志向のパラドックス
from 2022/07
志向のパラドックス
ジョセフ・ヒース
ジョセフ・ヒース「資本主義をぶっ壊す! 働いたら負け! 夢を追いかけろ! 損得なんてクソ喰らえ!:『反体制』はカネになる」(2022年7月2日) – 経済学101
人生においては、直接手に入れようと努力すれば逆に入手が困難となるような成果物が存在している。例えば、社会的地位だ。社会的地域は、それを求めすぎたり、求めているように思われると、獲得の障害となる場合がある。リラクゼーションも同じような性質を持っている。我々は、常に他人にリラックスするように言うが、無理にリラックスすれば非常なストレスとなるため、こうしたアドバイスに従うのは困難となっている。
哲学者の中には、こうした状況を「志向のパラドックス」と呼ぶ人がいる。ある種の望ましい状況は、他の目標を目的とした活動の副産物としてしか達成できない。明確な目標として採用すれば、自滅的な行為となるものがある。
こうしたパラドックスを、ペルクは「副産物社会」の出現と呼び、もっと大きなトレンドの根底にあるものとしている。現代の産業文明では、衣食住のようなものはたやすい努力で獲得できるようになったため、副産物効果への相対的な重要性が高まる力学が働いている。我々は物質的なモノより、経験を重視するようになっているが、結果的に生産性の最大化を目的とした直接的な介入は、次第に効果が薄れてきている。
ペルクは、バンクシーのような芸術家をパラダイムの象徴としている。バンクシーは、自作を購入する裕福なコレクターを軽蔑しつつ、耳目を引く風変わりで馬鹿げた行為を求める市場の需要にも熱心に答えている。ここには、ある種の精神的な綱渡りが必要とされており、それによって、バンクシーのような人は、狂信者と偽物の間での幸せなバランスを達成しているのである。
ある種の望ましい状況は、他の目標を目的とした活動の副産物としてしか達成できない
「副産物社会」の出現
このパラダイムの象徴が、バンクシー
Beyond Self-Interest: Why the Market Rewards those Who Reject It
利己主義を超えて:市場を拒絶する人に、市場が恩恵を与える理由
クシシュトフ・ペルク
未翻訳
Amazon.co.jp: Beyond Self-Interest: Why the Market Rewards Those Who Reject It (English Edition) 電子書籍: Pelc, Krzysztof: 洋書
反逆の神話
ジョセフ・ヒース