第27回 センスの哲学
今回はゲストの山田がセンスの哲学を読んだ上で、センスとは何かについて色々と話をしていこうと思いますー!
山田自身はアーティストでもなんでもないんだけど、
普段はエンジニアをやっています
音楽は高三くらいからやっている!ギターとボーカル!
メディアアートを大学2年生くらいから嗜んでた
最近は自分の好きな写真家が運営してる写真集を作るワークショップに参加してる
というので、実体験も交えながらセンスについて考えていくよ!
(アート限らず、センスの話はスポーツとか仕事とか、最終的には生活にまで話を広げていくよ)
1. センスとは何か?『選ぶ』という行為から始めるセンスの解剖
そもそもセンスとは何か
センスの語源自体はsense、理解するとかわかるみたいなニュアンスと、直感的みたいなニュアンスがある
まずは選ぶセンスから始める
「絵を描く」みたいな行動の根底にも選ぶという行為がある
「センスがない」という言い方はまずしない
センスに無自覚な状態 = 選ぶことに意識的でない状態
ここからセンスがある状態になる、つまり選ぶことに意識的になる
これがセンスの目覚め
ただ、意識的なだけだと「ただ足りないだけ」になる
この意識的を飛び越えて、無意識な領域までいくと、センスつまり直感の領域にいく
センスはヘタウマ
本物そっくりに書こうとすると、かえって差が目立つ
本物とは違うけど、そのズレが味になるのがヘタウマ
モネ、ピカソ
https://scrapbox.io/files/66420798a61dc7001c2edf7c.png
浮世絵
https://scrapbox.io/files/664207b3bd716b001c241c68.png
マイパートナーが3秒で書いた五条悟
https://scrapbox.io/files/6642114985d11c001d6d1279.jpg
ヘタウマとは、線の運動が先にある
先に線の運動があり、その中で再現の要素を含んでいる
センスが無自覚な部屋の例
下手な絵の場合、北欧風の家具をとりあえず並べてみて北欧チックにしてみる
ただ、それだとかえって北欧じゃなさが目立ってしまう
家具の意味に注目していることが原因
モデルの再現から降りることがセンスの目覚めである
J-POPの土俵ではなく、J-POPのフォーマットは抑えた上で自分たちがやりたい音楽を先行させる
中途半端な知識によるセンスのなさ
たくさんインプットして忘れることで自分の直感に刻まれる
2. センスとはリズムの面白さに気づくこと。作品を脱意味化してリズムを捉える
リズムとしてとらえる
一旦、意味を忘れて物事をリズムとしてとらえる
最小限のセンスはリズムの面白さに気づくこと
モネの絵をみてみる
意味の実現ではなく、リズムとしてとらえる
山崎 博
https://scrapbox.io/files/66420b0020ae65001d745163.png
長時間露光
写真はあくまでも視覚芸術
『写真はコンセプトに従属せず、コンセプトは写真に奉仕する』
あくまでもリズムが先行している
うねりとビート
0->1のビート
存在と不在
いろんな側面があるうねり
いろんな生成変化
料理の例
辛い、うまい、等のわかりやすい存在・不在
時間軸で変わる味、後からわさびが効いてくる寿司
意味のリズム
意味を脱意味化する
物語全体を通してみると大雑把な意味にしかならない
全体ではなく部分のつながりをみ
たまにいる、本の要約や結論だけ教えろと言ってくるやつ
感動を半分に抑え、些細な部分を言葉にする
3. 番外編 進撃の巨人の名シーンを意味のリズムで捉えてみる
進撃の巨人のワンシーン
https://www.youtube.com/watch?v=PsPd0XmOhe4
裏切られたというゼロイチのビートだけではない、細かい描写
裏切られるシーンで晴れる
普通は逆
震えるミカサの手
ライナーの腕が治るシーンの、絵としての美しさ
巨人という崇高な存在を演出する音楽の展開
要するにどういう意味?ではなく、些細なことを口にしてみる練習が必要である
意味の対立によるリズム
エンターテイメントと純文学
大まかな感動と構造的な感動
構造的感動はディテールの重なりに注目する
わかりやすいエンターテイメント的なものと純文学
構造的な感動に終始しているものは純文学的、そうでないものはエンターテイメント
4. 並べること
並べること
リズムとして捉える、つまり並びとしてみること
ショットとモンタージュ
ショットをどうならべていくか
並び方によっては予測を裏切られる
予測誤差の最小化
人間は予測誤差を最小化するように思考をする
一方で誤差を求める欲動があるらしい
フロイトの死の欲動、ラカンの享楽
良くわからないモンタージュ
予測誤差がたくさん生まれることを求めてしまう
とりあえず適当に並べてみるのが良い
そこに対して何らか制約を持たせることでジャンルが成り立つ
最悪、「世の中にそれが存在している」という抽象度で設定は作れる
センスと偶然性
センスが良い = リズムが面白い
反復があり、規則がある上で逸脱=差異があると面白いく、バランスが良い
差異とは予測誤差であり、差異がほどほどであれば美的
予測誤差が大きければ崇高、芸術的
偶然性が強く働いている
偶然性への向き合い方が人によって異なり、それがセンスとなる
「作ろうとする」から「結果的にできる」へ
とりあえず手を動かしてみて、あとで制約をかけてみたりみなかったりする
そこに普通の人にはない差異が生まれる
5. 反復とアンチセンス
差異が生まれるとした時に、その人の中にある反復とは何か?
芸術作品は問題の変形
戦争という問題に対する解決策ではなく、戦争という問題を高い解像度で描く
つい反復してしまうもの = 本人の問題
村上春樹の失踪と性行為
反復してしまう = 差を生み出せなくなるのはセンスの反対側にある
センスとは、アンチセンスの陰影を帯びてこそ、真のセンスとなる
あの人らしさ、みたいなのを間違えるとセンスを脅かす存在になる
ミスチルの話
自分たちの好きな作品の細部に注目してみよう
進撃の巨人の動画のような感じ