経験論
ロック、バークリー、D.ヒュームによって代表される。
経験論とは、あらゆる認識の起源を経験に帰す立場で、ロックは経験を感覚と反省に分け、それらにもとづいて人間の悟性のうちに形成される観念相互の結合こそ認識であるとした。
ロックの認識論を徹底したのがバクリーとヒュームで、バークリーは存在とは知覚されたものとする主観的観念論へと導かれ、ヒュームは実体や事物の因果性、さらには自我そのものをも観念や表象の連合とする懐疑論へといたる。
このような経験論は、地上的な経験を離れた超越的世界を認識の対象としないから、それ以前の神学的形而上学から独立した独自の認識論を発展させることになった。
かくて、イギリス経験論は、人間の主体を中心にすえる人間学を構築し、現世的な市民社会の倫理形成という時代の要請に応えることができたのである。