エラン・ヴィタール
élan vital
ベルクソン哲学を特徴づけるイマージュ。
内的持続は宇宙の万象にもろもろの形でみいだされるが、無気力物質を記憶なき絶えざる現在反復とすれば、生命は過去―現在―未来の時間的総合(サンテーズ)の弛緩(しかん)・緊張によってもろもろの水準に分けられ、そのような緊張、それに由来する活力・創造力の理念的極限に一つの至高にして完璧(かんぺき)な純粋創造力を想定しうる。
エラン・ビタール(生の飛躍)とは、当時最先端の科学であった生物学の成果を踏まえて、宇宙論的視座からこのような自己刷新的持続や時間的総合の極北としての純粋創造力に仮に付された名辞であり、万象の本質がそこにみられるとともに、事実上の万象はこの創造力のもろもろの挫折(ざせつ)態と意味づけられた。