師弟歓談:末摘花(源氏物語)
放課後の教室。夕日が差し込む中、ふーこは机に突っ伏してスマホをいじっている。
ふーこ.icon
「ねえ先生〜、『末摘花』ってさ、正直ハズレヒロインじゃね?って思っちゃったんだけどw」
けいこ先生.icon
「“ハズレヒロイン”ではなくて、“あまり魅力が理解されにくい登場人物”と言ったほうがよろしいかしらね」
ふーこ.icon
「あ、それそれw でもさ、源氏くんもさ、わりと塩対応じゃん?なんであんな子のとこ通ってんの?謎すぎる」
けいこ先生.icon
「ええ、確かに源氏は戸惑っている様子もありますね。でも彼は、約束や情を大切にする人でもあるのです」
ふーこ.icon
「情ってやつ?え、でも顔がちょっとアレなんでしょ…鼻がこう…なんか特徴的な」
けいこ先生.icon
「ええ、外見については当時の美の基準から外れていると描かれていますね。ただ、それだけで人の価値が決まるわけではありませんよ」
ふーこ.icon
「まあね〜、でもさ、性格もおっとりしすぎっていうか、ちょいズレてる感じしない?」
けいこ先生.icon
「“ズレている”というより、“世間慣れしていない純粋さ”と捉えることもできますね」
ふーこ.icon
「あ〜、ピュアすぎて逆に浮いちゃうやつか。現代で言うと、天然すぎて会話噛み合わないタイプ?」
けいこ先生.icon
「ええ、その表現も近いかもしれません。ただ、その純粋さが彼女の魅力でもあるのですよ」
ふーこ.icon
「え、魅力…?源氏くん、ほんとにそう思ってたのかな?」
けいこ先生.icon
「最初は戸惑いもあったでしょう。でも、長く関わる中で、彼女の誠実さや一途さに心を動かされたのではないかしら」
ふーこ.icon
「え〜、なんかそれって、じわじわ好きになるやつじゃん。スルメ系ヒロイン?」
けいこ先生.icon
「“時間をかけて良さがわかる人物”と言い換えましょうか」
ふーこ.icon
「先生、毎回きれいに直してくるの草w」
けいこ先生.icon
「“面白いですね”とおっしゃいなさい」
ふーこ.icon
「はいはいw でもさ、なんかちょっと切なくない?末摘花って、ずっと同じ場所にいてさ」
けいこ先生.icon
「ええ、とても切ない物語です。変わらない彼女と、変わっていく源氏。その対比が描かれているのです」
ふーこ.icon
「うわ、それ聞くと一気にエモくなってきた…」
けいこ先生.icon
「“情緒的で心に響く”と表現すると、より美しいですね」
ふーこ.icon
「もう先生の言い換え講座なんよw」
けいこ先生.icon
「ふふ。でも、ふーこさんの感じた“エモい”という気持ちも、とても大切ですよ」
ふーこ.icon
「そっか。なんかさ、最初はネタキャラっぽいと思ってたけど、ちゃんと読むと普通に泣けるかも」
けいこ先生.icon
「ええ、そうして少しずつ見方が変わるのも、古典の楽しみのひとつですね」
ふーこ.icon
「よし、じゃあ今度ちゃんと読むわ。倍速じゃなくてw」
けいこ先生.icon
「“丁寧に味わう”とおっしゃいなさい」
ふーこ.icon
「はいはい、“丁寧に味わいます”先生〜」
夕日はすっかり沈み、教室にはやわらかな静けさが残っていた。