教育の歴史変遷に着目し、教育という概念における普遍性についてまとめる。
基礎ゼミナール〈教育学科〉レポート 第一章 教育の目的
教育の歴史変遷に着目し、教育という概念における普遍性についてまとめる。
要旨
① 人間性の概念の変化とともに教育の対象者、学びの主体や教育者の概念が変化した。
② 社会に適応するために、道徳や実学を修得する。
③ 知識を習得させる方法の優位性を考えるうえで「より生活や仕事で応用できるように習得させるべき〈実学志向〉と人間らしく生きるために必要な古典も学ぶべき〈教養志向〉」や「知識習得スピード、限られた教育時間の割り振り」「社会の人材育成要請の圧力〈受験競争など〉」「個体差を考慮し、それぞれの個体に成長の度合いにあった最善の教育を提示すべき」「自発性を引き出す教育と自発性を待つ教育」といった観点がある。
④ 私的教育と公教育。家庭教育、学校教育、社会教育を統合した生涯学習について。
⑤ 真理の探究の方法、知識の創造について。
本文
身分が固定され支配階級と被支配階級が存在した封建的な時代において、国家護持のための兵士の教育が優先された。支配階級はアテナイを象徴とするように身体技術向上のみならずその立場に相応しい教養も身に付けることが求められた。
西洋において中世はカトリック教会の神への奉仕が優先され、人間性の抑圧された時代だった。教育はカトリック教会に奉仕する一部の人にのみ施された。一方で商品経済の浸透とともに、庶民にも教育が必要になるようになり階級制が崩れ始め、来世志向のカトリック教義への反発から現世充実の文化を求めるルネサンスを迎えた。
ローマ・ギリシア古典文学への回帰を通じて人間性の獲得をめざした人文主義者は、キリスト教的自然の概念を人間性の概念に取り込むことで、身分によらずあらゆる人間に教育を施す必要性を提議し、ペスタロッチなどの貧民教育の実践家の登場につながった。
近代において産業革命を迎えた欧米各国では生産力の向上を狙った初等教育の充実という国策を打ち出し、家庭教育などの私的教育しか受けることのできなかった庶民にも公教育という形で教育が与えられるようになった。近代国家同士の戦争に動員させるための国民育成教育は平民の権利伸長につながり民主主義が浸透し、これまで人間と見なされてこなかった女性なども政治参加や教育を受ける権利を求めるようになった。
日本においても江戸時代の封建制度のもとでは身分ごとに別の教育を施されていたが、商品経済の浸透で階級制の綻びが生じ、人間性を追求した生き方を説く石門心学が登場した。
明治の文明開化で外国の思想が流入される翻訳教科書時代をへて、それに反発する復古主義者らの批判をうけた1879年教学大旨以降儒教主義の比重が高まった。1890年教育勅語では天皇制を中心とした国家主義的な教育目的が、封建道徳的な教育目的の要素を包含しつつ被仰出書の個人主義に取って代わった。教科書疑獄事件を契機に教科書の国定が決まった。大正デモクラシー下で個性尊重を唱える児童中心の教育思想が流行し、子どもが自身の考えを自身の言葉で表現する生活綴方運動につながったが、満州事変以後のファシズム体制に弾圧され、軍国教育が強化された。
二度の世界大戦を経て、人間性の概念に世界市民的傾向が付加され人権教育が重要視されるようになった。
20世紀初頭の児童中心のカリキュラムが生活に基づいた経験主義を重視したものの、教育目的・内容が明確でなく、知的レベルの低下を招いたことの反省と2次大戦後の冷戦下での技術競争の過熱による高度な知識を身に付けた専門家需要拡大の圧力を受けて、教育の「現代化」が推進されたが、才能児とそのほかの平均児や遅滞児との間で深刻な学力格差を生んだ。社会の流動性が高くなり、青年時まで受けた学校教育では社会へ適応することが難しくなり、各個人が主体的に学び続ける必要がある生涯学習時代を迎えた。
現代の日本の教育において生じているいじめや学級崩壊といった問題に対応するため、学校教育と社会教育をつなぎ、生徒に自発的に課題を設定させ解決していくことを援助する総合学習が平成10年度改訂の学習指導要領で導入された。完全週五日制の実施で家庭教育や社会教育の比重を増すとともに、教育内容の削減が図られた。
誰もが学び続ける社会において、教師もまた学習者であり、ソクラテスの産婆法のように対話を通じて自らの考えを洗練させていかねばならないし、ただ知識を教授するのみならず人格者としての教師を体現することが求められる。
メモ
日本においても
背景
「学力形成」
知識を教授する。その知識を身に付けるための知識を優先的に身に付けさせる。
身に付けさせるためには知識を系統立てて整理するのがよい。
身に付けさせるためには、各個人の自発性を待つのがいい・自発性を起こさせるような援助が大事・自発性を起こさせるため、個体差(記憶力・生活経験・精神の成熟度)を考慮し、何に興味をもちどのような比重で何を教えるべきか教師が考え、生徒にとって最善の援助をする。
自信・有能感・達成感・自己効力感
適応構築[適応を引き出し練り上げる]
すでにもっている力・資源を見出し、十分に発揮させる。
教育の理念(目的)
社会の存続のための重視すべき要素の変化(国を守る兵士の育成やその兵士の身分を保証数するための階級護持的教育から国際的に価値を提示できる、国力を増す人材の育成へ、そして、人間概念の拡張に伴いそれまで非人間扱いだった存在への教育の要請(ヒューマニティ))とりわけ二度の世界大戦をへて人権思想が国際的に浸透し、各国の法律の基礎になった。
① 義務性 教育を受ける権利 受けさせる義務
② 無償性
③ 中立性[政治的・宗教的中立性と教育行政の中立性]
学習者である子どもの人格形成の自由と真理の追究を保障する営みである教育の中身は特定のイデオロギーを教え込むことであってはいけない。思想・良心の自由の保障。
国家護持、軍国主義と国際協調との両軸。仲良く生きる。対人関係スキル。
階級の概念の変化およびそれに伴う実用の概念の変化。利害の変化。
選択と多様性。市場原理主義。「新しい学校」開かれた学校。
一般普通教育は私的なものであって家庭、私塾、徒弟制、教会などによって行われていた。これに対して、教育が国民教育という立場から、公共的な性格をもって行われているのが現代公教育の特徴である。つまり、公教育とは、公共性、無償、義務という三大要素をかねそろえたものなのである。
このような公教育体制は、各国とも19世紀にほぼ形成されるのであるが、その背景には、近代的な国家体制や社会体制の出現がある。特に、国家の独立と統一をめざす国家主義、資本家・労働者の両者が要求する、実際的、一般教育の背景となる近代資本主義および階級を問わず全ての者への機会均等を要求する民主主義の三つの要素が、公教育体制をせいりつさせた。
このような体制は、保守勢力、宗教勢力とのきびしい闘いの中で、徐々に成立していった。
なぜ教育を施す必要があるのか。(WHY)
道徳的とは
体を鍛えるとは
知識を身に付ける
生徒指導
生徒理解 育てるプロアクティブ 開発的生徒指導
治すリアクティブ 予防的生徒指導[規制的]、問題解決的生徒指導[対処療法]
「社会性の育成」
問題に直面している子どもの育ちを支援するという視点を欠いたまま、対処療法的な指導を行っても、結局、短期的な行動改善は図れたとしても、子どもが主体的に自らの改善に取り組んだものでない限り、長続きはしない。
非行少年[自尊感情の乏しさ、対人不信感の強さ、他罰的姿勢に起因するであろう内省の深まらなさ、人間関係を狭い範囲だけにとどめておこうとする姿勢の強さ]、子どもを立ち直る可能性をもった存在として捉えない不寛容傾向。(遺伝主義、血統主義、)
それぞれの子どもの個体差を認識し、それぞれに適切なフィードバックをすべき。
個体差を考慮しているか 小中一貫教育、中高一貫教育(きめ細かい援助)
個人の自発性を考慮しているか 受験、国家競争、
知識を定着させるための工夫としてどのような方法を取っているか。
子どもに社会性を身に付けさせる。
学級経営と組織マネジメント
内容
カリキュラムの概念の変化
科目の横断性を考慮しているか。系統的に学習。経験主義。
方法
誰(who)が何(what)を誰(whose)にどこで(where)どのよう(how)に教えるか
教師としてあるべき姿を維持するために評価システム
真理探究
キリスト教的教義。
何を教えるべきか。科学的探究方法。導き出された知識。構造化され段階的に知識定着を図る方法。。
問題へ焦点をあてる→解決へ焦点