師弟歓談:桐壺更衣(源氏物語)
放課後の教室。窓からやわらかい光が差し込んでいる。
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「ねえ先生〜、『桐壺更衣』ってさ、なんか“推しがしんどい系ヒロイン”って聞いたんだけど、マジ?」
けいこ先生.icon
「“推しがしんどい系”…つまり、見ていて胸が苦しくなるほどつらい立場の人物、ということかしら。ええ、その表現、あながち間違ってはいませんよ。」
ふーこ.icon
「やっぱそうなんだ!なんでそんなにしんどいの?天皇の寵愛ゲットしてるなら勝ち組じゃないの?」
けいこ先生.icon
「“勝ち組”というよりは、“特別に愛されたゆえに苦しんだ人”ですね。桐壺更衣は身分があまり高くなかったのに、帝からとても深く愛されてしまったのです。」
ふーこ.icon
「え、え、それってむしろラッキーでは?逆に?」
けいこ先生.icon
「一見そう思えますね。でも宮中では、身分の高い女性たちが多くおります。そうした方々からの嫉妬や嫌がらせが、非常に厳しかったのです。」
ふーこ.icon
「あー、なるほど。いわゆる“炎上案件”か…。周りからヘイト集めちゃった感じ?」
けいこ先生.icon
「“炎上”というより、“周囲の反感を一身に受けてしまった”と申しましょうか。帝が特別扱いすることで、他の方々の心が穏やかでいられなくなったのですね。」
ふーこ.icon
「うわ…それはキツい。てか帝さ、もうちょいバランス取れなかったの?」
けいこ先生.icon
「そのお気持ちはよく分かります。ただ、帝はそれほどまでに彼女を愛していたのです。理性よりも感情が勝ってしまった、と言えるでしょう。」
ふーこ.icon
「いや〜でもそれで本人がダメージ受けるのはつらすぎじゃん…。守ってあげてよって思うんだけど。」
けいこ先生.icon
「ええ、本当にそうですね。帝もできる限り守ろうとはなさいましたが、宮中のしきたりや人間関係は、そう簡単には変えられなかったのです。」
ふーこ.icon
「結局どうなるの?ハッピーエンドではないよね、これ…」
けいこ先生.icon
「残念ながら、桐壺更衣は心身をすり減らして、若くして亡くなってしまいます。」
ふーこ.icon
「えっ……それは無理、しんどすぎる…。完全にバッドエンドじゃん…。」
けいこ先生.icon
「そうですね。ただ、その悲しみが物語の大切な出発点になるのです。彼女の子どもが、あの有名な光源氏なのですよ。」
ふーこ.icon
「あ!そこ繋がるんだ!え、じゃあ源氏って、そんな切ないスタート背負ってるの?」
けいこ先生.icon
「ええ。だからこそ、源氏物語全体にどこか“もののあわれ”が漂っているのです。」
ふーこ.icon
「うわ〜…なんか急に深み出てきた…。ただの恋愛じゃないんだね。」
けいこ先生.icon
「その通りです。華やかに見える世界の裏にある、人の弱さや悲しみ。それを丁寧に描いているのが、この物語の魅力なのですよ。」
ふーこ.icon
「なるほどね〜…。桐壺更衣、ガチで“尊いけどしんどい”人だったわ…。」
けいこ先生.icon
「“尊くもあり、哀れでもある方”と申すのがふさわしいでしょうね。」
ふーこ.icon
「先生の言い換え、毎回ちょっと上品すぎて笑うんだけどw」
けいこ先生.icon
「ふふ、言葉は大切に使いたいものですからね。」
チャイムが鳴り、教室にはゆるやかな余韻が残った。