『群と物理』ノート
2019/9/10(記入:mymtk.icon)
3.4 リー群と多様体
リー群を幾何学的に考えたい。
例えばn次複素行列。これの元は2n^2個の実数成分から決まるので、2n^2次元の空間$ R^{2n^2}のある一点と見なせる。
GL(n,C)は$ R^{2n^2}から行列式が0になるような集合$ N=\{A|detA=0\}を除いたものである。
$ Nは$ detA=0によって定まる、2n^2−1次元の曲面である(これを超平面という)。
$ Nは閉集合である。したがってその余集合である$ GL(n,C) \in R^{2n^2}は開集合である。
$ SL(n,C)は$ detA=1によって定まる超平面である。
一般に線形リー群は$ GL(n,C)の部分群であるので、$ R^{2n^2}に属する超平面として考えられる。
この超曲面は各点で接平面をもつ。このような超曲面を微分可能多様体という。
位相空間の用語
集合Mに属する各点Pに対して、各点Pを含むMの開集合をPの近傍という。
次のようなときMに位相が定義されるという。$ \Sigma(P)を点Pの近傍全体の集合とする。
$ \Sigma(P)=\phi. また$ U\in\Sigma(P) \Rightarrow P\in U.
$ U_1, U_2 \in \Sigma(P)に対して、$ U_3 \subset U_1 \cap U_2なる$ U_3 \in \Sigma(P)が存在する。
$ U \in \Sigma(P)のとき、Uの点Qに対して$ V \subset Uとなるような近傍$ V \in \Sigma(Q)が存在する。
$ \Sigma(P)を点Pの基本近傍系という。
位相空間の中の任意の二点が互いに交わらない近傍をもつとき、その位相空間をハウスドルフ空間という。
リー群にも位相を定義できる。これを位相群という。
ある集合Mの開部分集合の族$ \Gamma(M)があり、それに属するすべての集合の和集合がMに等しいとき、$ \Gamma(M)をMの開被覆という。
位相空間Mに開被覆があるとき、その開被覆に属する有限個の集合でMを被覆できるとき、Mはコンパクトであるという。実数直線での例を考えよ。
多様体について
ハウスドルフ空間Mの各点の近傍から$ R^nの開集合への連続的な一対一対応の写像があるとき、Mをn次元多様体という。
$ P \in Mが$ (x^1(P),x^2(P),...,x^n(P)) \in R^nに写像されるとき、$ (x^1(P),x^2(P),...,x^n(P))を点Pの(局所)座標という。
どんな集合でも、その元が連続的なパラメタ(例えば実数)で表されれば多様体という(適当)
多様体Mの二つの近傍U、Vを考える。$ U \cap Vが存在するとする。U、Vの$ R^nへの全単射をそれぞれ、f、gとする。すると$ U \cap Vには二つの座標が与えられることになる。
$ P \in U \cap Vについて、$ f(P) = (x^1,...,x^n), g(P) = (y^1,...,y^n)とする。これを用いて$ R^nから$ R^nへの写像$ g \circ f^{-1}によってxはyに写せる。よってyはxの関数として書ける。この$ g \circ f^{-1}が無限回微分可能であるとき、Mを微分可能多様体という。$ g \circ f^{-1}が解析関数であるとき、Mを解析的多様体という。
2019/9/24 (記入mymtk.icon)
3.4の続き
多様体の例:ベクトル空間
実ベクトル空間Vの任意のベクトル$ \vec{x}=\Sigma_i^nx^i\vec{a}_iと、R^nの点$ (x^1.x^2,...,x^n)との間に一対一対応があるのでVはn次元多様体である。この対応を与える写像をfとする
Vの別の基底(b1,b2,...,bn)を用いて\vec{x}を書き換えて、$ \vec{x}=\Sigma_i^n y^ib_iとかける。上と同様にR^nの点$ (y^1.y^2,...,y^n)との間に一対一対応があり、この写像をgとする。
このとき、基底$ \vec{a}_jをbの基底で書き直して、それを前のxの式に代入すると
$ \vec{x}=\Sigma_i^nx^i\vec{a}_i=\Sigma_i^n \Sigma_i^nx^j x^ic_{ij} \vec{b}_i
となる。これと、前のyによる表記とを比べると、$ g\circ f^{-1}というR^nからR^nへの写像(関数)がえられる。
2019/10/1
3.4の続き
リー代数の基底は単位元における接空間の基底になってる。
3.5群上の積分
群上の関数の積分を考える。このとき右移動(左移動)で不変であるような積分を考えたい。そのような積分を不変積分という。
左移動$ L_aに対して不変な積分は
$ \int f(ag)dg_L = \int f(g)dg_L
と表される。ここでの積分測度$ dg_Lを左不変ハール測度という。考えている群が局所コンパクトならば、このような積分測度は定数倍をのぞいてユニークに定まる。
例:実数
実数の加法群では通常の積分が不変積分である:$ \int^{\infty}_{-\infty} f(x+a)dx = \int^{\infty}_{-\infty} f(x)dx.
このときの不変測度はdxである。
正の実数の乗法群では次の積分が不変積分である:$ \int^{\infty}_{0} f(ax)\frac{dx}{x}= \int^{\infty}_{0} f(x) \frac{dx}{x}.
このときの不変測度はdx/xである。
4リー代数の表現と分類
4.1リー代数の一般的性質
リー群の元gとリー代数の基底X_iは、実数パラメタt^iを介して、$ g=exp(\Sigma_{i=1}^{d}t^iX_i)という関係にある。dはリー代数の次元。
<定義>あるベクトル空間Wの属する二つの元X, Yに対して、Wの元$ [ X,Y]が定義でき、次の4つの性質を満たすとき、Wを抽象リー代数と呼ぶ。
$ [ X+Y,Z]= [ X ,Z] + [ Y,Z]
$ [ aX,Y] = a[ X,Y] \quad \quad a \in R
$ [ X,Y]= -[ Y,X]
$ [ X,[ Y,Z]]+[ Y,[ Z,X]]+[ Z,[ X,Y]]=0
<定義>ベクトル空間としてリー代数を考える。リー代数の基底を$ {X_1,...,X_d}とすると、これらの間の交換関係もリー代数に属するので、それを基底で展開すると、
$ [ X_i,X_j]=\Sigma_{k=1}^d f_{ij}^k X_k
このとき$ f_{ij}^kを構造定数と呼ぶ。
<定義>リー代数Wの部分代数Kとは、Wの部分空間で、X,Y \in Kならば$ [ X,Y]\in K となる空間。
<定義>リー代数WのイデアルLとは、$ \forall X\in L,\quad \forall Y\in W \Rightarrow [ X,Y]\in L となるような部分代数である。
<定義>リー代数K, Lの直和Wとは、$ [ X,Y]=0 を満たす$ X\in K,\quad Y\in Lを用いて構成したX+Yの全体のことである。$ W=K \oplus Lと書く。
<定義>任意の元$ \forall X,\forall Y\in W に対して$ [ X, Y] = 0 となるようなリー代数Wを、可換リー代数、あるいはAbelian リー代数という。
<定理4.1>よくわからないのでスキップ
リー代数Wのすべての元と可換な部分集合Sはイデアルになる。
$ \forall X,\forall Y\in Sと$ A\in Wに対してヤコビの恒等式を用いると、
$ [ A,[ X,Y]]+[ Y,[ A,X]]+[ X,[ Y,A]]=0