バーンレート
#SaaS
概要
バーンレートとは、スタートアップやベンチャー企業などが持っている現金を、一定期間(通常は月単位)でどれくらい消費しているかを示す指標
事業運営のために資金をどれだけの速さで消費しているかを示す指標
特に、まだ利益を上げていない成長段階のSaaS企業にとっては、財務の健全性を測る上で非常に重要な指標となる
グロスバーンレート(Gross Burn Rate)
毎月の総支出額(家賃、人件費、マーケティング費など)。
総支出(月額) = 給与 + インフラ費 + オフィス費 + マーケティング費用 + その他経費
ネットバーンレート(Net Burn Rate)
毎月の純粋な現金減少額(実際の現金収入-支出)。
ネットバーン = 月間収入(MRRなど) - 月間支出
💡 例
仮に月の支出が1,000万円、MRRが300万円だとすると
グロスバーン:1,000万円
ネットバーン:700万円(= 1,000万 - 300万)
🕰️ ランウェイ(資金の持ち時間)
ランウェイ(月) = 手元資金 ÷ ネットバーンレート
たとえば、資金が1億円でネットバーンが月700万円なら「約14ヶ月のランウェイ」
📉 高すぎるバーンレートのリスク
キャッシュアウトが早すぎると資金調達に失敗した際に倒産リスク
成長が追いついていない場合、投資家からの信頼を失う可能性
📈 理想的な使い方
売上成長の原資としてのバーン:OK
維持のためのバーン:注意
常に成長率とのバランスが問われる
SaaSのフェーズとバーンレートの見方
まとめ
シード/アーリー期:生存期間(ランウェイ)が最重要
→ バーンを恐れず、学習・成長に資金を使い、ただし使いすぎない
グロース期:成長率とバーンのバランス
→ バーンが成長に直結しているか、資金調達タイミングに注意
レイター期:バーンレート圧縮と利益性
→ キャッシュフロー健全性、利益率も重視
1. シード期
特徴:プロダクト開発・市場調査、PMF(プロダクト-マーケットフィット)探索段階
バーンレート:ほとんどが開発・人件費など。売上ほぼゼロ。
見方:
バーンレート自体は大きな問題ではなく、「どれだけ学習・検証できるか」が重要。
手元資金のランウェイ(月数)をしっかり意識し、半年~1年以上のランウェイは確保する。
2. アーリー期
特徴:最初の売上獲得、顧客拡大、プロダクト改善、初期トラクション
バーンレート:
開発やマーケティング費が急増。
MRR(月次リカーリング売上)が伸び始めるが、利益にはまだ遠い。
見方:
急激なバーン(短期的な赤字)も許容されるが、MRR成長と比較して健全かどうかをみる。
ユニットエコノミクス(CAC/LTVなど)に注意:バーンが売上成長につながっているか?
6~12か月分のランウェイを維持しつつ、MRR成長率を最大化が理想。
バーンレートが高すぎる場合、追加資金調達のタイミングに注意。
3. グロース期
特徴:顧客・売上が拡大、広告/営業投資強化、組織拡張
バーンレート:
投資が更に増え、バーンレートも高くなりがちだが、売上成長とともにコントロールできているかが鍵。
見方:
既存顧客の継続率や解約率も重視。
自社の成長率(MRR/ARR成長率) vs. バーンレート増(≒コスト増)のバランスを見る。
一般的に、ある程度「利益性の見通し」が立つことが求められ、投資家も厳しく見始める。
12か月程度のランウェイや、「調整すれば黒字化できるか?」という柔軟性があると良い。
4. レイターステージ/安定期
特徴:黒字化、市場シェア拡大 or 利益最大化へ
バーンレート:
基本的にバーンレートは抑え、キャッシュフローの改善・黒字化が目標。
IPO準備などでは無理な投資は避ける傾向。
見方:
バーンレートが「0」(キャッシュフローポジティブ)またはごく小さい状態がベスト。
一時的なバーンをしても、しっかりリターンが見込める(成長 or 稼働率UPなど)ことが重視される。