電磁場のディラック方程式(Intro)
結果
電磁場の方程式はディラック方程式のような形に書ける。たとえばディラック表現の 4 × 4 行列$ \gamma^\mu に対して
$ \varphi = \left(\begin{array}{c}\varphi_1\cr \varphi_2\cr \varphi_3\cr \varphi_4\end{array}\right)= \left(\begin{array}{c}-iB_z\\B_y-iB_x\\E_z\\iEy+Ex \end{array}\right)
$ j = \left(\begin{array}{c}j_1\cr j_2\cr j_3\cr j_4\end{array}\right)=\frac{i}{4} \left(\begin{array}{c}\rho\\0\\J_z\\iJ_y+J_x \end{array}\right)
$ \ という 4 × 1 行列を用意してやれば,マックスウェル方程式は,以下のようにディラック方程式と同様の行列表現で書ける。
$ i\gamma^\mu \partial_\mu \varphi - j =0
背景
クライン・ゴルドン方程式とマックスウェル方程式は微分形式で書けば同じ形に書ける。外微分演算子を$ \tilde d と書いて
$ \tilde d \tilde Q = \tilde P\,,~~\tilde d (^*\tilde P) = \tilde S
クライン/ゴルドン方程式の場合$ \tilde Q はスカラー場$ \phi ,$ \tilde Pはそれの1階微分の双対$ {}^*\phi_{,\mu}である。
マックスウェル方程式の場合は$ \tilde Q は4元ポテンシャル$ A_\mu ,$ \tilde Pはマックスウェルテンソル$ F^{\mu,\nu}。
@neet2go さんから双対の書き方がおかしいとコメントをいただいて,訂正しました。 ディラック方程式は一見,これとは全く違った構造をしているように思われる。
同じ形の方程式にスカラーを入れるとクライン・ゴルドン,スピノルを入れるとディラック,ベクトルを入れるとマックスウェル,という具合になったら,Object-Oriented で気持ちいいのではなかろうか?
そこでHestenesはクリフォード代数を使って,マックスウェル方程式とディラック方程式が,同様の形式で書けることを提案した。 ここで,ディラックの$ \gamma^\muは時空方向の単位ベクトル(グレード1のブレード)という幾何学的意味をもつ。
クリフォード代数でマックスウェル方程式を書いた場合,それは微分形式の表式ときわめて近く,ファラデーテンソルも4次元空間の面的実体(2形式=グレード2のブレード)という幾何学的意味をもつ。
ということは,逆にクライン・ゴルドン方程式やマックスウェル方程式も,ちまたにあるディラック方程式のように,幾何学的意味がよく見えない行列表現で書くことはできないだろうか?
ディラック場のように複素4成分をもつ関数$ \varphi は実数にすると 8 の自由度をもつので,電磁場の 6 成分に対する 8 本のマックスウェル方程式は表現できるはずである。
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