第26回 生命のしくみ
【26-1】生きているってどういう現象?生命の仕組みの解明に挑む生命科学【生命の仕組み】
細胞、生命の定義
境界がある
自己増殖できる
代謝がある
内部で化学反応を起こす
ウイルスと細菌
細菌は腸内細菌含めて単細胞生物である。細胞を持っている
ウイルスは複合体で絵、代謝機能がなく、住み着いた細胞を使って増殖するという点において、生命とは看做さないという主張が一般的
ウイルスと細菌は全くの別物です。細菌は生物ですが、ウイルスは生物とは言い切ることができず、生物と非生物の中間的な存在です。ウイルスと細菌の違いの一つが、細胞かどうかです。細菌は単細胞の生物であり、細胞分裂により増殖します。基本的には、栄養素さえあれば、自身のみで増殖できます(注1)。一方、ウイルスは生物の細胞に感染する複合体で、細胞ではありません。ウイルスは生物の細胞に入り、その中で細胞の機能や構造に依存して増殖します。(https://www.ims.riken.jp/poster_virus/virus/bacteria/ ) 細胞の多様性を生み出す仕組み
多細胞生物も、オスとメスの仕組みも多様性を生み出すため。
一つの生物が増殖するより多様性を生み出せる
人口の細胞を作り、生命の進化の起源をたどることで、生命とは何かを理解しようとする研究分野が活発
生命の根源は、自己複製欲求
細胞分裂する際、まずはじめにDNAを複製し、その後にそれを二つの細胞が持つように分ける
DNAを伝えたいように見える、が、これ自体が生命の原理と言っても良い
生物という個体レベルの話と何ら変わりはない
いろんな細胞
がん細胞
DNAが増えすぎたり、核が増えすぎたりして、暴走してしまった細胞ががん細胞
通常は2個に増えて分裂してを繰り返すように設計されている
https://gyazo.com/5d10c394045a5fcbae8c764f092e5b1d
正常な細胞
コピーミスで異常な細胞ができる
異常な細胞が増える
異常な細胞が増えてかたまりになる
健康な人でもがん細胞(異常値)は1日5000個くらいできる
日本では胃癌の約99%がピロリ菌感染によるものです。
ピロリ菌
ピロリ菌は子供の頃、口から入って感染します。
昔は井戸水からの感染が多かったのですが、今は衛生環境の改善にともなって井戸水からの感染はほどんとありません。
主な感染経路は、家族内感染です。
アメリカは日本の1/5くらい、胃がんは特に
何にでもなれる細胞
ES細胞は受精卵が多能性で、iPS細胞は機能を特定のものに特化してしまった白血球などの細胞を、後からカーテンを人工的に開けて何にでも使えるようにしたもの
ただし、胎盤にはなれないらしい、これも興味深い、これができたら人工生命作れるという話になるんかな
https://gyazo.com/7657bfdbbec6e7b6a2f5a24e24dbeb63
染色体が核の中に入ってるものとそうでないものがある
用語整理
遺伝子、ゲノム、は概念で、DNA、染色体というのはその物質のこと
https://gyazo.com/2c3967ab4c98ae7efc62b27a8764b99d
【26-2】生命活動を担う超重要要素タンパク質。DNAはその設計図?【生命の仕組み】
生命の活動の全てはタンパク質が担っている
タンパク質の種類はたくさんある
心臓を動かしてるのもそう
日々必要な種類のたんぱく質が分解、合成されて生み出されている
たんぱく質は、たんぱく質によって作られているので、ナノマシンとも言われる
https://gyazo.com/a4b4bae609b6b6608140432dfb07f3c1
https://scrapbox.io/files/665bc8bccb203e001ceed30d.png https://scrapbox.io/files/665bc8f60053fb001df40dea.png
タンパク質を生み出す
たんぱく質は新しい種類が発見されている、遺伝子情報から作られているので、ゲノムがわかれば種類を推測できる
2003年にゲノムの解析が終了し、25,000種類しかなかった
大腸菌で4,000種類持っている
同じ遺伝子から別のタンパク質を作れる
人間とチンパンジーも遺伝子数は同じで、違いは2%のみ
タンパク質に関わる栄養素
酵素とは、化学反応を助けるたんぱく質のこと
補酵素は酵素の働きを助ける潤滑油てきな物質
ビタミンは、人間が体内で合成できない微量の栄養素の総称、これも補酵素
酵素がないと意味はなさない
たんぱく質はアミノ酸という分子が繋がったもの
20種類
食べたたんぱく質は、アミノ酸に確実に分解される、そのまま使われることはない
アミノ酸を繋げて構造化したものがタンパク質
https://gyazo.com/c55c9501611b94aa4d81fa8205d42bbf
コラーゲンを食べてもお肌には大して影響はない
そのまま使われるわけではない、全て分解される
特定のアミノ酸が多い、という特徴くらいはある
酵素入り〇〇、というのも同様
必須アミノ酸を多く含むというのには、一定の今がある
良質なタンパク質というのは、必須アミノ酸のうち必要な量に合わせてバランス良いもの
ただ、他の脂質や補酵素も重要であるので、それだけでいい食品というのは語れない
https://gyazo.com/74437a062ca23f4d327ec5284c790543
遺伝子とDNA周りの情報整理
DNAと染色体
DNA(デオキシリボ核酸)は、遺伝情報を持つ分子で、細胞の核の中に存在し、二重らせん構造を持ちます。
染色体は、DNAがヒストンというタンパク質と結びついて凝縮された構造体で、細胞分裂の際に遺伝情報を正確に分配する役割を持ちます。
ヒトゲノム
ヒトゲノムは、ヒトの全遺伝情報を含むDNAの総体で、約30億塩基対(base pairs, bp)で構成されています。
DNAの塩基はアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類で、AとT、GとCが対を成して結合します。
遺伝子
遺伝子は、DNAの特定の部分であり、特定の機能を持つタンパク質やRNA分子を作るための情報を含みます。
ヒトのゲノムには、約20,000から25,000種類の遺伝子が存在します。
塩基対と遺伝子
遺伝子は通常、数千から数万の塩基対で構成されています。
ヒトゲノム全体の約30億塩基対の中に、これらの遺伝子が散在しています。
遺伝子には、エクソン(タンパク質をコードする部分)とイントロン(非コード領域)が含まれます。
遺伝情報の構成
遺伝情報は個々の遺伝子ごとに異なる数の塩基対で構成されており、小さな遺伝子では数百塩基対、大きな遺伝子では数百万塩基対にわたります。
ヒトの遺伝情報は約30億塩基対の中に約20,000から25,000の遺伝子として存在しています。
このように、DNA、染色体、塩基対、遺伝子の関係は、細胞の中で遺伝情報を管理し、遺伝子の機能を実現するための基本的な構造と機能を形成しています。
【26-3】セントラルドグマ。生命の中心教義。生命活動の根元活動でも役割分担がされている【生命の仕組み】
タンパク質は、DNAからRNAを経由して作られる
DNAに入ってる遺伝情報がRNAに転写されて、それを翻訳してタンパク質が作られる
全ての生物が共有している仕組み
この仕組みをセントラルドグマと呼ぶ
https://gyazo.com/75e9eb77d7e742643026e59d47e248e2 https://gyazo.com/bf6af3c560ff614bcfb8b041ef2f405f
RNAは、DNAという設計データから、必要なところの設計図だけを書き出したもの
DNAとRNAは核酸だけど、たんぱく質はアミノ酸なので、質的に異なるため翻訳、と表現される
RNAにはアミノ酸の並び方が記載されてる、と考えても良い
核酸とは、核酸とは、デオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸 (RNA)の総称で、4種のヌクレオチドが連なった生命活動に欠かせない生体高分子です。
DNAとRNAの比較を見てみる
https://gyazo.com/94909c30f2f805aa8c081928c0eb7a94
DNAの塩基は、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)の4種類あり、AとT、GとCが結合することで二重らせん構造を取ります。
RNAの塩基はアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、ウラシル(U)の4種類あり、RNAはらせん構造となっています。
DNAとRNAがなぜ分かれているのか?
DNA : deoxyribonucleic acid
RNA : Ribonucleic acid
DNAは長期で遺伝情報を保持、蓄積していて、RNAはタンパク質合成などに利用するために出て行って利用され、その後すぐに分解される。必要なタンパク質がことなるので、止まっていると困る。
この安定と不安定のバランスをうまく作り出すことで、成立している
この役割の違いによって、生命活動を維持している
タンパク質はこんな感じ
https://gyazo.com/642e3eaa10c661d15f24d365a2118e2b
リボソームが、RNAの塩基の並び順をみて、たんぱく質を作っている
たんぱく質の組み立て工場
リボソームもたんぱく質だけど
この機能を阻害すると細胞が死ぬ
これを応用したものが抗生物質で、バクテリアのリボソームの機能を阻害する
https://gyazo.com/4de685fa44574d72cb61a969bba99ec8
1929年、世界で初めての抗生物質1)、「ペニシリン」が、英国のフレミングによってアオカビ(Penicillium notatum )から発見されました。
バクテリアと人間のリボソームは少し違うので、ピンポイントで効かせられる
タンパク質合成阻害以外にも色々あり、ペニシリンは、細胞壁合成阻害。ヒト(動物)の細胞には、細胞壁はなく、細胞膜なので、問題ない。
https://gyazo.com/3ec11897e41a2656636ea88dc295cab2
【26-4】重要なタンパク質の形成を助ける物質とタンパク質分解までのサイクル【生命の仕組み】
タンパク質の形成を助けるシャペロン
生み出されたタンパク質の形成を助けるシャペロン
たんぱく質は最初はひもで、そこから立体構造になって、それでやっと機能し始める
一度絡まると、もう変えれないから、最初に正しい形にしないといけない
シャペロン、というたんぱく質が、形を形成する手助けをする
ひもだけを隔離して、シャペロンの中で育てる
https://gyazo.com/b8d0954b5b0ca1a1a85ddf399f088ac5
https://scrapbox.io/files/6665995a1fc053001cb7163e.png
シャペロンとは、折りたたまれていない(変性状態の)タンパク質に結合し、それが適切に折りたたまれた状態(天然状態)になるのを助けるタンパク質の総称である
折りたたみ (フォールディング)はタンパク質が適切な構造と正常な機能を獲得するプロセスである
シャペロンはフォールディング完了後には基質との結合を解いて遊離し、フォールディング後の基質の一部とはならない
また、シャペロンの構造は反応前後で変化しないし、フォールディング後の構造を指定しない
天然体の構造は基質のアミノ酸配列によって行われ、シャペロンはあくまでネイティブ構造の形成がなされやすい環境、または機会を提供するだけである
名前の由来
シャペロンとは元来、西洋の貴族社会において、若い女性が社交界にデビューする際に付き添う年上の女性を意味し注釈 11、タンパク質が正常な構造・機能を獲得するのをデビューになぞらえた命名である。 シャペロンに異常が発生すると、正しい形のたんぱく質が作れなくなり、病気のもとにもなったりする
それがアルツハイマーや、パーキンソン。狂牛病、プリオン
代謝系の異常、腫瘍の進行、神経変性疾患、心血管障害
異常な形のたんぱく質が正常なものにも作用して、形を変えてしまって、異常が発生する
プリオンとはタンパク質からなる感染性因子のことであり、ミスフォールドしたタンパク質がその構造を正常の構造のタンパク質に伝えることによって伝播する。
タンパク質と細胞のサイクル
アミノ酸は300グラム必要だが、体内のたんぱく質もいずれは分解されてそれがまた再利用される
細胞は細胞の中(小胞体)にあるたんぱく質を分解して、アミノ酸をつくると同時に、作られたアミノ酸を必要なたんぱく質の生成のために再利用している
だから、1日80gの摂取でよく、1週間食べなくても死なずに生きていける
オートファジー・リソソーム系と、ユビキチンプロテアソーム系の2つで分解している
オートファジーはなんでも掃除するけど、プロテアソームの方は選択的に掃除をする
オートファジーはリソソームと共同してタンパク質を分解する
https://gyazo.com/d0b3a8ee82eedce5f6b2d39ea7e5f1d8
プロテアソームはユビキチンがくっついたものだけを分解しにいく
https://gyazo.com/498a53cde917417f0bf83265548c47a8
たんぱく質も、細胞も、個体も、すべてマシンなので、古くなると故障しちゃうからリニューアルする必要がある。
この循環が生命のサイクル
だいたい3ヶ月経つと、全ての細胞が入れ替わる
全部で37兆個くらいの細胞がある
古くリニューアルできなかったり、悪い成分が溜まって行ったりすることで、病気になったりして人類は死ぬ
がん細胞も死ぬけど、増えまくる
細胞は秩序を持って増えるが、それが暴走して増えたやつ
がん、というのは長生きすることによる代償とも言える
アポトーシスという自爆装置的なものを持っている細胞がいる
個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺つまりプログラムされた細胞死のこと
増えるすぎる前に自爆したり、おたまじゃくしが尻尾を切り離したり、ドラえもんみたいな手から指が形作られるのもそう
アポトーシスの過程は一連の遺伝子により制御されていて、エネルギーを消費し能動的に遂行される
生体内の細胞環境のホメオスタシスを維持する重要なメカニズム
神経細胞は再生不可能!?
神経細胞は分裂してリニューアルされることはないが、中のたんぱく質は入れ替わる
ヒトの脳には大脳に数百億個、小脳で千億個、脳全体では千数百億個の神経細胞があり、ヒトの成熟後には1日に10万から20万個の神経細胞が死滅しています。
従って、90歳までに死滅する神経細胞は、全体の6%余りとなります。
【26-5】脳細胞は蘇るか?ニューロン発見から神経細胞の再生医療に向けてのあゆみ【生命の仕組み】
Cajalのドグマ
1000億ともいわれる神経細胞と、その10倍ものグリア細胞から成り立っている人間の脳
19世紀末、謎と神秘に満ちていたその神経のネットワークに光学顕微鏡だけを手がかりに立ち入り、ニューロン説を提唱したのがスペインのS. Ramon Y Cajal
彼は鍍銀染色による神経系の構造研究でGolgiと共にノーベル賞を受賞し、現在にいたる神経生物学の基盤をつくりました。そのCajalが1928年の論文の中で「成体哺乳類の中枢神経系は損傷を受けると二度と再生しない」と結論して以来、中枢神経の神経細胞は増殖しない、という定説が70年にわたって影響を与えることになりました。
ちょっとアリストテレスの天動説みを感じる
神経系を構成する細胞には神経細胞とグリア細胞があり、このうち神経細胞に栄養を運び軸索を保護する役目を果たすグリア細胞は、必要に応じて分裂することができます。しかし、神経細胞は、発生初期に増殖して中枢神経系を形成した後は、分裂することがありません。
https://scrapbox.io/files/6665a4264bcc53001c4db4b3.png
中枢神経は増えている?
Cajal以降、ほ乳類の中枢神経再生をめぐる議論が起こったのは、50年代に電子顕微鏡によってシナプスの存在とニューロン説が実証された後、Cajalの死後30年が過ぎた60年代
1965年、Joseph Altmanは成体ラットの脳で神経細胞の増殖が起こっていることを示唆する実験結果を得た。
しかし当時は現在のように神経細胞とグリア細胞を特異的に区別する手法がなく、成体ラットの脳に生じた新しい細胞は、単にグリア細胞が分裂したものとして否定されました。
その後、別の研究者が電子顕微鏡を用いてこの実験を再調査し、新生した細胞が樹状突起やシナプスを有し、神経細胞の特徴を示していることを超微細構造レベルで確認しました。
この研究は70年代の終わりまで続きましたが、大多数の研究者はこの結果を受け入れませんでした。
神経細胞の形態を示しているとはいえ、それが新生した神経細胞だと判断できない、という反論もあれば、DNAの修復や細胞の倍数体化によって細胞分裂がないまま核酸が取り込まれたのだ、という反論もありました。
これらの、中枢神経の増殖を示唆する結果が20年ものあいだ受け入れられなかったのは何故でしょうか?
神経の再生をめぐる学術的な背景を振り替えってみると、当時、魚類や両生類については損傷した脳が再生することがすでに分かっていました。
しかし、これらの動物種における再生は器官としての脳の再生で、細胞だけではなく組織の新たな形成も含めた現象であり、より複雑で高等なほ乳類で同様の脳の再生が起こるとは考えられていませんでした。
また神経細胞の新生に限っても、ほ乳類においては、いったん分化して軸索を長く伸ばし、樹状突起を複雑に張り巡らした神経細胞が二度と分裂しないのは、Cajal以来の定説でした。
では未分化な細胞についてはどう考えられていたのでしょうか。
分化した神経細胞が増殖しなくても、未分化な幹細胞があれば、成体ほ乳類の脳において神経が増殖するという発想は生まれたのではないでしょうか。
この可能性について先述のAltmanは、成体ラットで増殖していると考えられる神経細胞は、未分化な別の前駆細胞から生じているのではないか、と推論していました。
彼の推論は30年後に正しかったことが証明されますが、造血幹細胞をはじめとする幹細胞はいずれも細胞分裂の盛んな組織から発見されており、当時は細胞の分裂がほとんど起こらない中枢神経系に神経の幹細胞があるという発想はまだありませんでした。
成体の脳で神経が増えているとすれば、すなわち分化を終えたニューロンがそのまま分裂することを意味し、これはCajalが20世紀のはじめに結論した頃から変わることなく、研究者たちにとってはありえないことだったのです。
神経幹細胞の発見
これら60年代から70年代にかけての問題提起の後、80年代に神経生物学の研究史上有名なFernand Nottebohmによるカナリアの海馬での神経再生の発見を経て、中枢神経の再生のテーマは脚光を浴びるようになります。
そして、1992年、カナダのWeissとReynoldsは、成体マウスの脳室下帯から取り出した細胞組織にEGFを添加し、分裂増殖しながら神経細胞やグリア細胞を生み出す細胞塊を分離することにはじめて成功しました。
このニューロスフェア(neurosphere:神経球)の発見は、成体マウスの中枢神経にも未分化な細胞集団が残っていて、これらの細胞群が増殖・分化することで、成体の中枢神経系でもニューロジェネシスが起こっている可能性をはじめて示唆した歴史的なものとなりました。
ニューロン新生とは神経幹細胞と呼ばれるニューロンの素となる細胞がニューロンへ分化する事である。
さらにCrittiらが、単一細胞由来のサブクローンで同様の実験を行い、やはりニューロスフェアが形成されて神経細胞とグリア細胞が分化することを確認しました。
これによって、多分化能と自己複製能をあわせ持つ細胞、すなわち幹細胞が、成体の中枢神経に存在することが証明されたのです。中枢神経は再生しないというCajalのドグマは、幹細胞から神経細胞が新生するという、彼が想定しなかった形で否定されたのでした。
その後、Gouldがラットの海馬において、死んだ神経細胞の穴を新生した細胞が実際に埋めていくことを明らかにし、より高等なほ乳類であるツパイや真猿類であるマーモセットの海馬においてもニューロジェネシスが起こっていることを発見しました。
それでも、中枢神経の再生は種特異的な現象で、人間においては直接的な証拠が無いために、起こり得ないものと考えられていました。
これについては、高度に発達した人間の脳では記憶は神経同士のつながりの編成(エングラム)によって保持されており、新しい神経細胞は必要とされないという、人間の記憶のメカニズムに対する通念があったことも要因だったといえます。
しかし、中枢神経は再生しない、というCajalのドグマの最後の壁は、1998年、Erikssonらによって崩されました。彼らはがんの発見のためにBrdUを投与されていた5人のがん患者の海馬の神経組織に対し、BrdU抗体と神経マーカー抗体の二重染色を行い、神経細胞の増殖と分化が起きていることを確認しました。
これによって、人間においても生涯を通じてニューロジェネシスが起きていることが立証されたのです。
再生医療への夢
事実上の幹細胞の発見をしたWeissとReynoldsは、ニューロスフェアの培養技術を基に神経再生医療を目指すNeuroSpheres社(※3)を設立しました。
神経幹細胞の発見は、神経系を構成する細胞の分化の多様性を解析する上で重要な研究対象の一つとなると同時に、事故による脳の損傷や脳梗塞、アルツハイマーをはじめとする神経変性疾患の治療にも大きな希望を与えたのです。
もっとも、Weissらのニューロスフェアは、潜在的な神経幹細胞、分裂を開始した神経幹細胞、神経前駆細胞など多様な細胞を含む細胞集団であり、神経幹細胞はいまだ単一の細胞株として単離されてはいません。
ネスチンやMusashi-1などの遺伝子が神経前駆細胞で特異的に発現していることは分かっているものの、神経幹細胞は神経前駆細胞に変化する過程で様々なプロセスを経ていることが予想され、神経幹細胞の正体はまだ正確には特定されていないのです。
最近の研究では、成体の脳において神経幹細胞としての挙動を示すのは、グリア細胞の一種であるアストロサイトではないか、という説も出てきています。
神経幹細胞が当初考えられたほど可塑性がなく、成体の脳から得られた神経幹細胞からは分化させることが難しい細胞種もあることも分かってきており、最近では、より未分化なES細胞から、目的の神経細胞を分化誘導する研究が盛んになされています。
そして、2005年2月、日本の理化学研究所はマウスES細胞から大脳皮質の神経細胞を分化誘導し、増殖させることに世界ではじめて成功しました。
この成果は、近年研究の進んでいるアルツハイマーや狂牛病をはじめとする大脳疾患の再生医療実現の日を、また一歩間近に感じさせるものでした。
Cajalは、その晩年の著書のなかで「中枢神経は再生しない」という彼自身のドグマに対し、いつか人類の叡智がこの問題を解決する日が来るかもしれない、と述べています。
100年前にCajalが見た再生医療の夢は、神経幹細胞をめぐる数多の研究者の努力の果てに、実現する日が近づいているのかもしれません。
【26-6】不老不死の実現に奮闘する米国のスタートアップと大富豪【生命の仕組み】
https://open.spotify.com/episode/7uYOhsqVdhIsWQvA0MHkwy?si=0bcde383f072435a
シリーズAで、4200億円の資金調達
ジェフベゾスがスタートアップに投資、2021-2022
アルトスラボに4200億、他の人も含めて
アメリカでもすごくて200-300億くらい
山中伸弥教授もアドバイザー
サムアルトマンも260億円突っ込んでたりする
レトロバイオサイエンス
ラリーペイジも突っ込んでる
自然の摂理に反旗を翻す行為、禁断の果実感のある話
老化とは何か?(自分でチャッピーに聞いてみた)
生物学的に老化とは、時間の経過とともに生物の体内で発生する機能的および構造的な変化の累積を指します。これにより、組織や臓器の機能が低下し、病気や死のリスクが高まります。老化は多くの複雑な要因によって引き起こされ、以下の主要な理論やメカニズムがあります。
1. 細胞レベルでの老化
テロメア短縮:
テロメアは染色体の末端に位置するDNAの反復配列で、細胞分裂のたびに短くなります。テロメアが非常に短くなると、細胞は分裂を停止し、老化またはアポトーシス(プログラムされた細胞死)を迎えます。
細胞老化:
細胞老化は、細胞が分裂能力を失い、機能が低下する現象です。これにはテロメアの短縮やDNA損傷、酸化ストレスなどが関与します。
2. 分子レベルでの老化
DNA損傷:
年齢とともにDNAの損傷が蓄積し、遺伝情報のエラーが増加します。これが細胞機能の低下やがんのリスク増加に繋がります。
酸化ストレス:
活性酸素種(ROS)は、正常な代謝過程で生成されるが、これが過剰になるとDNA、タンパク質、脂質に損傷を与えます。抗酸化防御機構の低下も老化を促進します。
3. 組織および器官レベルでの老化
幹細胞の枯渇:
組織の再生能力が低下し、修復が不完全になる。これにより、組織の機能が低下します。
https://scrapbox.io/files/666cd3ffa90c7e001ce29c4f.png
慢性炎症:
年齢とともに低レベルの慢性炎症が増加し、これが組織の損傷や病気の発症に寄与します。
4. システムレベルでの老化
代謝の変化:
インスリン抵抗性や代謝障害が増加し、これが糖尿病や心血管疾患のリスクを高めます。
免疫老化:
免疫系の機能が低下し、感染症やがんに対する抵抗力が弱まります。
老化に影響を与える要因
遺伝的要因:
遺伝子は老化の速度や寿命に大きく影響します。
環境要因:
生活習慣(食事、運動、ストレス、睡眠など)や外部環境(汚染、紫外線など)も老化に影響を与えます。
老化は複数の要因が相互作用して進行する複雑なプロセスであり、現在も多くの研究が行われています。これらの理解を深めることで、老化関連疾患の予防や治療法の開発に繋がることが期待されています。
アプローチもいろいろ
活性酸素を無くして、抗酸化作用を強める
トマトのリコピンがー、とか聞いたことある?
炎症や老化を防ぐ
NNMというサプリがある、アンチエイジング界隈の神
発見したのはワシントン大学の今井先生
AGEという物質も酸化を促進しちゃうのにつながるのでは?と言われる
老化細胞の除去、機能が落ちた細胞を除去する
器官の機能が落ちるので
光免疫療法
特殊な光を当てて、特定の細胞を壊す
がん治療に使われてる
売ってるのが楽天メディカル
がんではなく、老化した細胞に対してもできる、と言われてる
オプジーボ、抗がん剤
京都大学の本庄佑先生がとった、ノーベル賞
体が若返った、らしい
免疫の活性がすごく上がって、老化細胞が壊されて、結果的に若返る
新しい細胞を補充、もしくは、若返らせる
ベゾスや、サムアルトマンが突っ込んだ企業がやってるのは、これでは?と言われてる
これまでとはアプローチが異なる
マウスレベルでは確認されてる現象らしい、データも取れてるらしい
ただ、まだ何も公表されてない。ホームページにも技術内容も書いてない
だから、まだわからないところも多い、人と金が集まってるのはわかってる
(ここら辺大体話した気がする)
DNAの3-5%だけ遺伝子情報、つまり、たんぱく質の設計データが入っている
正確にはどう使われるかわかってない
たんぱく質には変異しないRNAとかも見つかってる
遺伝子は個体ごとに異なるわけだが、なぜそのような違いが生まれるか?
2.5億分の一の確率で、エラーを起こすから
一回の細胞分裂で30億個のDNAが複製されるので、12個でエラー
このうち、遺伝子としてたんぱく質の生成に関わるのは、3ー5%
このエラーが無害でかつ自然選択されると、新しいDNAが量産される
ここで異常なものが作られてしまうと、ガン細胞のような異常な細胞が生まれる
レトロトランス保存というRNAからの逆向き転写によって、遺伝子が変わらずに保存される現象を持ってる
HIVもそれを利用していて、遺伝子内部にHIVのたんぱく質を作り出す遺伝情報を埋め込み、それによって免疫細胞内でHIVが増殖することで、免疫細胞がへる?
レトロトランスの説明少し怪しい、そのまま逆転写する?
ヒト免疫不全ウイルスは、エイズの原因となるウイルス
染色体の組み替えも生まれる子供に多様性が生まれる
ゲノムは塩基対の種類で表現されるが、人間は30億だが、小麦の方がおおい。
知能レベルと紐づいてるというわけではなかったりする
逆に余白が少ないとも言える。この余白によって多様性が生み出される?
https://gyazo.com/6b549a2ed6e0e639484dfc3303bb9492
【26-7】人間とは何か?生命とは何か?が曖昧になりつつある社会における生命科学の重要性【生命の仕組み】
受精卵のゲノム編集をできるようになってきていて、生命とは何か、人間とは何か、ということがAIの登場含めて、その定義を見直さないといけない時代に来ている
また、考え方や価値観が多様化していようで均一化されているようでもある状況において多様性の本来の重要性は意識しておくべき
バクテリアは無駄がない分、進化してない、多様性が生まれないので。
環境が変わっても生き残れるようにしておく的な
進化は試しまくっていいものが生き残っただけ。創造主が意思を持って作った、と思いたがるのはわかるが
いろんな生物の可能性
地球外に人間と同等レベルの生命体がいる確率をだす計算式、交信もかな
ドレイクの方程式、宇宙文明方程式
低く見積もると、1になる
数万年で世代交代するような静的な生物もいるかもしれない
人間は地球上の生物の一つであることと、自然を捉え直す、ためにも生命科学が重要であり、そのため東工大で必修になった
生き残っていくためには進化が必要で、進化には多様性が必要で、その多様性は余白、余裕から生まれる。そして、その余白や余裕は無駄があるから。
DNAのコードだって何かしらの意味や役割があるはず、今なくても
そう考えると無駄なものはない
無駄があるから結果として今の世界、社会ができている
あの本の紹介