戦闘の原則
国家の戦略の目的を確認し、我々は戦域の軍事目標を選択し、特定の任務と能力に基づく作戦上、戦術上の目的を形成することができる。
その目的が、敵軍の撃破なのか、単に敵軍の能力を有効に活用させないための工作に過ぎないのかにかかわらず、指揮官にできる最も重要な準備は、下級指揮官に明確な作戦目標を表明すること。
(※訳注:戦略級、戦域級、作戦級、戦術級と次第に規模が縮小する)
決定的な時期と場所(戦機)に戦力を集中すること。
強い部分を相手の弱い部分に当てること。
敵の致命的脆弱性の攻略に資源を集中し、また焦点を合わせるならば、軍は(敵より少数の一隊であったとしても)決定的な戦果を収めることができる。
海を盟友とする海軍任務部隊は、戦力集中の原則を通じて数の劣勢を補うことができる。
戦力集中は更に決定的戦果をあげる推進役ともなりうることを意味する。
戦力の適切な運用を通じて、敵を不利な状況に置くこと。
戦闘機動(機動性)の用法は、敵の脆弱性に関連する時間と空間に優勢な我が軍(プラット フォームと兵装)の速度と機動性を利用する。
歴史的軍艦に見られる「T字交差」、敵を包囲した現代の地上軍、またあるいは反応する敵の能力を超えた戦闘速度での攻撃、戦闘機動は、幾つかの次元で敵の頭を抑えることを許す。
我々の優位性は、戦闘機能の相違の活用、敵との相対位置と速度の優越から生まれる。
主導権を獲得し、維持し、活用すること。
帆船時代(主導権を取得するため競争相手に対して優位な風上に立つ)以来、攻撃的な行動は、予期しない進展から機会を捉え、脆弱性につけ入り、我々が条件を設けて対決の場所を選択することを可能とする。 主導権獲得の攻勢は、敵の行動の自由を制約するために可能な軍の賢明な用法であり、これは我々の哲学である。
軍事力は、可能な限り効率的な方法で行使すること。
最小限の戦力を副次効果のために割り当てること。
資産より多くの利用可能な目標があっても、各部隊は必須の主目的に注意を集中しなければならない。
敵の致命的な脆弱性(例えば任務から外への特定の指揮統制ノードへの打撃)への幸運な統合海軍への攻撃 には、全指揮統制系を破壊する 試みよりはるかに多くの有用性がありえる。 一人の信頼できる指揮官の元に、あらゆる目的への努力の統一を保証すること。
責任の範囲が、単一の、独立した海上の艦であっても、揚陸作戦であろうと、我々は一人の指揮官を任命し、部隊の統一を達成する。
指揮官はその意図を示して全体的な焦点をを与えた後、下級指揮官が適時重大な意思決定を下し、統一された目的の追求への速さを維持することを認める。
準備、立案、および軍事作戦の指揮に際し、不必要な複雑さを回避すること。 今まで行われた最も影響力のある幾つかの海戦のための実施命令は、単文節 と大差ない。
簡明な計画と明確な方向性は理解を促進し、混乱を最小限にする。 1991/01/17作戦命令91-001の「砂漠の嵐」作戦の同盟軍の目的を要約すると、単一のセンテンスとなる。 「イラクの政治/軍事指導権および指 揮統制を攻撃する。イラクの補給線を切断する。化学/生物学/核保有能力を破壊する。クウェート戦域の共和国守備軍を撃破する。クウェートを開放するこ と」
この目的は簡明で、明確で、制限されている。
敵が予期しない時、場所、方法で敵を打撃すること。不意の直接打撃による敵の拘束は、敵軍を防勢におき、我々がイベントを動かすことを可能とする。
奇襲要素は好ましいが、敵にまったく知られないことは必ずしも必要ではない。 効果的な反応が間に合わないようになれば十分である。
隠密技術や欺瞞の利用に より、我々の能力と意図を秘匿することは、我々に敵の準備が整いきる前に打撃する機会を与える。
予期せぬ敵の優勢獲得を決して許さないこと。
部隊の保護は、我々の戦闘力を増加させる。鋭敏な監視員、先進的な監視員、あるいは電子放射物制御のう ような手段、敵対行為の脆弱性の軽減、その影響、奇襲による全ての我々の行動の自由を促進する。 ゲームやシミュレーションののようなツールにより、我々が 敵の観点から我々自身をとらえることが可能となる。
敵の戦略、戦闘教義、戦術についてよく理解することで、我々のセキュリティを向上させる。