鶏卵
各駅停車に揺られている。向かいのホームには急行も走っているのだが、どうも乗る気にならない。基本的に閑散とした場所が好きな僕は、時間さえあればわざと各駅停車に乗って、本でも読みながらのんびり過ごす。家のベッドの上ではスマホを弄り続けているくせに、なんでこういうところでは読書が捗るのだろう?「移動しているついで」というお題目があるからかもしれないし、単にそういう癖がついてしまっただけかもしれない。鶏卵。この世の中には鶏卵が多すぎる。自然界の謎なんかではなく、自分自身の習性ですらこの有様だ。本当によく分からないが、別によく分かる必要があるかと言えばあるわけでもないのかもしれない。世の中なんてそんなものだ。ともあれ道を急いでるわけでもないし、お金が余計にかかるわけでもない、そんなことを思いながら過ごす無駄な時間が、案外心地よく感じるからこれで良し。