センスの哲学
読みながらメモできたらする
はじめに
本書の狙いは、芸術と生活をつなげる感覚を伝えること
センスは、地頭と似たような、先天的なものとして語られがち
だけど本書ではセンスはどうにもならないものだとは考えない。人を解放してくれるようなセンスを楽しみながら育てることができる、というのが本書のスタンス
最初の定義
センスとは、直感的にわかることである
第1章 センスとは何か
上手、下手、ヘタウマの、絵画における意味合い
上手:写実的な再現が巧妙
下手:再現を主目的とした前提で、再現が不十分にしかできてない状態
ヘタウマ:再現を目的とせず自身の線の運動が先にある状態。極論すればモネやゴッホなどの芸術作品はすべてヘタウマ
第1章のセンスの定義
センスとは上手よりもヘタウマである
芸術でも生活でもヘタウマ
音楽の例、わかりやすかった。上手く引こうとする土俵で戦うのはとても大変で、自分基準の土俵にシフトすると、「これはこれでアリ」になる。パンクミュージックがそうかも。
戦う土俵を変えるというのはあらゆるジャンルで肝要な気がする
モデルの再現から降りることが、センスの目覚めである
守破離の離ってことか。でもまぁ守破があってこそって気もする
能力の問題から姿勢の問題に切り替える
生成AIの学習の話にも似ている。初期段階では学習のための大量のデータが必要になるが、それはモデルの再現能力を高めている段階で、それを経て新しいものを生成できるようになるということ
再現志向から降りるという姿勢の変化によって「センスが良くなった」と言える、というのが本書の考え
第2章 リズムとして捉える
ものごとをリズムとして捉えること、それがセンスである
意味から強度へ
1990年に提唱されたフレーズ、知らんかった
リズムとは音のデコボコであり、物のデコボコと抽象的に言えば同じもの
音楽にノるのと、「このマグカップの形なんかいいな」とノるのは、本質的に同等
味も同じ。書籍では餃子が例に出てたけど、トンカツDJアゲ太郎のトンカツとDJが同じって話と通じるかも
様々なジャンルにおけるセンスは、音楽的リズムとして捉えられる
言ってることはわかるというか面白いけど、それでセンス良くなれるかというとまた難しいなーとも思う😂
認知の能力と出力の能力の差に苦しめられることはとても多いので。
成功=上手い、失敗=下手、という対立から脱却して別の意味を目指すというゲームを始めるのがセンスの第一歩
なるほど?
意味のイノベーションって言葉を思い出した。蝋燭の光は、かつては明るいことが価値だったけど、明るさを容易に取得できる今、蝋燭の意味は揺らぐ光でリラックスをもたらすものだ、みたいな話。
明るい暗いという勝負から降りて、いい雰囲気の空間を作るという意味を見出している。
意味から離れたリズムの面白さ。近現代により自由な音や形を作ってきたモダニズムと呼ばれるもの。
本書におけるセンスの良さへのガイドとは、言ってみればモダニズム入門。
モダニズムとして理解されやすいのはまず美術。音楽や文学はけっこう難しい。
言葉の並びを自由にしたら意味不明になってしまうし、リズムやメロディをむちゃくちゃにしたらこれも意味不明。
わかるかも!音楽はリズムが崩れると不快にしかならないというか、最低限のリズムがあってこそだなと強く感じていたところだった。
美術の「脱意味」は比較的わかりやすい。抽象画とかでも、なんか面白いと感じやすい。
視覚が1番ナンセンスに耐えやすい、なるほど。
どれだけ意味を崩してもそれは額縁というフレームの中だから、というのがめちゃくちゃ面白い。音楽や言葉はフレームを超えて身体に直接触れてくるから乱れに弱いのかも。
第3章 いないいないばあの原理
リズム、濃淡、在/不在
ハラハラドキドキはビート。はっきりした対立関係。
微妙な面白さはうねり。多様性、中間色。
うなりとビートという二つの側面
いないいないばあは、根源的な不安と安心の交代を表す。さらに、その対立から自立していくリズム。
sugiwe.icon親離れのための遊びってことか
生物は安定状態を求める。安定している限り安全で、そこに「外れ」が出た時に対応を迫られる。
誕生そのものが安定からの脱却。安定した胎内から外界に出る
その後も安全な親のそばから成長し離れる
遊びとは、わざと不安定な状態を作りそれを楽しむこと。本当の不安定ではなく、実は大丈夫という信頼があった上で、ごっこ遊びとしてシミュレーションとして行われる。
つまり、楽しさには不快が潜んでいる。遊びとは、あえてストレスを楽しむこと。
サスペンスは、意図的に作られたストレス
「丁寧な生活」も、サスペンスとして解釈できる
コーヒーを淹れる行為は、もはやワンタッチで可能なのに、じっくり手間をかける。わざと面倒なことをして(ストレスをかけて)そのプロセスを楽しむ
目標達成を遅延して余計なサスペンスを楽しむことが、丁寧に生活を楽しむこと、と言われたりする
sugiwe.iconタイパと真逆な考えで面白い
4章 意味のリズム