)、「芸術家」、「芸術作品」、「創造」、「独創性」といった近代美学の基礎概念と、等しく、近代美学をその根底から支えている。
プロローグ 中心の喪失:「新しい神話」あるいは「ゴシック幻想」
第一章 所有:近代的「所有権」思想と「芸術」概念
1 伝統的詩学からの訣別
2 精神の個体性のアポリア
第二章 先入見:習慣の詩学あるいは趣味の政治学
1 自然主義的趣味論とそのアポリア
2 先入見の復権とその行方
第三章 国家:美学と政治学をめぐる近代性の行方
1 近代国家論とそのアポリア
2 「永久平和」の理念と反省的判断力
3 「美的国家」あるいは社会の美的統合
インテルメッツォ 中心の遍在:ノヴァーリスあるいは政治的汎神論の美学
第四章 方位:表象としての「東西」「南北」から見た近代的芸術精神の成立
1 北方的近代への批判:コンディヤックからルソーへ
2 北方的芸術の発見:ハードとヘルダー
3 憂鬱なる北方とロマン主義の精神、あるいは方位の表象の解体
第五章 歴史:普遍と特殊の交叉
1 歴史的思考の成立
2 歴史的思考の行方
エピローグ 中心の批判:ヴォリンガーによる「ヨーロッパ中心主義的」芸術史の批判とその行方
註
あとがき
新装版あとがき
文献表
事項索引
芸術作品索引
人名・書名索引