第16回 精神と自然
タイトル
【16-1】学び方を学ぶ。ベイトソンの思考を理解するためのサイバネティクスと論理階型【精神と自然】
【16-2】目的意識を和らげるには?サイバネティクス的思考と目的思考との接点【精神と自然】
【16-3】よくある進化論の誤解とは?ベイトソンが考えると進化と学習のプロセス【精神と自然】
【16-4】ティール組織など現在の組織論をベイトソン的な考え方から再解釈する【精神と自然】
サイバネティクスとは?
生物や機械における通信・制御を統一的に扱う学問領域のこと
ギリシャ語で船の操縦を意味する。ウィーナーが提唱した。
目的を持ったシステムには、その目的を達成するために外界からの情報をインプットし自己を制御するフィードバックループが存在する、という考え方がベースになっている
論理階型
ハーバード・ラッセルが提唱した理論
「この文章は嘘である」というパラドックスを回避するために編み出した。
論理に階型があり、その階型を意識して議論をしていかないと話が噛み合わない。ベイトソンはこの理論を使って、学習や進化の理論を整理した。 これらの思考の道具を組み合わせて論理を組み立てている。
目的意識、芸術による治癒
目的意識は因果の連鎖がない
外界の出来事や精神全体の仕組みは、因果の連鎖によって成り立っている。
ex. AをやったらBが起き、Bに対してCをやり、Cに対してDをやり.... (続く)
一方で、目的が決まっている状態では因果は連鎖していない。
ex. DのためにはCをやり、CのためにBを行う。
目的意識の弊害
サーキットの中の弧だけに注目をして物事を進めると、サーキット全体がどうなるかに気づきを得ることができない。
限られた情報を選択してしまうため、サーキット全体で見ると重要な情報を見落としてしまう。
テクノロジーの弊害
人間の場合、テクノロジーが発達してしまったことによって、目的思考を通じて何かを解決することが可能になってしまった
環境に応じて自分自身を変えるのではなく、環境を変える方を選択できるようになったのである。
目的意識を和らげる概念
愛
芸術、技能、音楽
他の生物との触れ合い
宗教
進化と学習は同じである
ラマルクの用・不用
獲得形質が遺伝し、徐々に生物に伝わっていくという考え方
ex. キリンは元は首が短かったが、高い木にあるものを食べようとした結果、首が長くなった。
1809年に、ラマルクというフランスの生物学者が提唱
当時は創造論がメジャーで、神が作った生物の形が変わる訳はないとされていた。だが、それに風穴を開けて「生物は進化・変化するものだ!」とした。
プロセスとフォーム
フォームとプロセスの二分法は、現実世界の現象を捉える上で非常に有用
プロセス自体もフォームが存在し、それを生み出しプロセスもまた存在するので、この両者の柔軟な行き来が可能になる。
ベイトソンの現代の組織論
学習する組織
システム思考 ... 問題を引き起こす構造に着目をしよう
サイバネティクスの系譜
メンタル・モデル ... 物事をどのように捉えるか、を絶えずアップデートしよう
自己マスタリー ... 個人レベルで目指すものを明確にしよう
共有ビジョン ... 価値観を共有しよう
チーム学習 ... チーム単位で学習をしよう
ティール組織
ティール組織の理論の前提には、意識の発達段階があるが、グリーンとティールは階層が違う
レッドからグリーンまでは、他の価値体系を批判するような節があったが、ティールのレベルはそれぞれの価値観を生み出してしまう価値観への理解を求めるような、よりメタな領域に踏み込む
ティール組織では、物事を判断する際に「決めつけない」スタイルをとる。最終的には合意された価値観に沿って最適なものを決めるが、他の選択肢も価値があることを認める。
Disagree but Commitも基本的にはこのスタンスだし、多様性の科学もこのスタンス
つまり自分の価値観意外にも重要な価値観があり、多様な視点で持って物事を検討するべきだが、決断も重要である。
ティール組織ってすごくわかりにくいよね...、と思っていたけど、ロジカルタイプが違うと考えればちょっと直感的になる気もする