パンクガジェット
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この章では時代を超越しているような発明や機械などに関する解説を行います。『蒸気爆発野郎!』の世界では科学万能主義が生きています。これほどまでに天才的な芸術家達の成果が身近になった時代はありません。芸術家は99%の直感と1%の汗から自らの子供達を幻視し、1%の直感と99%の汗によってそれを具体化しています。発明と発見、技術の進歩と時代の推移は常に明るい未来を目指しています。科学という手法は万能であると信じられており、今は不可能なことであったとしても、必ずやいつか辿り着くに違いないと楽観的に考えられています。多くの天才が自らの直感を信じ、さらにその上で研鑽を重ねています。便利で素晴らしく、人類の生活を豊かにしていく様々な発明品は、このような発明家によってもたらされています。
史実における一九世紀の発明について
「一九世紀は科学の時代であった」という言葉があります。確かに19世紀は科学が花開いた時代です。多くの発明品は一九世紀中にその原形が開発されています。真空管が登場して電子機械が発明の中心になるまでは、大仕掛けでより物理的な装置を、蒸気機関や発条仕掛けを用いて動かしていました。
一九世紀は我々が考えている以上に様々なものが発明された時代です。写真やミシンもこの時代の発明品ですし、タイプライターもビクトリア朝の中後期にはすでにアメリカで実用化されていました。以下に一九世紀発明史年表を挙げますので参考にしてください。この表を一見するだけでも、現在の生活に欠かせない品々が数多く発明されたことがよく判ると思います。
1807 フルトン(米) 蒸気船の運航に成功
14 スティーヴンソン(英)蒸気機関車を実用化
30 イギリスで鉄道開通
37 モールス(米)電信機を発明(44年に実用化)
38 ダゲール(仏)写真術を公表
45 ハウ(米)実用ミシンを完成(46年に特許)
51 ドーヴァー・カレー間に海底電線完成
シンガー(米)家庭用ミシンを改良
63 ロンドンでカット&カバー方式の地下鉄開通
66 大西洋横断海底電線完成
68 ショールズ(米)タイプライターを発明
69 スエズ運河開通(59年起工)
76 ベル(米)磁石式電話機を発明
77 エジソン(米)蓄音機を発明
79 エジソン(米)白熱電燈を発明
ローソン(米)後輪駆動の安全自転車を発明
83 ダイムラー(独)自動車を発明
85 ベンツ(独)自動三輪車を発明
87 ダンロップ(英)空気式自動車タイヤを発明
90 ロンドンでチューブ型地下鉄開通
93 エジソン(米)活動写真を発明
94 クリンチュ(チェコ)グラビア印刷術を発明
95 マルコーニ(伊)無線電信を発明
96 フォード(米)ガソリン自動車を完成
1900 ツェペリン(独)飛行船を建造
03 ライト兄弟(米)飛行機を発明
ロンドンで電車の運行はじまる
以上のように様々な発明が行われていますが、これは参考資料に過ぎません。一九世紀中に、実用的な自動計算機械が実在している世界では、どんな事が起きても関係ありません! 例えば、史実では(広まらなかったにしろ)、1843年にファックスが作られているのです。小説やゲームが事実の上をいかなくて、何がロマンでしょう!
狂的発明家(マッドインベンター)について
倫敦には多くの発明家が存在しています。彼等の内の大部分は現実には夢のみを追うエセ発明家ですが、時には本当に天才的な能力を持つ発明家も存在します。彼等のような発明家には二種類あり、一つは正統派科学の方法論を用い、進化論的観点から科学の進歩とともに発明品を作り上げる者です。彼等の発明や発見は歴史に記され名誉を勝ち取ることができます。しかし、一方ではそうでない発明家もいます。その発明家達は、時代を大巾に超越した夢のような機械を突発的に作り上げる者です。彼等はその奇妙な言動や生活態度をはじめとした当時の風俗とは相入れないふるまいによって狂人扱いされることが多く、最終的には歴史から抹殺される運命にあります。しかし、それでも彼等は自らの発明への欲求をおさえることはできません。そしてこのような発明家達は科学系秘密結社と関係を持つことが多いのです。
驚異と神秘の装置(パンクガジェット)について
天才達の手によって、何の偶然や因果が働いたかは作った本人にも理解出来ないという、驚異と神秘の装置が産み落とされることがあります。これは多くの場合、装置の「副作用」の方がメインの効果よりも力を持っているというようなものです。なぜそのような効果が宿ったかは物理的に説明できない場合もほとんどです。
<コラム:重力遮断装置の主な構造について>
この装置は、大きな構造物を飛行させるための大がかりな機械です。外観は巨大な円盤で、その円盤は何重にも層を成した金属の合板です、主な成分は銅、亜鉛、酸化鉄、ニッケル、金、などです。この円盤を高速で回転させることによって重力を遮断する能力を持ちます。(ただし英国科学協会はその事実を認めてはいません。)
この円盤が用いられる場合、平均的に幅1メートル、直径5メートル程で、回転速度は明確ではありません(未だ月光派会員以外である我々には解明されていないのです)が、かなりの速度であると考えられます。
この装置と同様の能力を持つ、「未知の金属X」も、存在が確認されてはいるらしいですが、その絶対量が足りないため、飛行にはおぼつかないと考えられています。
なお、この装置を利用して飛行している構造物には、ある科学結社の飛行戦艦、『月面機械(Moon Face Artifact)』が挙げられます。もしかしたら、その他の様々な機械に応用されているのかもしれませんが、その点は確認されていません。
■自動人形(オートマトン)について
極めて希な存在ではありますが、倫敦には自動人形(オートマトン)が人々の間に混ざって生活しています。機械仕掛けのものも入れ歯、人工生命体の場合もあります。彼等はその正体を人に知られることもなく、ひっそりと暮らしています。なぜ、彼等の正体が人々に気付かれないか、それは倫敦における大きな不思議ともなっています——。
こんな話を聞くと機械のように明晰な頭脳を持つある探偵が自らの意識をもつ自動人形である、そんなヨタ話も真実に思えてきます。
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□発明品についてのマスター用情報
ここでは、マスターが発明家や発明品をどのように扱うべきか、どのようにシナリオに取り入れるべきかが記されています。以下に挙げられている情報は、自由に加工して構いませんし、使用したくない情報は捨てても構いません。
発明品の巻き起こすトラブル
多くの奇妙な発明品はシナリオの中心的な役割を果たすことができます。つまり、シナリオを作成する場合に、発明品を中心としたトラブルを設定すれば良いのです。
有名なマッドインベンター
その道に詳しい専門家であれば、倫敦の中でも重要視される(または畏れられている)発明家の名前を聞いたことがあるはずです。一般にはほとんど知られていませんが、彼らは『理論で期待される以上の効果を発揮する発明品を産み出す専門家』として知られています。彼らの産み出す装置の副作用(何故か必ず副作用なのです。ちなみに、主となる機能はまるで使い物にならないことがほとんどです)が、どのような過程によってその副作用を生じさせているかは、科学的に解明することが不可能だと考えられています。
ジャックのバネ足
ジョージ・エドワード
マリオン・マコーミック
■エセ発明家と天災発明家
■発明品の巻き起こすトラブル
■設計病
■工房に行こう
■機械主義者の真実
■発明品の巻き起こすトラブル
■天災発明博物館
■ジョセフ・リットンの科学図書館