成行き管理
テーラーによって科学的管理法が確立される以前に取られていた管理方法。
管理とは言うものの、上位階層に所属している人による経験と勘によって管理が行われており、システマティックに管理が行われていたわけではない。 科学的管理以前のアメリカにおいては,工場所有者と労働者の中間の階級にある請負人(親方)が工場の管理を行うという内部請負制度が広く普及していた。
この制度の下では、親方の有する生産過程についての裁量権は絶大なものであり、作業の技術的運行から労働者の採用、昇進、解雇までの全てを親方が管理していた。 そこで行われていた管理は、親方の経験や勘に基づくものであり、科学的な根拠に基づくものではなかったことから、「成行き管理」と呼ばれている。
成行き管理の下で、資本家が次第に激化してきた競争に対応すべく賃金の引き下げを図ったため、労働者は自らの利益を守るために意図的に出来高を落とす組織的怠業を行うようになった。
労働者からしてみれば、賃金が引き下げられるような状況では作業能率を上昇させても損をするだけとなってしまうからである。
ここから見えてくる成行き管理の問題点は、客観的な努力目標の欠如である。
どれだけ努力すればより良い報酬が得られるのか分からない状況下では、労働者の自発的な努力を引き出すことは極めて困難である。