セッションの最中、セッションの後で
ここには『蒸気爆発野郎!』のセッションを行う際に必要となるマスター用のルールや、セッションをスムースに行うための指針などが掲載されています。また、セッションを終えた後の処理などについても書かれています。
『蒸気!』を遊ぶ際のいくつかの前提
ゲーム中のマスターの仕事
セッションの準備と進行
ゲームマスターは実際にセッションをおこなう際に、セッションの全般的な管理を求められます。具体的には、プレイヤーキャラクターの行動に描写を与えること、シナリオを進行させること、NPCの描写を行うこと、多くの場面においてルールの適用を行うこと、セッションの成功具合を査定することなどです。
セッションはゲームマスターだけのものではありません。同様にプレイヤーのためだけのものでもありません。セッションは全ての参加者のためのものであり、一部の参加者のためのものではありません。マスターは自分を含めた全ての参加者のために、セッションを管理し、全ての参加者が楽しめるようにする必要があります。
キャラクターに関する描写
マスターがセッションの最中に行わねばならない最も重要な事柄、つまりマスタリングの要となるものは、『キャラクターの描写』です。『蒸気爆発野郎!』のゲームでは、キャラクターが見たり聞いたりという感覚や、実際のキャラクターの取った行動の結果などを、直接プレイヤーが手に入れることは出来ません。プレイヤーはマスターの描写からキャラクターが何を感じたかやどのような結果を導くことが出来たかなどを手に入れることになるのです。
基本的にはマスターがキャラクターを始めとして世界の全てについて描写を行うことで『蒸気爆発野郎!』のセッションは進行します。これがマスタリングにおいて一番重要な要素です。
シナリオを進行させる
セッションは、マスターが用意したシナリオに対してプレイヤーが自らのキャラクターをどのように動かすか、そしてその結果がどうなっていくか、というインタラクティブな作業の連続です。マスターが用意するシナリオはキャラクターが直接出会う『事件のアウトライン』であり、キャラクターはこのシナリオに関係する行動を取ることになります。
しかし、シナリオはセッションのための予定図であり、あくまでも実際にセッションを行うための指針に過ぎません。この予定図に縛られ、キャラクターの動きを一方的に阻害することは、上手なセッションハンドリングとは言えません。マスターを行うということは、その場にいるプレイヤー達に気付かれないように誘導し、シナリオを達成することも、その楽しみの一つです。いわば非常に高度なソリティア(一人遊び)としての側面を持っています。シナリオに捕らわれすぎ、マスターとしての強権を発動することは、このソリティア的側面からしても面白さを半減するものです。『蒸気!』のセッションはその場の全員の協力によって、(たとえばサイコロの目などの)偶然のもたらした結果を物語としてつむぎあげるものだからです。
行動ターン
『蒸気!』において実際のゲームの進行を管理するためには、ターン制という進行方向を採用しています。これはキャラクターの行動を一日にどの程度の行動ができるか、という形で単純化したものです。
具体的には一日を午前・午後・夕方・夜の4ターンに分けます。また、そのうち一回を必ず休息に充てる必要があります。ただし、移動しながらの休息は不可能ではありません(マスターの判断によります)。それぞれのターンは複数のシーンから成立します。基本的には1ターンは2シーンから成立します。つまり一般的にキャラクターは一日のうち8つのシーンを持つことができ、そのうち2シーンは休憩として宣言するす必要があります。
休憩は取らなかった場合、行動にペナルティを与えられます
市内でも昼間であれば倫敦の別の場所への移動は1シーンを必要とします(市内はどこも渋滞しているため)。
シーンの解決
シーンの解決は、マスターの隣のプレイヤーから順番に行います。プレイヤーは必ず自分の担当するキャラクターがどのような行動を取るのかを宣言する必要があります。同じ場面に集合している複数のキャラクターの行動は一つシーンとして処理されます。一般的にはシーンでは複数回の行動判定が行われます。
成功判定を要求する
シーンが設定された時点で、そのシーンでどのような成功判定を行うべきかどうかが想定されます。これはマスターが場面を説明すると同時に、そのシーンに付随して成功判定を要求します。
例えば、落ちていく橋から岸に飛びつく、というシーンで【運動】の能力値判定か、《軽業》技能での成功判定を想定したとしましょう。セッション中に実際にそのシーンが訪れた際に、ゲームマスターは場面を説明した後で、キャラクターを担当するプレイヤーに対して成功判定を要求することができます。なお、プレイヤー側からも成功判定を要求することができます。
ノンプレイヤーキャラクター(NPC)の管理
マスターの重要な役割の一つがNPCの管理です。
ノンプレイヤーキャラクター(以下NPC)は、セッション内での重要度から大別して二種類存在します。それぞれは『ネームド』と『エキストラ』と呼ばれます。
ネームドは『名付けられている』という意味です。彼らは能力値を始めとする各種のデータが存在するキャラクターです。プレイヤーキャラクターと同等の存在です。ネームドのキャラクターは《コネクション》技能の対象にすることができます。ネームドのキャラクターの中には熱い魂を持つキャラクターも存在します。その場合、呼び込み判定の対象にもなりますし、ネームドのNPCによる呼び込み判定も行われる場合もあります。
対照的にエキストラは大道具の一つと見なされるような存在です。セッションにおいて名前すら出ない、背景のようなキャラクターがエキストラのNPCです。彼らには技能も能力値も存在せず、セッションの中で『群衆』『老人』『子供』といった属性で扱われます。
■NPCの成功判定
ネームドのNPCは成功判定を行う必要があります。その手続きはプレイヤーキャラクターのものと同様です。ゲームマスターは自らの扱うキャラクターに対しても公平に難易度修正を行い、サイコロを振り、行為の成否を求めるのです(サイコロを振るのは他のプレイヤーでも良いでしょう)。
対してエキストラの行動の成否は、ゲームマスターが任意に決定して構いません。
■NPC側からの呼び込み判定
熱い魂を持つNPC(無論ネームドのNPCに限られます)は、出会ったことのある『熱い魂を持つキャラクター』を呼び込み判定によってシーンに登場させることが出来ます。既に登場しているNPCを、他のNPCを呼び込む場合には、ゲームマスターによってその結果となる理由が説明される必要があります。登場の理由を説明することが出来ない場合には、例え判定に成功していたとしても呼び込みは失敗します。
■『絶望』の扱い
キャラクターの内、『熱い魂』を用いることのできるキャラクターは、時として『絶望』状態に陥ることがあります。具体的には以下のような症状が出現します。
1.後遺症
絶望状態に陥ったキャラクターは、後遺症を受ける可能性が十分にあります。絶望状態に陥ったキャラクターを持つプレイヤーは(もしくはマスターは)以下の表に従って、後遺症を導いて下さい。また、相応しくない場面ではオリジナルの後遺症を適応させて下さい。
table:後遺症
2D6 後遺症
2 2週間というもの、高熱を出して苦しむ。そのあまりの精神的ショックはキャラクターの容姿を、酷くやつれた風に変化させてしまう。(二週間、熱い魂=0)
3 一瞬のうちに白髪が増える。10日間の間、熱い魂=0。ぶつぶつと失敗した事を悔やみ続ける。その姿は狂人のよう。
4 ひどい精神的ダメージを受ける。1週間の間、熱い魂=0。昼間でも失敗したときの幻覚に襲われる。
5 1週間というもの、寝ている時には失敗した場面が夢に出てきてはうなされ、寝汗にまみれることになる。(1週間、熱い魂=0)
6 なかなか立ち直れない。(5日間、熱い魂=0)その間は、楽しい場面を見ても心は躍らず、自らを責め続ける。
7 大きなショックで一時的に立ち直れなくなる。普通に行動できるが、熱い魂=0の状態が3日間は続く。
8 2日は絶望状態が続く。食欲も衰えるが、普通に行動する分には問題はない。
9 (丸一日の間は熱い魂=0)気持ちが落ちつかない。普通に行動することは出来るが、気分が乗らない。
10 半日の間は少々不機嫌である。しかし行動に支障は出ない。(12時間、熱い魂=0)
11 ほとんどダメージはない。気持ちを落ちつけるのに時間がかかるが、6時間後には熱い魂が回復する。
12 ダメージはほとんどない。失敗しても開き直ってしまえる。3時間には熱い魂が回復する。
キャラクターが、1ポイント以上の『熱い魂』を手にいれた場合には、以上の症状は回復します。回復のためには、指定された時間が経過するか、通常の成功判定で6ゾロを出すか、もしくは他のキャラクターがポイントを与えることを、マスターが許可した場合に限られています。