LtVPickUp~Japanese Startup Brings Wasabi Farming to Shipping Containers_20251216
#Ecosystem_Building #Script #PickUp
▼ケース記事
https://www.yankodesign.com/2025/12/09/japanese-startup-brings-wasabi-farming-to-shipping-containers/
▼要約
東京のアグリテック・スタートアップNEXTAGEは、Macnicaと協業し、コンテナ型のわさび栽培モジュールを開発した。
わさび栽培モジュールってなに?
40フィートのコンテナ内で、LED照明・循環浄水・AIセンサーを用いて約1,800株のわさびを栽培可能
需要はどこから?
日本では気候変動・農業従事者の減少・自然災害(台風・洪水)により、伝統的なわさび栽培が深刻な危機に直面している。
わさびは水質・温度・環境条件に非常に敏感
従来は山間の清流でしか安定栽培が難しかった
わさび栽培モジュールの特徴
コンテナ内で温度・湿度・CO₂・水温・光量などを完全制御
カメラとセンサーのデータをAIが遠隔管理する
専門知識がなくても栽培できるターンキー型(即導入可能)システム
高級品種である真妻わさび(和歌山県)を栽培対象
香り・辛味・甘みのバランスを維持
通常20〜24か月かかる収穫までの期間を、約10か月に短縮することに成功
タイムライン
2018/1 中村拓也氏が、伝統農家の被害を目の当たりにした経験から起業(外部ソース参照)
2023/12 Macnicaが最初の導入企業となった
実証・研究施設として活用
2024/1モジュールの商用販売を開始
2024/10 シリーズA資金調達を実施→自動化技術の開発を加速
将来の展望
日本発の植物工場技術を世界へ輸出する構想
高級寿司店などが地産地消に近い形で本わさびを安定確保できる可能性が広がっている
Source: https://www.iwate-np.co.jp/pr/prtimes-story/4544
▼会社概要 (NEXTAGE)
概要
設立時期: 2018年1月
設立場所: 東京都
創業者: 中村拓也
事業内容: 屋内型・環境制御水耕栽培モジュールを開発し、AIを活用して高品質なわさびの安定生産を可能にするアグリテック企業。国内だけでなく海外市場にもモジュールや栽培システムを展開し、日本のわさび文化と供給を世界に広げようとしている。
Source: https://prtimes.jp/story/detail/zxgAOjCeYlb
Source: https://www.crunchbase.com/organization/nextage-3d6d
製品/サービス
詳細: 温度・湿度・水質・養分・水位・色相など複数の環境要因をセンサーで常時取得し、AIが生育状況を解析・予測する4ftの屋内型わさび栽培モジュール。解析したデータは遠隔モニタリングとアラート機能とともに少人数の専門家により解釈され、遠隔なモジュール管理に使われる。専門家の判断を組み合わせることで品質の安定化と生育期間の短縮を実現している。
独自性: AIを用いた栽培期間の短縮(普通は2年だがこのモジュールでは1年で栽培可能)、決まった自然環境の中でなくても最高級の真妻わさびや葉わさびを省スペースで栽培できる。
Source: https://prtimes.jp/story/detail/zxgAOjCeYlb
Source: https://nextagecorp.com/
チーム
創業メンバー:
中村拓也: 1994年に明治学院大学国際学部国際学科を卒業後、千代田化工建設で経営企画に携わり、荏原製作所では営業部門責任者として台湾赴任を経験。その後、エル・ティー・エスなどで執行責任者を歴任し、2018年1月に株式会社NEXTAGEを創業。
Source: https://creww.me/ja/account/拓也-中村-b36f7638-b0e7-4033-90f2-417a928b36d9
技術と知的財産
使用技術: 温度・湿度・水質・養分・水位・色相など複数の環境要因をセンサーで常時取得し、AIが生育状況を解析・予測する4ftの屋内型わさび栽培モジュール。
特許: 特許や知的財産権に関する具体的な情報は公開されていない。
Source: https://nextagecorp.com/
財務情報
累計資金調達額: 3億4,120万円
シードラウンド:
リード投資家: 不明
投資家の数:1
調達額: 1億4,120万円
年月: 2023/2/22
Series A:
リード投資家: 不明
投資家の数:不明
調達額: 不明
年月: 2024/10/1
Series A:
リード投資家: Deepcore
投資家の数:1
調達額: 2億円
年月: 2025/9/5
Source: https://www.crunchbase.com/organization/nextage-3d6d#company_funding
顧客基盤と市場シェア
(参考までに)今までの商談先
既にアグリ関連や植物工場事業を手掛けている事業者(多品種化や転作検討)
飲食や食品加工、食品物流など食関連の事業者
新規事業を積極的に検討している事業者(多業種)
太陽光発電や再エネ関連事業者
余剰電力が見込めそうな製造業事業者(倉庫・物流事業者含)
地元貢献やCSR文脈の活動に積極的な事業者(主に上場大手企業など)
地域創生文脈で新たな特産物を作る事などを考えている自治体、ふるさと納税事業者
廃校や統廃合の病院等公共施設の利活用事業者
都市銀行・地方銀行、CVC、VC、投資事業者
わさびの需要があるが、供給に苦労しているところ
海外でエネルギー調達コストが低く、わさびの需要が高いところ。
記事にある通り、Macnicaに1号品を納品。
公開されていないがすでに導入が決まっている企業も複数あり。
Source: https://sakumaga.sakura.ad.jp/entry/nextagecorp/
Source:
競合環境
わさびモジュール:
金沢工業大学電気電子工学科平間淳司研究室とNX商事株式会社の共同研究:
コンテナ型中規模ワサビ工場によるワサビ水耕栽培の実証実験
類似技術だと:
植物工場・クライメートコントロール栽培技術を使い、農産物の安定供給や効率的な栽培を目指す企業
Restar: 主に食用レタスなどの植物工場
大気社: 完全人工光型植物工場事業
植物工場分野に展開している企業
Canon: 完全自動化された植物工場の開発
競合環境: 植物工場業界自体は年率20-30%で成長を続けると推移されており、CAGR(2023->2030)は27%。わさびにフォーカスした植物工場は研究段階のものはあるが、実際に収益化しているモデルはなし。
差別化:AIの利用、栽培期間の短縮、人件費の削減など。
Source: https://www.canon-elec.co.jp/vegetable-factory/
Source: https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2025/0214_wasabi.html
▼初期仮説
初期仮説(個人的にはこういう点が起業家にとっても価値だと思うので深掘りたいッス、な論点)
高級わさびを使用するのは主に高級寿司店で、大型に展開(チェーン展開)している可能性が低く、大型のモジュールを装備する予算・場所がないのでは。→高級わさびだけでは市場規模、利益向上にに限界があるのでは。
結局AIの分析結果を用いてNETXTAGEの専門家がモジュールの持ち主に扱い指示を送るのであれば、1. わさびの栽培環境に関する分析を解釈して、実行プランに反映しているのは人間 2. 実際にモジュールの環境を操作するのは持ち主という観点から、AIの重要性は懐疑的なのでは→収益化する上で人件費がネックになる可能性がある。
AI技術に価値があると仮定した場合、わさびだけでなく茶葉(茶葉栽培も専門性が高く、環境に左右されそう。)などの栽培にも使うことができ、横展開の可能性が広がる。
▼事前リサーチ by Juri Yano.icon
Q. 現時点で真妻わさびを使っているのは高級寿司店のみか?
A. (記事に書いてある前提を覆してしまうが、真妻わさびは実は主に静岡が生産地らしい)
わさび界では最高峰の質https://scrapbox.io/files/693f9a7b15f09ca340a0526c.png
真妻わさびの出荷先データはない。しかし、最高峰の品質であることからそこら辺で食べられるわけではないと思う。
→逆にくら寿司などのチェーンはどのようなわさびを使っている?
スシロー
国内産「本わさび」と北海道産「西洋わさび」をブレンド
本わさびの中でどれなのかわからないが、とにかくブレンド。
はま寿司
最終加工国が日本のわさび
くら寿司
本わさびと西洋ワサビのブレンド
原産国は中国と日本。
銀のさら
不明
かっぱ寿司
中国原産のわさび
少なくともトップチェーン店では真妻わさび100%で使っていない。→高級店のみの可能性が高い。
Source: https://www.town.wakayama-inami.lg.jp/0000000276.html
Source:https://sutekinaanohito.jp/column/2917/
Source: https://www.nipponsoft.co.jp/blog/analysis/chain-sushi2025/
Source: https://www.hama-sushi.co.jp/menu/origin/
Source: https://www.610kura.com/SHOP/V17.html
Source: https://www.kappasushi.jp/master_data/pdf/info_origin.pdf
Q. 高級寿司店の収益構造は?どのくらい予算に余裕がある?
回転寿司店なども含めたデータだが、売上高経常利益率は平均で0.4%、償却前経常利益率で3.0%→収益力は低い
自己資本比率も平均-38.6%→債務超過企業が多い
原価率は高級寿司店で30-40%
営業利益率は15-20%ほどとのデータも
ただ集客数が少ないため、利益は不安定
食材の品質維持、ロス管理もシビア
資金源に余裕はあまりない。食品ロスも課題で利益も不安定であるため、安心して莫大な投資を行う余裕はなさそう。
Source: https://ss-net.com/succession/files/rieki2110s.pdf
Source: https://www.okane-gakkou.biz/2024/11/blog-post_953.html
Q. 高級寿司店の土地面積は?
商店街、住宅地への抜け道など。
高級感を出すため、落ち着いた立地である必要がある
寿司屋の居抜き物件はどのくらいの大きさ?(居抜きサイトで上位20物件)
9.98坪、71.68坪、14.39坪、5.78坪、14.39坪、25.9坪、13.99坪、7.87坪、76.73坪、14.35坪、6.44坪、15.17坪、18.14坪、36.01坪、101.13坪、7.91坪、49.95坪、24.53坪、11.03坪、16.84坪など
幅はある
平均値:27.11 坪
中央値:14.78 坪
→各わさび栽培モジュールが40ft(約1.12坪)であることを考えると、面積的には可能ではありそう
ただ、高級寿司店では店内の雰囲気のためにモジュールはお客さんから隠さなければいけない可能性が高いので、繁華街のビル1階に入っている寿司屋などではスペースが限られるかもしれない。
Source: https://www.inshokuten.com/bukken/media/332
Source: https://prtimes.jp/story/detail/zxgAOjCeYlb
Q. NEXTAGEのAI技術において、ユニークネスはどこにあるのか?
AI技術
温度・湿度・CO2濃度・水質・養分・色相・水位などの自動監視
遠隔モニタリングと自動アラート機能
生育予測や収量シミュレーション
生育期間が2年から1年に短縮→ここが大きいのかも?
Source: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000063114.html
Q. 一つのモジュールを運営するのに、どのくらいの人件費がかかるのか。
人が行うのは
2週間に一度ほどの葉の剪定(せんてい)
月1回の養液追加と清掃
収穫
人件費削減の要素
普段の室内環境のモニタリングや管理を遠隔操作で行う
全く人件費がゼロになるわけではないが、従来各農家に一人ずつ必要だった専門家が、複数モジュールで一人で十分になることで、コストは相当抑えられるのでは。
Source: https://www.asahi.com/sdgs/article/15629560
Q. 茶葉栽培は近年の気候変動に影響されているのか。茶葉栽培農家の推移は?
4月ごろの最低気温の降下傾向により、宇治では新芽が凍結したり霜で枯死したりする凍霜害が起きている
減収、品質低下の原因
下記の高温、少雨により、静岡では3番茶の生育が抑制。
日本国外、インドなどでも干ばつや不安定なモンスーン、気温上昇によって茶葉の収穫量が落ち込んでいる。
気候変動の他に、栽培面積、栽培農家戸数が減少している。https://scrapbox.io/files/6940833ff95f226a3922cdbe.png
Source: https://weathernews.jp/news/202504/300265/
Source: https://adaptation-platform.nies.go.jp/moej/conso/report/2-1.html
Source: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB214IS0R21C25A1000000/
Source: https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/attach/pdf/230929-4.pdf
Q. 茶葉の需要推移は?
1世帯あたりの緑茶購入数は平成30年から令和5年の間で3割減少。(国民一人あたりの年間消費量が約2割増加。)
https://scrapbox.io/files/69408272b0fcaf78bd2173b2.png
年代が高いほど緑茶の支出額は多い。
海外需要は大きく増加
令和5年には過去最高の292億円を消え億
抹茶などの粉末状緑茶の需要が拡大
有機栽培茶に対するニーズが高い
緑茶の輸出実績https://scrapbox.io/files/694082f8bf0cda1d21a9aac5.png
Source: https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/attach/pdf/230929-4.pdf
▼結論
結論(リサーチの結果、個人的にはやっぱりこういう点が起業家にとっても価値だと思うッス、な論点)
真妻わさびは主に高級寿司店向けであり、大手チェーンでは使われていないため、市場規模には限界がある。
高級寿司店は収益が不安定で財務的な余力も小さく、大型モジュールへの継続投資は慎重になりやすい。
店舗面積の観点ではモジュール設置は可能なケースが多い。ただし高級店では店内の雰囲気維持のため、設置場所が制約される可能性がある。
→ 高級わさび単体ではスケールや大幅な利益成長は難しい。
AIは完全自動化ではないが、専門家が複数モジュールを同時管理できる点で人件費の集約効果がある。
生育期間を2年から1年に短縮できる点は、導入価値を明確にする重要な差別化要因。
→ AIの価値は「省人化」より「専門性のスケール」にある。
わさびは初期用途に過ぎず、茶葉など他の環境依存・高付加価値作物への横展開こそが本質的な成長ドライバーだと考えられる。
→ 本事業は農産物ビジネスではなく、環境制御×AIのプラットフォームとして捉えることで、長期的で安定した利益成長が見込める。
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