LtVPickUp~Axeleo Capital's new fund hopes to help solve climate tech’s FOAK problem_250520
▼ケース記事
▼記事の要約
Axeleo Capital、気候テック特化の「FOAKファンド」立ち上げ
Axeleo Capital(フランスのVC)は、50百万ユーロ規模の新ファンド「FOAK(First-Of-A-Kind)」を立ち上げ。
このファンドは、ハードウェア主体の気候テック・インダストリアルスタートアップにフォーカスし、特にシード〜シリーズAステージをターゲット。
主な特徴
対象領域:エネルギー、カーボンキャプチャー、サステナブル製造、重要鉱物、水管理など。
狙い:「ラボから実証機まで」の技術検証段階の資金ギャップを埋める。これは、伝統的VCやインフラ投資家が避けがちな領域。
差別化ポイント:ファーストオブアカインド(初号機)に特化し、高リスクだが高インパクトの案件に早期から入る。
VC視点での注目ポイント
市場のタイミング:EUグリーンディール、脱炭素、製造業回帰と連動。
競合少なめ:ソフトウェア系気候テックと異なり、ハードテックの専業VCは少なく、ブルーオーシャン的側面あり。
リスクは高いが、成功すれば戦略的リターン大。また、成長フェーズ以降のインフラ・PEファンドへの橋渡し役も担える。
▼会社概要
概要 :Axeleo Capitalは、フランス・リヨンに本拠を置く、シード〜シリーズA特化型のベンチャーキャピタルファーム。特に、B2B SaaS、エンタープライズソフトウェア、ディープテック、気候テック領域に注力している。独自のアクセラレータープログラムと組み合わせ、起業家支援から成長資金提供まで一貫した投資を行う。最近ではFOAK(First-Of-A-Kind)ファンドを立ち上げ、気候・ハードウェアテック分野にも積極投資を開始。 設立時期: 2015年
設立場所: リヨン(フランス)
事業内容: シード・アーリーステージ投資、アクセラレーション、ディープテック/産業技術の商業化支援
ターゲット市場: B2B SaaS、エンタープライズソフト、産業DX、気候テック(エネルギー、資源循環、脱炭素関連)
チケットサイズ(1社あたりの投資額):約50万ユーロ〜500万ユーロ
製品/サービス
詳細:
FOAK Fund:初号機(First-of-a-kind)クライメートハードウェア領域へのシード〜シリーズA投資 独自性:
フランス発ながら、欧州のB2Bソフトウェア・気候テックに特化したユニークな立ち位置。
シードからシリーズAへのバリューアッププロセスに強み。初号機ファンドなどニッチ・高リスク領域へも積極展開。
起業家コミュニティとの密な接点(Axeleo Studio)を活用したハンズオン支援
財務情報
累計運用資産(AUM): 約1億ユーロ以上(推定)
最新ファンド: FOAK Fund(2024年、50百万ユーロ)
顧客基盤と市場シェア
ポートフォリオ企業例:
Solteo(太陽光発電(PV)業界向けのオールインワンSaaSプラットフォーム) OFFROAD(道路や都市インフラのデジタル管理を支援するAIベースのSaaSソリューション) Sitowie(不動産資産の老朽化を予測し、持続可能な管理を支援するSaaSソリューション) 競合環境
欧州B2B・クライメート・ディープテック分野は競争激化傾向。
AxeleoはFOAKのような高リスク領域に早期から張ることで差別化を図る。
▼初期仮説
初期仮説(個人的にはこういう点が起業家にとっても価値だと思うので深掘りたいッス、な論点)
FOAK Fundの存在は、起業家にとって「非連続なステージブリッジ」と「業界側面からのPoC伴走」の両面で価値が高い
「欧州産業×気候Tech」における、ローカルVCのプレゼンス強化することで欧州プレイヤー主体の資金&支援で成長できる”自律路線”が提示された点は重要。
FOAK自体が「プロジェクトファイナンスとVCの間」を意識しているため、単なる技術でなく、産業構造・インフラ適用・スケール戦略をセットで語れる起業家が好まれる。
▼事前リサーチ by cyo
Q. 欧州VCの気候Tech投資状況の現状と伸び(地域別、ステージ別、領域別)
総額トレンド
2023年、欧州の気候Tech投資額は約181億ドル(前年比-18%)→ 世界全体の気候Tech投資(約629億ドル)の約29%。
投資減少は、マクロ経済環境悪化(高金利、エネルギー価格変動、VCマネー全体の縮小)が要因。
ただし、CCUS、気候ハードテック、再生可能エネルギーインフラ領域は前年より増加傾向。
特にシリーズB以降は回復、シード〜シリーズAでは引き続き資金難の傾向。
ステージ別状況
シード〜シリーズAの投資比率:約23%(2023年)→ 世界平均(約26%)と比べ、やや低め(=シードアーリー資金不足気味)。
シリーズB以降の大型投資が増加傾向(約62%)→ 後期資金は充足気味だが、初期〜ミドルステージに谷間が顕著。
領域別動向
クリーンエネルギー(約28%)
モビリティ(電動化・バッテリー含む、約22%)
炭素除去・CCUS(約16%)
サステナブル製造・産業DX(約12%)
食料・アグリテック(約10%)
特に2024年は、CCUS・炭素除去、サステナブル製造、電動インフラ(バッテリー含む)の伸びが顕著
Q.欧州産業プレイヤー(EPC、インフラ、製造)が参加する気候Techプロジェクトの事例と関与度
EPC・インフラ事業者によるPoC・商業化支援
事例1:Technip Energies × Svante(カナダ・欧州)
内容:カーボンキャプチャー技術(CCUS)において、欧州各地での実証プロジェクトを共同開発。
関与度:商業スケール試験プラントの設計・導入・EPC(エンジニアリング)支援。
コメント:CCUSでは大手EPCが初期のPoC段階からハンズオン参加し、スケールアップ支援が進行中。
製造業によるスタートアップへのJV型・戦略出資
事例2:Siemens Energy × H2 Green Steel(スウェーデン)
内容:グリーン水素製鉄スタートアップH2GSへの資金提供&プラント設計支援。
関与度:JVスキームによる商業プラント建設、技術提供、資金投入。
コメント:水素・製鉄分野では欧州製造プレイヤーが直接資金・設備・顧客化まで担う例が増加。
公共インフラ運営会社による脱炭素インフラ実装支援
事例3:Veolia × Carbo Culture(バイオ炭、仏・北欧)
内容:バイオ炭炭素除去スタートアップと、廃棄物焼却プラント内でのカーボン除去施設統合。
関与度:オペレーター側での実証施設提供、プロジェクトファイナンス調達支援。
コメント:都市インフラ系プレイヤーは、スタートアップと施設連携型PoCや公共プロジェクト内への統合を進めている。
示唆
関与度は「PoC提供+資金+スケール時の顧客化」まで幅広くなっており、起業家にとって”単なる顧客”以上の伴走関係が形成されつつある。
特にCCUS、水素、製造脱炭素、バイオ炭などインフラ重視領域では、欧州産業プレイヤーとの早期連携がExitへの近道に。そのため、FOAKのような産業界前提の投資ファンドの意義は高まっていると推察。
Q. Axeleo FOAKが「欧州気候Techの独自資本エンジン」になり得るか
定量:ポジショニングと資本規模
FOAK Fund規模:
約50百万ユーロ(2024年発表)
ターゲット:シード〜シリーズA、初号機スケール資金(€500k〜€5Mを想定)
欧州気候Tech市場規模:
欧州の気候Tech投資総額:約181億ドル(2023年)
シード〜シリーズAの投資ボリューム:約41億ドル
FOAKのカバー領域(ハードテック、CCUS、クライメート製造)は、約12%(約5億ドル規模)の初期投資市場
FOAKの相対ポジション定量の評価
市場規模の約1%以下 → ニッチ領域特化のパイオニアだが、市場全体のエンジンというより”専門エンジン”。
類似ファンド(例:Blue Horizon、Demeter、2150など)は、200M〜400Mユーロ級 → FOAKは小型かつニッチフォーカス
定性:戦略・独自性・差別化
欧州のシードVCには珍しく、“ファーストオブアカインド(初号機)“に特化 → 資本だけでなく、産業プレイヤーとの並走を前提とする投資ストラクチャー。
欧州政策(EU Green Deal、Fit for 55)との整合性が高く、公共資金と組み合わせたリスク共有モデルを模索 → 他ファンドより政策親和度が高い
差別化点:
ハードウェア×産業技術における「PoCファイナンス」特化型 → 他VCが避ける領域を補完。
起業家との協業姿勢(Axeleo Studioの活用) → 資金+アクセラ+産業パートナー紹介を一貫提供。
欧州大手産業(Veolia、Technip Energiesなど)との連携前提での投資戦略 → スケール時の出口に厚み。
FOAKの定性評価:
資本規模は小さいが、ポジショニングのニッチさと産業連携の強さで”領域特化エンジン”にはなり得る。
欧州全体の”気候Tech資本エンジン”になるには、スケールアップや後続ファンド拡張が不可欠(現状ではプロトタイプファンド段階)。
▼結論
結論(リサーチの結果、個人的にはやっぱりこういう点が起業家にとっても価値だと思うッス、な論点)
FOAK Fundは、欧州気候ハードテック領域における「産業界接続型の非連続ブリッジ」を構築できる、希少な存在であること。
FOAKは通常のVCが避ける「初号機(FOAK)導入ステージ」にこそ踏み込む
起業家にとって、資金だけでなく、商業導入の実証フィールド・パートナー・ユーザー企業接続を同時に得られる点が圧倒的に価値
特に、CCUS・水素・産業プロセス脱炭素などでは、この橋渡しが無いと市場参入不可能
「欧州独自資本&産業ネットでスケール」できる自律路線を描けるパートナー
FOAKは米VC・APAC資本に頼らず、欧州主導の資本+支援+政策資金活用ルートを提示
起業家にとっては、グローバル展開だけでなく、欧州産業との深い接続を活用した”地産地消型のスケール”も視野に入る
「技術単体ピッチ」ではなく、産業構造・インフラ適用・スケール戦略を包括したストーリーを磨くことが重要
FOAKが求めるのは、単なる技術検証ではなくインフラへの統合、スケール時のリスク分担設計、産業活用戦略を語れる起業家
起業家は技術だけでなく、産業ロジック・資本構造・政策活用の三位一体ピッチを組み立てることが、FOAK攻略のカギ