民主主義
前近代の政体論的意味では、主権に与かる範囲によって、君主制、寡頭制(貴族制)に対立する。
主権者が一人の場合が君主制であり、主権者が限定された複数である場合が寡頭制であり、限定されず全員である場合が民主制である。 したがって、たとえば中世イタリアの都市国家のように王はいないが特権豪商身分による合議が主権を行使しているような場合、共和国ではあるが民主制ではない。 近代になって啓蒙主義以降、デモクラシーという語は多様な意味合いをはらむようになったが、古典的政体分類論における意味を中核として残しつつも、主権の根拠を自由で同格な市民による合意とみなす社会契約論的な色彩が加わっている。
この意味での民主主義は、ゲティスバーグ演説に代表されるような、政治権力の起源と目的に関する規範的な共和主義的、啓蒙主義的政治思想を意味する言葉でもある。