【冷却】金属材料系の冷却用設備 【ものづくり系ポッドキャストの日】TT102
ーー概要ーー
ものづくり系ポッドキャストの日
8月のテーマは「冷却」です!
冷却の目的
• 焼結炉の冷却:1300~1500度に達する焼結炉が溶けないように冷やす。
• 金属粉末の冷却:超硬合金の金属粉末製造時の発熱を抑える。
• 液体の凝縮:撹拌乾燥工程で除去した液体を凝縮させる。
主な冷却装置
1. クーリングタワー
◦ 気化熱で水を常温まで冷やす装置。
◦ 大型で大掛かりな設備。
◦ 水質悪化や異物混入のリスクがある。
2. チラー
◦ エアコンと同様の原理で、10度以下の冷たい水を得られる。
◦ 冬場の故障や地震による修繕の経験あり。
テスト設備移設時の経験
• 移設先に冷却水配管がなく困った。
• 工場内で見つけた**「投げ込みのチラー」**を流用し、自作の循環システムを構築。
• 自作システムからの結露水がチラーの「デジタル指示調整計 (SA200)」を故障させた。
• 部品交換後、オンオフ制御に設定し直して対応した。
ーー詳細な内容ーー
ソースの内容を整理します。
この音声は、2025年8月29日に収録された「物づくり系ポッドキャストの日」企画の2本目のエピソードです。8月のテーマは「冷却」で、暑い夏にちなんで冷却について話されています。ホストは支部長さで、冷却装置、現場の発熱対策、頭の冷やし方などをテーマに物づくりの話が語られています。
話し手の会社は、超硬合金という金属素材を製造しており、金属材料系の冷却設備について詳しく話しています。
冷却の必要性
金属の熱処理: 金属素材の熱処理や加熱処理を行う「焼結炉」は、1000度以上に加熱し、超硬合金の場合は1300度から1500度にも達するため、炉自体も過熱で溶けてしまわないように冷やす必要があります。
冷却水の役割: 焼結炉を冷ますために冷却水が必要ですが、冷却水自体も使用すると温まるため、これを冷やす必要があります。
冷却装置の種類と特徴
クーリングタワー
冷却原理: 基本的に気化熱の力で水を冷やす装置です。
冷却能力: 気化熱で冷ますため、マイナスの温度にはならず、温まった水を常温くらいまで冷やすことができます。
構造・規模:
会社の工場では、大型トラック2台よりやや小さいくらいの大きな箱のような見た目をしています。
内部には水が流れ、下部にタンクがあります。
タンクから水を組み上げ、シャワーのように上から水を流し、ファンで風を通し、気化熱で水を冷やす構造です。
大きな水槽、水を送るポンプ、空気を流すファンが必要で、設備がかなり大掛かりになります。
課題:
風を通すため外部と繋がっており、葉っぱや虫が入ることがあります。
雨が降ると水質が悪化する可能性があります。
水が蒸発して濃縮されるため、塩分やミネラル分が溜まり、水質が悪くなります。これにより、焼結炉の方に塩素などの成分が集まる問題も認識されています。
チラー
冷却原理: エアコンと似た構造で、気体を膨張させる際に周囲から熱を奪う性質を利用しています。スプレー缶から中身を出すと缶が冷えるのと同じ原理です。熱を冷媒に伝え、冷媒が水温を下げ、その水をポンプで循環させます。
冷却能力: 10度以下の冷たい水を得ることができます。通常の温度では足りず、さらに冷たい水が必要な場合に使用されます。
見た目: 会社の工場では、大型のエアコンのような見た目をしています。
規模: 焼結炉に比べてチラーが必要な台数は少ないため、そこまで大きなサイズのものは必要ないと考えられています。
会社の用途:
金属粉末の冷却: 超硬合金の金属粉末を得るために、金属粉をボールが入ったミキサーで撹拌する際に発生する熱を冷やすためにチラーの冷却水が使われます。
液体の凝縮: 撹拌乾燥工程で液体を除去する際、真空引きしながら加熱して取り除いた液体を、気化から凝縮させて液体に戻すために冷たい水が使われます。
運用上の課題・経験:
冬場の故障: 冬場に水の補充機能が故障し、配管工事業者に水を追加してもらった経験があります。
地震の影響: 滋賀県で発生した地震の影響で、工場の修繕が必要となり、冷却装置の配管経路も再検討する必要がありました。冷却の性能や容量についても検討の余地があると感じています。
起動忘れ: 2年に1回程度、チラーの起動忘れが発生することがあり、将来的にはチラーが動いていないと他の装置が動かないようにインターロックを導入したいという計画があります。外部からの制御信号でインターロックが実現可能であることも確認済みです。
テスト設備移設時のチラーに関する経験
背景: 工場の修繕に伴い、少量の原料を製造するテスト設備(粉砕・乾燥設備、撹拌・乾燥設備)を移設する必要がありました。
移設の条件: 200V電源と冷却水が必要です。
問題: 移設先の部屋には冷却水の配管がありませんでした。
検討された解決策:
小型チラーの購入: 100V電源で動く小型チラーがあり、必要な能力のもので約20万円でした。買えないわけではないが、一時的な使用には悩ましい価格でした。
チラーのレンタル: 4〜5ヶ月間の移設期間でレンタルすると月4万円程度かかるため、購入とあまり変わらないと判断されました。
既存チラーからの配管延長: 工場にあるチラーから配管を伸ばすのは現実的ではないと判断されました。
最終的な解決策: 工場内で「投げ込みのチラー」と呼ばれる別の冷却装置を見つけ、それを利用させてもらうことができました。
投げ込みのチラーの構造: 箱に棒が付いているような形状で、その棒の部分が冷やされます。これもエアコンと同じシステムです。
冷却能力: 電子レンジが加熱する能力を冷やす方に回したようなイメージで、出力は450W程度、紅茶がぬるま湯になる程度の冷却能力があります。
課題: 投げ込みのチラーは冷却能力はありますが、水を循環させる機能がないため、循環システムを自作する必要がありました。
自作システム: 震災時の手洗い用タンクが残っていたのでそれを水槽に利用し、余っていた大きめのポンプを使い、ホースや配管部品を約1万円で購入して循環システムを構築しました。
新たな問題発生:
自作したシステムのタンクをチラー本体の箱の上に置いて一晩回したところ、結露が発生し、タンクから水が垂れました。
その水がチラー本体の「デジタル指示調整計」(理化工業株式会社のSA200)に入り込み、故障しました。
故障後も温度調整はできないものの、100%フルパワーで動き続けることは可能でした。
交換部品を取り寄せ、交換することで修理しました。
結露の予想はあったものの、対策を怠ったことが原因と反省しています。
制御設定: 交換後のデジタル指示調整計の設定では、PID制御のような高度な制御は不要と判断し、目標値に達していないときはフルパワーで冷やし、下回ったら電源を止めるというオンオフ制御に設定し直しました。
結論
人間も機械も、夏場には冷却が必要であり、冷却は非常に重要であると締めくくられています。
ーーメモーー
ものづくり系ポッドキャストの日
8月のテーマは「冷却」です!
焼結炉
加熱と同時に冷却も必要
冷却水
クーリングタワー
気化熱で温まった水を冷やす
気温以下ぐらいの水を得る
大きな水槽とポンプ、ファンが必要
設備がでかい
開放されているので水質が悪くなる
葉っぱ、虫
濃縮されていく
塩素、ミネラル分で配管が詰まったり
チラー
チラー、空冷式だとエアコンみたいなやつ
10度以下ぐらいの水を得る
空気ではなく水を冷やす
ポンプがついている
圧力が下がると水を補給する機能など
故障して冬場に水を追加してもらっていた
工場の修繕関連
配管経路の検討
チラーをつけ忘れることもある
制御 装置との連動
外部からの制御
テスト用の設備の移動
電機はあるが冷却水がない
自作のチラー水循環システム
買うと20万ぐらい、レンタルで月4万ぐらい
チラー、ポンプ、タンクを用意
デジタル指示調節計が結露で壊れた
2,3万円ぐらい?
部品交換して直した
ON/OFF制御に設定変更した
機械も冷却が大事