SWOT分析の問題点
「巨大企業以外」の企業の現場にこれを持ち込みますと、様々な問題点が浮上してきます。 企業の内部的「強み」と思われる点が、本当に強みと言い切れない場合がある。 「強み」という考えは、抽象的かつ相対的なものです。
「ここは強い!」と考えても本当に強いのかどうか怪しいものです。
また、「強み」と考えることによって、自爆することがあり得ないでしょうか? 例えば、分析結果の強みが、「商品の安さ」という場合はどうでしょうか?
他社が自社より価格を安くすれば、もうそれで自社の強みがなくなってしまいます。
それはマズいと、更なる安売りを続けていけば、いずれはそれが致命傷となりかねませんよね。
「強み」と分析された点が、強みでない場合が多い。
1.で申し上げた例ですと、「商品の安さ」ということは、実は強みではなかったと考える方が自然です。
SWOT分析の延長線上に「コアコンピタンス」という有名な概念がありますが、これなども、コアコンピタンスなど企業内部に存在しないだろう企業がほとんどのはずであり、それにも関わらず、気軽にこの言葉を使うコンサル屋さんが多いことには辟易いたします。
「強み」がなく、「弱み」があまりにも多すぎる場合が多い。 あまりにも多すぎる弱みを、「全て何とかしなさい!」と言われましても、現実的には不可能です。
また、分析次第では、企業内部の全てが弱みという恐ろしい事態もあるでしょう。
外的な「機会」と「脅威」を過去データからいくら分析してみても、新たに予想外の事態が頻出するものです。
これだけ激動の世の中であれば、突然予想外のビジネスチャンスやピンチがやってきるものです。
机上のデータ分析だけから「戦略策定」をしようとしても、このような外部要因には対応出来ません。
また、各部署に細かく策定された戦略を実践するように要求されているわけですので、予想外のチャンスにもピンチにも身動きが取れません。
そもそも過去データの分析をベースにした「戦略策定」なので、新規性のある戦略はあり得ず、結論は、低価格化戦略か特定分野への資本集中化戦略という平凡なものばかりです。 新規事業や歴史のないベンチャーにも、過去データが存在しないが故にこの分析は使えません。
余談ですが、「経営」は「診断」するべきものではなく、「戦略」は「策定」するべきものではないと日々感じています。
机上での分析をベースにしているので、現場の状況とはかけ離れたものになってしまう。