KJ法のやり方
https://scrapbox.io/files/62a95733a9ba05001f5b2377.png
1. KJ法とブレインストーミング
KJ法はアイデアをたくさん出すための方法のひとつです(正確にはバラバラの情報=データを集約・収束させることで新しい「概念」を生み出すための技法ですが、今回はアイデアをたくさん出す、という点に注目しましょう)。実際には「ブレインストーミング」と組み合わせて取り組みます。
1-1. ブレインストーミング
ブレインストーミング(ブレスト)は、ある主題(テーマ)について「なんでもいいから思ったことを口に出す」やり方です。主題に関係すると自分が思う事ならば、なんでも、どんな事でも発言してOKです。また他人の発言を絶対否定してはいけません。つまりは思いついた事をどんどん発言することなのです。
1-2. KJ法
ブレインストーミングでは参加者から発言されたものをどんどん記録していきます。記録されたセンテンスやフレーズをひとまとまりにグループ化し、ラベル付け(ラベリング)したうえでまとめるやり方がKJ法です。また、言いっぱなしではセンテンスやフレーズ(の中にあるアイデア)同士のつながりが見えてきません。たくさんのアイデアの中に隠されているつながりを見える化するのがKJ法だといえます。
KJ法は民族学者の川喜田二郎先生が考案されました。参考文献としては、川喜田二郎(1984)『発想法』中公文庫、などがあります。
2. KJ法のやり方(超簡易版)
付箋紙(ポストイットの75x75mmサイズがお勧めです)に参加者に示された主題(テーマ)に関連した(関連すると思う)言葉を書きます。
ブレインストーミングでもあるので思いついた(発言した)言葉は否定せずに必ず記録する
1枚の付箋紙にたくさん書きすぎない
基本的には1枚の付箋紙につき、1つの短い(1、2行程度)センテンスまたはワン・フレーズのみを書く
以下の画像が、ある授業で実際にやってみた成果です。
https://scrapbox.io/files/62a958f8fae802001dc0f5b9.png
図1 KJ法の作成例
2-1. KJ法のプロセス
1. 付箋紙へとにかくたくさんセンテンスやフレーズを書く → 一行見出しのつもりで書く(by 川喜田)
2. そこそこ枚数がストックされたなら付箋紙を読み返す → 親近感を覚える(by 川喜田)付箋紙が目に付くようになる
3. 似たもの同士の付箋紙を集める → グループ化する、離れザル(by 川喜田)は気にしない
4. それぞれのグループにラベル付けする(一行見出しを付ける) → これが小グループになる
5. 小グループを似たもの同士でさらにグループ化、ラベル付けする → これが中グループになる
6. 場合によっては同じ作業をさらに繰り返し、中グループから大グループをつくる
2-2. KJ法のコツ
グループ(小、中、大にかかわらず)同士の関係性(つながり)も考えましょう。原因と結果、類似、対立、etc. どういった関係でしょうか。グループ同士を線と矢印でつないでみましょう。KJ法のコツは、とにかくたくさん言葉(単語やフレーズ)を出すこと。また一度組んだグループに固執せず、必要だと判断すればすでに作ったグループをバラして、別のグループに作り直しても構いません。
付箋紙のグループ同士のつながりを考え、それらを結びつける際にお互いを矢線(矢印)で結びます。以下に示すように矢線を使い分けると、わかりやすくなるでしょう。
表1:つながりと矢線の種類 (注1)
https://gyazo.com/dac5b266a38ef6665f05e0d69069d1c5
以下の画像はグループ同士のつながりを意識してKJ法をやってみた成果です。
https://scrapbox.io/files/62a9591315499d0023fdda5c.png
図2 KJ法の作成例(グループのつながりを意識した例)
[注]
出典:魚田勝臣編著(2015)『グループワークによる情報リテラシ―情報の収集・分析から、論理的思考、課題解決、情報の表現まで―』共立出版、 p.70の表現を一部修正