ラテン文字の配列の規則
table:Laitn alfabet
A B C D
E F G H
I (J) K L M N
O P Q R S T
(U) V/(W) (X) (Y) (Z)
(1)母音をまとめて提示している。
しかも,現代言語学と同様に,Aを基底とし,
前舌母音は低母音より高母音へ(A→E→1),
後舌母音は開母音より閉母音へ(A→0→U)
という「科学的な」配列だ。
(C, Qの当初の音価はKと同じ)
特にRSTは,ラテン語の屈折では,互いに入れ替わる場合が多く,近似度が高い。 (5)Hは,声門摩擦音として独自の位置を占める。
(サンスクリットやアラビア語の字母表でも,この音を示す文字は最後に置かれている。)
(7)XYZは,外来音を表すために後世になって付加されたものだ。
田中氏によれば,これまでに発見された資料に基づいて,「北セム・アルファベットの文字の順序は遅くとも前15世紀にさかのぼる」と言える。その配列が偶然か,またはなんらかの原理によっていたのかについては,いろいろの説がある。
「一般的にいって,アルファベット配列の方法は通常四つより以上に出ない。その分類法は次のいずれかであろう。 換言すれば,文字は音,形,意味,年代のいずれかに従って配列される」 (田中 前掲書,43ページ)
世の中には,ちょっとしたヒントが与えられると,それまでどうしてもできなかったことが,たちまちできるようになる場合が,よくあるものだ。「コロンブスの卵」は,そのいい例だ。 ところで,「アルファベットの配列の謎」も,そんな具合で,謎解きの手がかりがあった。もっとも,そのアイデアは,残念ながら私の独創ではない。私の尊敬する友人,福田正男氏から伝え聞いたものだ。この「随想」は,その話に肉づけをしたものに過ぎない。 福田氏は,すでに70歳を越えるが,国際共通語エスペラントのベテランだ。戦前,戦中の弾圧時代をくぐり抜け,戦後は「朝明(あさけ)書房」という個人出版社を主宰して,もっぱらエスペラント関係図書の刊行と国際語思想の普及に生涯を捧げてきた。その代表的労作は,「9か国語基礎辞典」だ。【…】 その福田氏のいうところによれば,「現在おこなわれているアルファベットを,母音文字群と子音文字群に分けて並べ直すと,それなりの『原則』が見つかる」ということだ。