師弟歓談:藤壺(源氏物語)
放課後の教室。夕焼けが差し込む中、ふーこが机に頬杖をついている。
ふーこ.icon
「ねえ先生〜、『藤壺』ってさ、源氏物語の中でもバグってない?なんか禁断すぎん?」
けいこ先生.icon
「“バグっている”ではなく、“常識を超えている”と申しますのよ、ふーこさん。ええ、確かに藤壺はとても特別な存在です。」
ふーこ.icon
「だよね〜。だってさ、義理の母ポジでしょ?なのに恋しちゃうとか、もう無理ゲーじゃん。」
けいこ先生.icon
「“無理ゲー”というのは、“非常に困難な状況”という意味ですね。まさにその通りで、光源氏にとって藤壺は、手の届かない理想そのものだったのです。」
ふーこ.icon
「理想っていうか、執着じゃね?てかさ、似てる人(紫の上)育てるのも、ちょい怖いんだけど。」
けいこ先生.icon
「“ちょっと怖い”ではなく、“やや執着が強い行動”ですね。源氏は藤壺を忘れられず、その面影を紫の上に重ねてしまいました。人の心の弱さとも言えます。」
ふーこ.icon
「うわ〜、それ聞くとちょっとリアルでしんど…。藤壺のほうはどう思ってたん?」
けいこ先生.icon
「藤壺は、非常に葛藤しておりました。帝の后としての立場と、源氏への想い。その間で苦しみ続けたのです。」
ふーこ.icon
「え、じゃあ両想いだったの?それはそれでヤバくない?」
けいこ先生.icon
「“ヤバい”というより、“許されない関係”ですね。互いに惹かれ合っていたからこそ、より深い苦しみが生まれたのです。」
ふーこ.icon
「うわ〜…なんかさ、キラキラ恋愛っていうより、ずっと重い感じなんだね。」
けいこ先生.icon
「ええ、とても重く、そして切ない物語です。藤壺は最終的に出家し、その想いを断ち切ろうとしました。」
ふーこ.icon
「え、出家!?それってもう完全に逃げ…じゃなくて、リセット?」
けいこ先生.icon
「“リセット”ではなく、“すべてを捨てて心を清める決断”ですね。逃げではなく、責任を取るための選択とも言えるでしょう。」
ふーこ.icon
「そっかぁ…。なんか最初“禁断うぇーい”みたいに思ってたけど、普通にしんどい話じゃん…。」
けいこ先生.icon
「そう感じ取れたなら、とても良い読解です。源氏物語は、華やかに見えて、人の弱さや苦しさを丁寧に描いているのですよ。」
ふーこ.icon
「うん…ちょっと見る目変わったわ。藤壺、普通にかわいそうかも。」
けいこ先生.icon
「ええ、彼女もまた運命に翻弄された一人なのです。」
夕焼けが少しずつ薄れ、教室に静かな余韻が残った。