圧縮された100年
生活工房ギャラリーにて開催された「100年あとの世田谷」という企画展にて、「圧縮された100年」という作品を出展しました。 会期:2012年2月3日(金) - 2月26日(日)
圧縮された100年 / Parametric Speaker, Digital Audio Player, 2012.
https://gyazo.com/b449176d2a0f435381e29bb3faeab6dc
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ここから聴こえてくるのは,世田谷の街の環境音をはじめとした様々な音声に対して,元の速度からだんだんと早送り(時間の圧縮)をし,最終的に約1521倍速にまで到達させた音声です.この約1521倍速という数字は,100年という膨大な時間を本展示の会期(24日間)の時間に圧縮するという設定で算出しています.
私たちのほとんどは,100年という時間を実際に体感したことはありません.おそらく(革新的な医学や生命科学の進歩が無い限り)今から100年後の音を聴くことができる人もいないでしょう.この膨大な100年という時間を経過した世田谷を想像する手がかりにするため,音という媒体を用いて時間の圧縮実験を行いました.
お聴きの通り,圧縮された音からは,元々の環境音に入っていた話し声や車の音などといった「個性」は全て剥ぎ取られ,ただのノイズとなってしまっています.
にもかかわらず圧縮された結果が無音では無いのは,私たち自身を含めたこの世界が,生きて活動していることで,常に何らかの音を発していたからです.
100年という時間は,私たちのパーソナルな行為を全て剥ぎ取ってしまうほど膨大です.しかしその上で私たちが100年後に遺せるものには,一体何があるのでしょうか.