ハインリッヒの法則
1件の死亡・重傷災害が発生したとすれば、それと同じ原因で29件の軽傷災害を起こし、同じ性質の無傷害事故を300件伴っているとされる。 この300件がインシデント(ヒヤリハット事例)ということであり、言い換えると300件のヒヤリハットには、1件の重傷災害、29件の軽傷災害発生の可能性があるということになる。
アメリカ合衆国の保険会社の部長であったハーバート・ウイリアム・ハインリッヒ(Herbert William Heinrich)が1941年に発表した著書「Industrial Accident Prevention, A Scientific Approach」(日本語訳:ハインリッヒ産業災害防止論)で示した、労働災害や事故についての法則(経験則)のこと。
事故が許されない職場では耳にタコができるほど言い聞かされる(らしい)。
これは三角形のピラミッドで説明しやすいので、ハインリッヒの三角形とかピラミッドと称することがある。
ドミノ理論とも言う。
Heinrich's law
「1:29:300」の法則
1:29:300 という数字の比率は、だいたいこのくらい、という程度のものらしい。
事故の5つの連鎖(ハインリッヒのドミノ理論)
ハインリッヒのドミノ理論では、最初のステップを失敗すれば、あとが連鎖してゆく。
育ってきた背景及び社会的な環境(ancestry and social environment)
人による失敗(fault of person)
不安全な行動、及び/又は設備的、又は身体的な危険(unsafe act and/or mechanical or physical hazard)
事故(accident)
傷害(injury)
最初の3つのステップをひとつでも、又は順番にでも除去できれば、事故や傷害は防ぐことが出来るとしている。
事故防止の5つのステップ(Foundation -Basic Philosophy- and the Five Steps in Accident Prevention.)
1. 組織化(Organization)
2. 事実の発見(Fact Finding):現状分析とか、「3現主義」といわれているもの.
3. 分析(Analysis)
4. 改善案の検討・決定(Selection Remedy)
5. 改善の実施(Application of Remedy)
「重大事故の陰には事故の芽がたくさん潜んでいる」と言えるわけで、労働災害をなくすには、ヒヤリハット(ニヤミス)から手を打ち、潰していかなければならないことを示唆している。
これを教訓にして、日本では製造業を中心に労働災害を防止のためにヒヤリハット事例を積極的に集めたり、KYK(危険予知)活動を社内で展開しているところが多い。
バードの法則
フランク・バード(Frank E.Bird Jr.)による法則。
1969年に発表され、アメリカの保険会社のデータ(21業種297社1,753,489件)から導き出されている。
ニアミス 600 : 物損事故 30 : 軽傷事故 10 : 重大事故 1、の比が成り立つとされる。
1:10:30:600。
タイ=ピアソンの結果
1974年、1975年にイギリスの保険会社のデータ約100万件からTyeおよびPearsonにより導き出された結果である。 ニアミス400:物損事故80:応急処置を施した事故50:軽中傷事故3:重大事故1、の比が成り立つとされる。
1:3:50:80:400