師弟歓談:花散里(源氏物語)
放課後の教室。窓の外には、ひらひらと桜が舞っている。
ふーこ.icon
「ねえけいこ先生〜。“花散里”ってさ、名前からしてエモくない?なんかもう、散ってる時点でバッドエンド感あるんだけどw」
けいこ先生.icon
「“エモい”というのは、“心にしみる”とか“情緒がある”という意味かしらね。ええ、確かに“花散里”という名前には、どこか儚さが感じられますね。」
ふーこ.icon
「そうそれ!儚い系ヒロインってやつ?でもさ、源氏物語ってモテ男の話でしょ?その中で“散ってる側”って、ちょっと不憫じゃない?」
けいこ先生.icon
「不憫、つまり“気の毒”ということですね。たしかに、花散里は他の華やかな女性たちと比べると、目立つ存在ではありません。でも、その静かさが彼女の魅力でもあるのですよ。」
ふーこ.icon
「えーでも、派手な方が勝ちじゃない?現代でもバズるのはそっち系じゃん。」
けいこ先生.icon
「“バズる”というのは、多くの人の関心を集めることですね。けれど、花散里の良さは、そうした一時的な注目とは少し違います。彼女は、長くそばにいて安心できるような存在なのです。」
ふーこ.icon
「あー、なんか“安定枠”って感じ?結婚するならこういう人、みたいな?」
けいこ先生.icon
「ええ、“安定した伴侶にふさわしい方”といったところでしょうか。源氏も、華やかな恋に疲れたとき、花散里のもとを訪れています。」
ふーこ.icon
「え、じゃあ都合いいときだけ来る感じ?それちょっとクズじゃない?源氏くん…」
けいこ先生.icon
「“クズ”という表現は少々強いですね。“自分勝手なところがある”と言い換えましょうか。確かに源氏にはそういう面もありますが、それでも花散里は彼を受け入れるのです。」
ふーこ.icon
「えー優しすぎん?それってさ、自己犠牲ってやつじゃないの?」
けいこ先生.icon
「自己犠牲というよりは、“相手を思いやる心”でしょうね。花散里は、自分の立場や感情をわきまえたうえで、静かに相手を支えるのです。」
ふーこ.icon
「なんかさ、派手じゃないけど、じわじわ良さがわかるタイプか…スルメ女子?」
けいこ先生.icon
「“噛めば噛むほど味わい深い方”ということですね。ふふ、その表現はなかなか面白いです。」
ふーこ.icon
「でしょw なんか最初は地味って思ってたけど、話聞いてたら普通に推せるかも。」
けいこ先生.icon
「“推せる”というのは、“好ましく思える”という意味ですね。そう感じてもらえたなら、花散里もきっと喜ぶでしょう。」
ふーこ.icon
「うん、なんかさ、桜が散るのも悪くないって思えてきた。終わりっていうか、落ち着く感じ?」
けいこ先生.icon
「ええ、散るからこそ美しいものもあります。花散里という名には、そうした静かな美しさが込められているのでしょうね。」
窓の外で、また一枚、桜の花びらが静かに落ちた。