ビート
ここからは横道にそれますが、では、なぜビートに2つの機能があるのか?ということを考えますと、そもそもビートにはストーリー上の定義などないのです。
ビートbeatを本来の「叩く」という意味で捉えてみれば、これはリズミカルに太鼓を叩くようなものです。
それはつまり、映画の数分に一回は観客を飽きさせないために事件を起こしたり、変化をつくるという意味でしかないのです。「ジェットコースタームービー」と呼ばれるような、ストーリーに意味はなくとも、驚かせたり面白がらせる仕掛けが立て続けにおきればエンターテイメントとしては充分なのです。
「セーブ・ザ・キャットの法則」(Save the Cat!)は、脚本家のブレイク・スナイダーが提唱したストーリーテリングの手法で、特に映画や小説のプロット作成に役立つツールです。この法則では、物語を効果的に進行させるための具体的な「ビート」(beats)が定義されています。ビートとは、物語の特定のポイントや出来事を指し、それぞれが物語の構造と進行に重要な役割を果たします。以下に、セーブ・ザ・キャットの法則で提唱される15のビートを説明します。
オープニングイメージ
テーマ
物語の最初のショットやシーンで、主人公の現状や物語のトーンを示す。
物語のテーマやメッセージが登場人物のセリフや状況を通じて示される。
物語の始まりの10ページで、主要なキャラクター、設定、日常生活が紹介される。
主人公の世界を変える出来事が起こり、物語が動き始める。通常、ページ25付近で起こる。
主人公がきっかけによる変化にどう対応するかを迷い、決断する段階。約10ページ続く。
物語の第二幕が始まり、主人公が新たな冒険や課題に直面する。
主なプロットとは別のサブプロットが展開し、通常はロマンスや友情などが描かれる。
物語の核心部分で、主人公が新しい世界での活動や挑戦を楽しむ場面。物語の「プロミス・オブ・ザ・プレミス(約束された楽しみ)」が描かれる。
物語の真ん中に位置し、大きな出来事が起こる。成功か失敗かのどちらかが強調される。
中間点後、悪役や困難が主人公に迫り、緊張が高まる。
主人公が最も絶望的な状況に陥る。通常、ページ75付近で起こる。
主人公が絶望の中で内省し、新たな決意を固める時間。約10ページ続く。
物語の第三幕が始まり、主人公が最終的な行動を起こすための新たな計画やアプローチを見つける。
### 14. **Finale(フィナーレ)** 物語のクライマックスで、主人公が最終的な対決に挑む。物語のテーマが明確にされ、問題が解決される。
物語の最後のショットやシーンで、主人公の変化や物語の結末を示す。オープニングイメージと対比されることが多い。
これらのビートを理解し、物語に適用することで、ストーリーの構造を効果的に整え、読者や視聴者を引き込む魅力的な作品を作ることができます。