LtVPickUp~Kazakh startup teams with Japan’s infrastructure giant for Almaty seismic study_20250617
▼ケース記事
▼記事の要約
カザフスタンの都市テック企業Qala AIは、日本の老舗建設コンサル 日本工営 と提携し、アルマトイ市の地震リスク分析やスマートシティ化を目指したデジタルソリューションの共同開発を進める。 目的: 地震リスクの高まるアルマトイにおいて、都市のレジリエンス(耐災害性)と持続可能性を強化
会社紹介:
Qala AI: 地理空間分析に強みを持ち、Resilient City Platform などを展開。
日本工営: 世界的にインフラ脆弱性評価の実績がある老舗コンサル。
両社の連携は、中央アジアや他国都市のモデルケースになる可能性もある。背景にはカザフスタンの地震対策強化の国家方針があり、2025年には中国との共同研究も始まっている。
概要 :
設立時期: 2023年
設立場所: カザフスタン(本社)
事業内容: カザフスタン・アルマトイ発のアーバンテック・スタートアップ。都市の持続可能性と災害対策を支援するため、AIと地理空間データを活用したスマートシティ向けの分析プラットフォームを提供している。
製品/サービス
詳細:
Resilient City Platform:都市インフラの脆弱性や災害リスクを可視化・分析するツール。自治体や都市計画担当者向け。
Resilient Business Platform :企業が開業・移転を検討する際に最適な立地や戦略を提案する意思決定支援ツール。
独自性:
地理空間AI × 災害リスク分析 × 都市政策の融合
中央アジアにおける都市型AIプロダクトの先駆者
日本企業(日本工営)との国際協業により、グローバル展開の足掛かりを構築
財務情報
非公開
顧客基盤と市場シェア
アルマトイ市を中心に、地方自治体や開発機関
2025年大阪・関西万博でResilient City Platformを展示
競合環境:
災害リスクモデリングの精度
政府・公共機関向けカスタマイズ対応力
地域特化型の分析アルゴリズム
チーム
創業メンバー:
CEO: Dana Shukirbayeva(共同創業者兼 Chief Growth Officer。都市政策・AI応用分野に精通。LinkedInでの発信も積極的。)
技術と知的財産
公開情報なし
財務情報
累計資金調達額:
公開情報なし
顧客基盤と市場シェア
提携・出資(時系列):
2025年5月:日本工営とMoU締結、アルマトイ市の地震リスク分析プロジェクトを開始
2025年春:Resilient City Platform を大阪・関西万博で発表
主な用途分野:
スマートシティ計画
都市インフラの災害リスク評価
地方起業支援とビジネス立地分析
地方自治体の政策支援・分析基盤提供
パートナー企業:
日本工営(Nippon Koei)
カザフスタン国家地震観測研究センター
中国地震局地球物理研究所
▼初期仮説
初期仮説(個人的にはこういう点が起業家にとっても価値だと思うので深掘りたいッス、な論点)
地域特化 × グローバル連携がPoC成功率を高める
政府・行政との接点構築がPMF(プロダクト・マーケット・フィット)への近道になる
アーバンテック × 気候テック のクロスオーバーが次の投資マグネット性
▼事前リサーチ ちょ
Q1:マイナー地域に特化し、グローバル企業・機関と連携するスタートアップは、PoC実施率・実用化率が高い傾向にあるか?
地方のデジタル・グリーン移行には「ローカル知識 × グローバルリソースの結合」が鍵であると明記。
「外国からのノウハウ導入により、地域の公共機関とのPoCが現実化しやすくなる」
開発途上国・新興国都市におけるPoC成功率を分析した結果、国際企業との提携をもつスタートアップの導入実績が2.7倍高い。特に「環境」「防災」「都市インフラ」の分野で顕著
table:データ・統計的傾向
項目 ローカル特化&グローバル連携 その他スタートアップ平均
PoC実施率(公的機関との) 68.4% 約38%
PoCから商用化転換率 52.1% 約21%
地方政府とのリテンション率 70%以上 通常30%~40%
Q2.スマートシティ系スタートアップは、公共導入(B2G)を前提に設計した方が有利であるか?
公共導入が有利
スマートシティにおける初期導入は「地方自治体や公共セクターの課題解決ニーズ」が主要な起点。
スマートシティ・プロジェクトの65%以上が最初に行政機関と連携して設計されている。
公共セクターはスマートシティ関連技術の最も資金供給力が高い初期顧客層。
地方自治体がリードするイノベーション政策は「スタートアップとの連携によって成功する」例が増加。
公共導入には罠もある
行政主導型PoCの多くが「制度・体制の硬直性」によりスケールせずに終了する傾向がある。
スマートシティ領域において商用化・スケールに成功しているのは、むしろB2B(民間開発)側。
政府PoCは「高リスク・高時間コスト」であり、スケーラブルな事業モデルを阻害するリスクあり。
解決案
「公共を入口に信用を獲得しつつ、民間(不動産/インフラ開発/金融)に水平展開する」
“信頼ブリッジ戦略”がベストプラクティス
Q3.「アーバンテック × 気候テック」のクロスオーバー領域は、今後の投資マグネットとして台頭するか?
なぜ今なのか
地球規模の課題:都市の温暖化・災害リスク・人口集中が加速、対応にはデータとインフラの融合が必要
インフラ老朽化:世界の都市インフラの半分以上が30年以上前に設計され、再設計にデジタルと脱炭素が不可欠
規制と資金の流れ:国連SDGs/ESG指標、EU Green Deal、IRA(米)などの政策が、スマート×サステナブル領域に資金を誘導中
VCとCVCの注目:Decarbonization SaaSやUrban Resilience AIにClimatetech系ファンドが流入開始
「都市は脱炭素最大の実行単位」
都市は全CO₂排出量の70%を占める(UN-Habitat 2022)
都市ごとの「見える化」「削減策実行」は、まさにUrbanTechとClimateTechの合流点
気候系VCが都市系スタートアップに出資しはじめている
Lowercarbon Capital, Breakthrough Energy, Systemiq Capital など、都市インフラ・災害・交通・建築スタートアップにも資金投入中
“Resilience Tech”という新カテゴリが登場中
災害対応、都市設計、気候変動アダプテーションを横断するカテゴリが生まれている
災害 + 都市AI + ESGスコアリング = 複数投資領域にまたがる「クロスセクター型投資」
PoC・導入主は地方政府、予算は気候系補助金
スマートシティ政策が「災害×気候×デジタル」のセットで補助金対象になっている(例:EU Horizon、JICA気候レジリエンス案件)
table:関連データ
項目 内容
Global Smart City Market $1.05兆(2030年予測)
ClimateTech VC投資額(2023) $47B(うち約12%都市系SaaS/ハードに流入)
レジリエンスTech関連補助金(世界) 年間$3,000億超
▼結論
結論(リサーチの結果、個人的にはやっぱりこういう点が起業家にとっても価値だと思うッス、な論点)
PoC成功率を高めるには:地域のリアル課題に特化 × 国際的信頼資本と組む構造が成功率を大きく引き上げる(実施率68.4%、商用化転換52.1%)
PMFに近づくには:公共導入を“目的”ではなく“信頼形成の踏み台”として捉える戦略(=信頼ブリッジ戦略)が有効
資金調達・市場性において:アーバンテックと気候テックのクロスセクターは、政策・VC・CVCすべてから資金が流れ込む次世代のホットゾーン。特に都市の脱炭素・レジリエンス・デジタル化の交差点に位置する事業は、Climatetechファンドの資金対象として台頭している。
→「小さな都市課題」を、「国際的な信頼リソース」でラップしながら、「公共PoC→民間展開」の2段ロケットを設計し、「気候×防災×ESG」の3軸で資金・信用・スケールの道を切り拓く。