俺にはこの暗がりが心地よかった
あらすじ
現代日本に、突然神が現れ1000人を選び異世界転移させ、それを24時間リアルタイム配信し、人気のある転移者にはボーナスを与えるという
1000人に選ばれていた主人公の幼馴染のナナミが転移当日に同級生に殺され、代わりに主人公が転移することに。
主人公は、ナナミ殺しの汚名を着せられ炎上したことで結果的に視聴率を稼ぐことに成功するが、地球からの罵詈雑言のメッセージを受け取り暗がりに引きこもって一人でひっそりと誰にも注目されない冒険者として生きていきたいと願い、地球からのメッセージも見ないようになる
一方、地球では、主人公の天才である双子の妹カレンとセリカが暗躍し、主人公の汚名は返上され、主人公の傷心を思い、応援するファンが増えていくが、主人公はそれを「自分が嫌われており、死ぬ場面を見たいと思う」心ない人たちが増えているだけだと思い込みより一層心を閉ざしていく。
そんな主人公が、異世界で様々な出会いを通して成長していく
面白いポイント
すれ違い
主人公が心ないメッセージを見て、自分は世界中から嫌われていると思い込んでいるが、それは最初だけで、その誤解は解けている。視聴者側やセリカ・カレンはなんとかそのことを伝えようとするが、伝えられないもどかしさ
構図
主人公たちのいる異世界
視聴者がいるインターネット上の世界
セリカ・カレンのいる現実世界
この3つの世界が絡むことでセリカ・カレン姉妹と視聴者、視聴者とヒカル達、ヒカルとセリカ達という関係性でそれぞれドラマが生まれる
また、主人公のストレスが高い環境に置かれていても、それを見ている視聴者がいるという状況が、読者側のストレスは軽減してくれる効果を発揮している
例えば、ヒカルとたまたま通信がつながった母が重要なことを伝えないばかりか、「あんたが選ばれてよかった」などと言われるひどい状況
掲示板による振り返り
定期的に、ストーリが進むとその状況を見ていた視聴者達の掲示板でのやりとり会が挟まる。
視聴者達と、セリカ達姉妹がそのときどう思っていたかというのが垣間見れるのが二度美味しい
なんというか、面白い作品の感想コメントを読んでいるような感覚
ストーリーの合間に挟まるので、テンポ感を阻害しそうなものだけど、むしろそれが読みたいぐらいの感覚になる。
ヒカルのキャラクター
憧れ性
普通に強い。
異世界人からするとチートではあるが、他の転移者とは同条件で転移してきたにも関わらず、うまい立ち回りで転移者の中でもトップクラスの実力者になっている
ほっとけない性格
猫の獣人種族リンクスのグレープフルーがダンジョンで足を怪我したら、助けてあげるだけでなく、他のリンクスが怪我しないように、ダンジョンをお掃除しちゃう
ヒロインが危なくなったら助ける
前向き
暗がりで生きていくと言いながらもやるべきことはやろうとする前向きさがある
共感性
頑固
わからずやなところがある。
メッセージのトラウマからも自身を過小評価しており、リフレイヤを遠ざけようとする