品川折りとピタゴラス数
2019.1.9
塚田 真
折り紙の左辺の左上隅からと右辺の右下隅から同じ長さ$ aをとった点を結ぶ線で、折り紙を折り返します。このとき、図のように四つの合同な直角三角形ができます。
https://gyazo.com/c26a61ea16d95719103135b11b1bba4f
直角三角形の残りの2辺を$ bおよび$ c(斜辺)とします。折り紙の1辺の長さは1であるとします。実際に、折り紙を折ってみて、合同になっているかを確かめてみましょう。$ a=1/4とします。
https://gyazo.com/201c89960371c26030fc02621a2f11ff
さて、このとき連立2次方程式
$ \left\{\begin{array}{ccc}a^2+b^2&=&c^2\\a+b+c&=&1\\\end{array}\right.
が成立します。$ cを消去して、$ bを$ aの式で表現すると
$ b\ =\ \dfrac{1-2a}{2\left(1-a\right)}
が得られます。連立方程式は$ aと$ bを入れ替えてもかわらないので、$ aについて解いても同じ形の式
$ a\ =\ \dfrac{1-2b}{2\left(1-b\right)}
となります。次は$ aと$ bの関係を表すグラフです。
https://gyazo.com/c6fbedaf88b0d886bdf447dd6a9c985b
横軸を$ aとすれば縦軸が$ b、横軸を$ bとすれば縦軸が$ aとなります。このグラフは双曲線の一部です。$ b=1/nとする$ aは
$ a\ =\ \dfrac{n-2}{2\left(n-1\right)}
となります。表にすると
$ \begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c}\hline n&2&3&4&5&6&7&8&9&10&\cdots\\ \hline a&0&\frac{1}{4}&\frac{1}{3}&\frac{3}{8}&\frac{2}{5}&\frac{5}{12}&\frac{3}{7}&\frac{7}{16}&\frac{4}{9}&\cdots\\ \hline\end{array}
となります。
なお、$ aと$ bが有理数ならば$ cも有理数なので、$ a:b:cは整数比、即ちピタゴラス数の関係にあります。
$ \begin{array}{r|c} n&a:b:c\\\hline 3&3:4:5\\4&4:3:5\\5&15:8:17\\6&12:5:13\\7&35:12:37\\8&24:7:25\\9&63:16:65\\10&40:9:41\\\vdots&\vdots\\\end{array}
このように、品川折りは折り紙で辺の比がピタゴラス数となる直角三角形を簡単に折り出せる興味深い折り方になっています。