キース・ジャレットとチック・コリアとモーツァルトと東京ミュージック・ジョイ
キース・ジャレットとチック・コリアとモーツァルトと東京ミュージック・ジョイ
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第1回東京ミュージック・ジョイ
キース・ジャレット&チック・コリア プレイ モーツァルト
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト:
ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
キース・ジャレット ピアノ
ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466
チック・コリア ピアノ
2台のピアノのための協奏曲変ホ長調K.365
キース・ジャレット、チック・コリア ピアノ
田中義一指揮新日本フィルハーモニー管弦楽団
1985年2月1日、東京、簡易保険ホール
手元にあるのは、このテープだけですので、いかなる経緯でこのような企画が催されたのかは分かりません。1985年4月29日にエアチェックされた3曲は2本のカセットテープに分けて録音してあり、残りの面には(記載されたメモからみて、おそらく1985年3月9日に放映された)このコンサートに関する特別テレビ番組の音声が録音してありました
存在を忘れていたテープでしたが、改めて聴いてみると当時エアチェックしながら味わった興奮が蘇ってきました。「正統な」クラシック演奏ではないという批判もあったと記憶していますが、では一体何が「正統」なんだろうと思い返したくなるほど、ここでの二人の演奏は素晴らしいものでした。しかし残念なことに、この演奏会は正規CDのリリースはされておりませんので、これ以上の感想を書き連ねることは差し控えたいと思います。
1985年に共演したジャレットとコリアの二人とも、録音としてモーツァルトを上梓するまでにおよそ10年という歳月が存在したのは、奇妙な偶然なのでしょうか?
キース・ジャレットとチック・コリアのモーツァルト
https://open.spotify.com/album/1s86PriM0Do0PWKvMjxUGA
https://open.spotify.com/album/1NwwTcXITZoLJwqGX4cN1G
https://open.spotify.com/album/1dO4aHfdQlq0QYHSzmre43
https://open.spotify.com/album/4uk6TYkciygX5v5CeX2Bp7
この公演が行われたのは1985年2月1日のことです。五反田のゆうぽうと簡易保険ホールで、田中良和指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団をバックに、キースがK.488を、チックがK.466を、そして二人でK.365を演奏しました。この二人のこうした共演は世界初です。おそらく鯉沼さんのアイデアとご尽力によってこの奇跡は実現したんでしょうなあ。
鯉沼さんのアイデア
考えてみれば、この二人マイルス・デイヴィスのバンドではいちおう一緒にやってた時期もあるんですよね。交替交替でやってたみたいですけど。それ以来全く別の道を歩んでいた二人が、日本で、そしてモーツァルトで再会する…。
「Tokyo Music Joy」は、1985~1991年に武満徹を音楽監督に鯉沼ミュージック主催で開催されたコンサートシリーズで、ジャズとクラシックとその先を結ぶ計30回以上の公演が行われた。
Tokyo Music Joy
武満徹
鯉沼ミュージック
第1回のうち1985年1月30日「An Evening with Keith Jarrett」後半がこのアルバムの後半となる。前半は何が演奏されたかというと、バッハ<フランス組曲>、次いでクラシック的に作曲されたキースの作品<Sonata for Violin and Piano>、<Adagio for Oboe and String Orchestra>、<Elegy for Violin and String Orchestra>など。これらは『Keith Jarrett / Bridge of Light』(ECM NS1450)として後にあらためて録音された。そして休憩をはさんで、ベーラ・バルトーク(1881-1945)の<ピアノ協奏曲第3番>が秋山和慶指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団とともに演奏された。今年5月8日のキース70歳の誕生日にあわせて、自分がその場にいて感動を共にしたコンサートの記録がリリースされることはとても嬉しい。なお2月1日には、モーツァルト<ピアノ協奏曲23番 イ長調>、チック・コリアとともにモーツァルト<2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調>が演奏されたことも付記しておきたい。
稲岡邦彌
鯉沼利成
鯉沼さんは僕より8歳年長である。僕が現役を退いた後も鯉沼さんは武満徹を音楽監督に迎えジャンルを超越した音楽イベント「Music Joy」を開催し続けた。キース・ジャレットとチック・コリアによるモーツァルトのピアノ・コンチェルト、ジョージ・ラッセル・オーケストラ、武満徹映画音楽特集などなど。「鯉沼さん、プロモーターとしてやり残したことはないでしょう?」「プロモーター? 俺は興行師だよ!」。”興行師”という言葉に鯉沼さんのオリジナル企画に対する自負、興行に対する勝負師的な勘と読みへの自信が窺われた。偉大な興行師・鯉沼利成と音楽人としてのキャリアの一部を共有できたことは僕にとって光栄かつ名誉なことである。