ボードレールにおけるいくつかのモティーフについて
ボードレールにおけるいくつかのモティーフについて
十九世紀半ばにおけるマッチの発明とともに、一連の革新が登場する。
マッチの発明
それらの共通点は、多数の要素からなる過程を、手のすばやい操作ひとつで始動させることである。この発展は多くの領域で進行する。
多数の要素からなる過程を手のすばやい操作ひとつで始動させる
なかでも電話の例がわかりやすい。以前の器械ではハンドルをたえず回していなければならなかったのが、いまや受話器をとるだけになった。
電話
スイッチを入れたり切ったりする、なにかを投入する、なにかを押す、などの無数のしぐさのなかで、パチリと写真をとるしぐさは、とりわけ大きな影響をもたらすことになった。ひとつの出来事を永久に定着させるのに、指のひと押しでこと足りるようになったのである。
写真、カメラ
写真機は瞬間というものに、いわば死後のショックを付与した。
瞬間、死後のショック
この種の触覚的(パプティシュ)経験と並んで、新聞の広告欄によって、あるいはまた大都市の交通によってもたらされるような、視覚的経験が登場した。
触覚的経験
パプティシュ
視覚的経験
大都市の交通のなかを動いてゆくことは、個々人にとって一連のショックと軋轢を生みだす。危険な交差点で、神経刺激の伝達がバッテリーからの衝撃のように、次々と体をつらぬく。
大都市の交通による視覚的経験、ショック
[…]このように技術は、人間の感覚器官に複雑な訓練を課した。刺激への新たな、切実な欲求に応じるものとして、映画が登場する日が到来した。
映画
映画においては、ショックのかたちをとる知覚が、形式原理として有効になる。ベルトコンベアーにおいて生産のリズムを規定するものが、映画においては受容のリズムの基盤になる。
ベルトコンベアーによる生産のリズム
視覚的経験(ショック)による受容のリズム
パリ論/ボードレール論集成
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目次
1 パリ論
2 ボードレール論-ボードレールにおける第二帝政期のパリ
ボードレールにおけるいくつかのモティーフについて
セントラルパーク
3 関連論考/参考資料-土星の環、あるいは、鉄骨建築についていくつかのことを
『パサージュ論』初期覚書集
ボードレール論構想および初期の草稿類
『ボードレールにおける第二帝政期のパリ』異稿より