液相焼結の駆動力【ものづくり系ポッドキャストの日】TT095
ものづくり系ポッドキャストの日「駆動」 プレイリスト
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podcast
駆動
液相焼結
焼結とは?
焼結は、金属やセラミックスの粉末を高温で加熱し、粒子間の結合を促進して緻密な多結晶体を形成するプロセスです。この過程で、粒子間の空隙が減少し(緻密化)、粒子が成長します(粒成長)。焼結の駆動力は、全界面エネルギーの低減にあります。
主な焼結手法の分類
焼結手法は、大きく以下の3つに分類されます:
常圧焼結(無加圧焼結)
・固相焼結:粉末が固体のままで焼結が進行。
・液相焼結:一部の成分が溶融し、液相が生成されることで焼結が促進。
・反応焼結:焼結中に化学反応が進行し、新たな相が形成される。
金属の融点
鉄の融点 鋼 1500℃、鋳鉄1200℃
アルミの融点 660℃
コバルトの融点 約1500℃
WC(タングステンカーバイド)の融点 2900℃
🔍 図解的に言うと…
🔵🔵(粉末)+ 🔶(加熱)→ 🔵🔵の間に💧(液相)ができる
💧がすき間にしみこみ → 🔵を引き寄せる(毛細管力)
💧の中で粒子の成分が移動 → くっつく・すき間が埋まる
🧱(緻密で強い焼結体)ができる!
液相焼結の駆動力
1. 表面エネルギーの低下(界面エネルギーの最小化)
粉末は細かくなるほど表面積が大きく、表面エネルギーも高いです。
この高いエネルギーを下げようとして、粒子どうしが接触・結合しようとします。
液相があると、粒子の間に液体が入り込み、表面張力の力で粒子を引き寄せ合い、結合が進みます。
2. 粒子間の物質移動(拡散)
液相の存在によって以下のような物質移動が促進され、焼結が進行します:
溶解と再析出:
粒子の角や尖った部分が液体中に溶け、より安定な位置(粒子の間など)に析出。これによって粒子どうしがつながる。
液相中の拡散:
固体中よりも液体中の方が原子の動きが速く、粒子間のすき間が効率的に埋まる。
駆動力
表面張力のようなもの?
表面とは
固体 液体 気体の界面
分子間力で、液体同士は引き寄せられる
気体中の液体だと、丸くなろうとする
固体と液体だと、固体表面に濡れる
ティッシュに水、油が浸透していく感じ?
水が出てくる方向にはならない
濡れ性が良い方が良さそう
一部、気孔が残る
冷凍庫の氷のような感じ?
隙間の具合で収縮率が変化する
粉体のプレス圧力によっても収縮率が変わる
タップ加工が大変。収縮率ごとにタップが必要になる
✅ 結論
液相焼結の駆動力は、
「エネルギーを下げようとする自然な動き」と
「液相による粒子の引き寄せ・拡散促進」
の2つが主な原理です。
吉田英弘教授(東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻)による論文「焼結の基礎―理論的背景から実際まで― I. さまざまな焼結手法」(『まてりあ』第58巻第10号、2019年)
焼結方法の種類
加圧焼結
・ガス圧焼結:高圧ガス雰囲気下で焼結。
・ホットプレス焼結:高温で一軸圧力を加えながら焼結。
・熱間静水圧焼結(HIP):等方的な高圧ガスを用いて焼結。
・超高圧高温合成:極限の高圧・高温条件下で焼結。
電磁場支援焼結
・パルス通電加圧焼結(SPS):パルス電流と圧力を同時に加えて焼結。
焼結手法/特徴/適用例
固相焼結/液相を介さず、粒子間の拡散で緻密化/酸化物セラミックス全般
液相焼結/一部が溶融して液相を形成し、緻密化を促進/超硬合金、フェライト磁性体
反応焼結/高温での化学反応と焼結を同時に進行/YAG、Si₃N₄セラミックス
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はい、承知いたしました。提供されたソースに基づいて、液相焼結の概要をもう少し短い内容で整理します。
このポッドキャストは、「ものづくり系ポッドキャストの日」という企画に参加し、2024年4月のテーマ「駆動」にちなんで、液相焼結の駆動力について話しています。Taiseiの勤務する会社で超硬合金を製造しており、その製造工程で行われる液相焼結に焦点を当てています。
焼結とは、金属やセラミックスの粉末を高温で加熱し、粒子間の結合を促進して硬く緻密な固体を作るプロセスです。これは、硬くて融点が高い素材(例:タングステンカーバイトは2900℃)を、より融点の低い金属(例:コバルトは1500℃)を「接着剤」のように加えて溶かすことで、素材の融点まで温度を上げずに結合させるために行われます。
焼結方法の一つである液相焼結は、構成成分の一部が加熱によって溶けて液体になり、その液相中で焼結が進む方法です。
液相焼結の主な駆動力は、粉末間にできたこの溶けた液体が働く力です。これはざっくり言うと、溶けた液体が粉末の隙間に「染み込む」または「引き寄せる」毛細管力や、液体が粒子を互いに引き寄せる表面張力によって生じます。液体が粉末の隙間に入り込むことで、表面エネルギーが低減され、これが液相焼結の原動力となります。また、液体が存在することで、粒子間の物質移動(拡散)も起こり、粒子同士の結合や組織の緻密化が進みます。
超硬合金の場合、タングステンカーバイトとコバルトの粉末をプレスして固めたものを焼結しますが、液相焼結時にはコバルトが溶けることによって、製品が大幅に収縮します(一辺あたり20%ほど小さくなることもあります)。この大きな収縮は、場所によって収縮率が異なったり、製品が曲がったりする原因となり、特に焼結後のねじ切り(タップ加工)の際に、収縮率に合わせて異なるサイズのタップが必要になるなど、製造上の課題となります。
まとめとして、液相焼結は、粉末の一部が液体になり、その**表面張力や毛細管力**などによって粒子が引き寄せられ、結合・緻密化が進むプロセスです。話し手は、液相焼結中の詳細な様子を直接観察することが難しいため、この現象についてはまだ手探りで、今後さらに学びを深めたいと考えているようです。
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ソースの概要を以下に詳細にまとめます。
このポッドキャストは、「ものづくり系ポッドキャストの日」という企画に参加した際のもので、2024年4月のテーマである「駆動する」にちなみ、**液相焼結の駆動力**というニッチなテーマについて解説しています。話し手が働く会社で超硬合金を製造しており、その工程で液相焼結が行われるため、このテーマを選んだとのことです。
まず、**焼結**とは、金属やセラミックスの粉末を高温で加熱し、粒子間の結合を促進して緻密な多結晶体を形成するプロセスです。この過程で粒子間の空隙(隙間)が減少し、緻密化が進み、また粒子の成長が行われます。焼結の駆動力は、**表面エネルギーの低減**にあるとされています。
なぜ焼結を行うのかというと、セラミックスや超硬合金などの硬い素材は一般的に融点が高いからです。硬い素材だけでは扱いにくいため、これらの硬い粒子同士を結合させるために、より融点の低い金属を「接着剤」のように加えて一緒に焼きます。融点の低い金属が溶けることで、硬い粒子同士がくっつくイメージです。例えば、超硬合金の主成分であるタングステンカーバイト(WC)の融点は2900℃ですが、結合材として使われるコバルトの融点は約1500℃です。これにより、タングステンカーバイトの融点まで温度を上げる必要がなくなるという利点があります。他の金属の融点として、鋼は約1500℃、炭素が多い鋳鉄は約1200℃、アルミニウムは660℃などが挙げられています。このように、硬い金属を、より融点の低い(柔らかい)金属を溶かすことで結合させるのが焼結の一つの方法です。
主な焼結方法には、圧力をかけない常圧焼結として**固相焼結、液相焼結、反応焼結**があります。
* **固相焼結**は、粉体が固体のまま焼結が進行するものです。粉が溶けずにくっつく現象とされています。
* **液相焼結**は、構成成分の一部が溶けて液体となり、その液相中で焼結が進む方法です。
* **反応焼結**は、焼結の途中で化学反応が起こり、新たな層が形成される方法ですが、詳細はよく分かっていないとのことです。
今回のテーマである**液相焼結の駆動力**について掘り下げると、これはざっくり言うと、粉と粉の間に溶けてできた液体が入り込むことによって生じる力です。超硬合金の場合、タングステンカーバイト(WC)の粉末の間にコバルトが溶けて液体になります。この溶けた液体が粉末の隙間に「染み込む」または「引き寄せる」効果があり、これは**毛細管力**とされています。液体が物を引き寄せる力によって、液体が粉末間の隙間を埋める現象が起きます。
具体的に何が起きるかというと、この液体が入り込むことで**表面エネルギーを下げる**働きが、液相焼結の駆動力の源になっています。粉末は表面積が大きいですが、液体化した金属がその隙間に入り込むと、ティッシュペーパーに水が染み込むように隙間に入り込みます。これにより粉末同士の距離が近づきます。また、**表面張力**によって粒子が引き寄せ合い、結合が進むとされています。さらに、液体が存在することで、**粒子間の物質移動(拡散)**も起こります。タングステンカーバイトの一部がコバルトの液体中に溶け出し、別の隙間などに移動することで粒子同士が繋がり、より緻密な組織が得られるとのことです。液相中の拡散現象として、WC成分がコバルトの中を移動する現象も起きるだろうと考えられています。
ここで触れられている**表面張力**について、その作用する「表面」とは、固体と液体、固体と気体、液体と気体など、異なる層の「界面」のことであると定義されています。空気中にある物体の場合は、空気と触れる部分が界面となり表面と言えます。例えば、液体の中に氷を入れた場合は、固体である氷の部分と液体の水の部分の間の界面が表面になります。この界面に働く力が表面張力です。気体中に液体がある場合、液体は面積を小さくしようとして丸くなろうとする性質があります(シャワーの粒などが例)。液体同士も引き寄せ合う性質があります。固体の中に液体が入ると起こる「濡れる」という現象も、駆動力を発生させると考えられています。
液相焼結では、金属の一部が液化して染み渡り、粉末間の隙間を埋めることで進行します。焼結前の超硬合金は、タングステンカーバイトとコバルトの粉をプレスで押し固めたものです。焼結を行う際に**収縮**が起こり、製品がかなり小さくなります。一辺あたり20%ほど小さくなることもあり、これはコバルトが溶けることによって起きていると考えられています。
この収縮によっていくつか困る点があります。
* 製品の場所によって収縮の割合が異なることがあります。
* 長すぎる製品は焼結時に曲がってしまうことがあります。
* プレス成形時の圧力によっても収縮の量が変化します。
* 鉄やアルミなどの通常の金属加工と異なり、この大きな収縮率があるため、焼結後の**ねじ切り(タップ加工)が非常に大変**になります。例えば、目的のねじサイズ(M5)に対して、収縮率が20%の場合、焼結前の加工ではより大きなサイズ(M6)のタップが必要になります。さらに、収縮率が30%になればまた別のタップが必要となり、収縮率ごとに異なるタップを用意する必要があるのが面倒な点です。
まとめとして、液相焼結の駆動力は、粉末の一部が液体となり、その**表面張力や毛細管力**などによって液相焼結が進んでいく、という内容であると述べられています。話し手は、液相焼結中の様子を直接観察することが難しいため、この現象についてまだよく分かっておらず、手探りの状態であると感じているようです。今後も業務を通して液相焼結について学びを深めていきたいと述べています。