スチームユニバース
スチームユニバースへのお誘い
共有される宇宙、独立しながらも影響を与えあう世界、それが『スチームユニバース』です。『スチームユニバース』は、無限の可能性の末に出現する、現在進行形の物語でもあります。
『スチームユニバース』は『蒸気爆発野郎!』を楽しむ全てのゲームマスターに用意された選択肢です。簡単に言えば、『スチームユニバース』は、多次元宇宙です。全てのマスターには各人の扱う宇宙があると考えます。私にも、あなたにも、一つずつの宇宙(勿論『蒸気爆発野郎!』の世界です)が用意されているのです。そのそれぞれの宇宙は、他の宇宙とは基本的には独立しています。つまりあるマスターの元で行われるプレイは、別のマスターの元で行われるプレイとは基本的に無関係であるという事です。当たり前の事のように思えるでしょうが、これは重要な事でもあります。なぜなら、『デザイナーの提供する設定もまた各々のマスターの世界とは独立している』からです。
今後サプリメントなどで補強される世界に関する情報は、全て『デザイナーの世界では』という条件が付きます。基本ルールブックに記載されている情報以上の情報は、全て各マスターが、任意に選択して構いませんし、自力で作成しても構いません。
では、今後強化されていく世界をどのように扱えば良いのでしょうか?それは『各スチームユニバースは、互いにに影響を与えあう可能性がある』という世界法則を提示しておきます。マスターが既に設定してしまった部分が、後のサプリメントで補強された場合、マスターはその追加設定などの『おいしい部分』を任意で選択してください。全く選択せず、独自の道を歩むも良いでしょうし、デザイナーの公開する世界を追うも良いでしょう。ただし、後者の場合でもデザイナーの世界と全く重なる事はありませんから、少なからず各マスターが設定を行う事となります。
また逆に、それぞれのマスターがデザイナーの世界に影響を与える可能性もあります。勿論デザイナーが各マスターの世界を知るためには各人の『スチームユニバース』を知る必要があります。『蒸気爆発野郎!』では、そのための手段も用意されています。
『スチームユニバース』への参加方法
このゲームでは、皆さんの参加を常にお待ちしています。潜在的に、このゲームをプレイしているマスターの方々は『スチームユニバース』へのパスポートを手にしています。このゲームに本当の意味で参加する方法―それは簡単なことです。
『蒸気!』の世界は常にオープンです。各マスターが作成した設定、NPC、団体、ルール、アイテム、そしてプレイヤーが作成したPC達、さらにマスターとプレイヤーの間で作られたシナリオ——それらは全て『蒸気世界』ではデザイナーの世界へと影響を与える事ができます。インターネットと郵政省のそれぞれのメールシステムが相互の影響を保証してくれます。投稿された内容は、編集部で吟味の上、オフィシャルな内容に取り込まれます。それらの投稿人の名前は、その内容が記載されたサプリメントにて発表されます。また、インターネットのwwwページ上でも発表される事でしょう。
パートタイムルール
『蒸気爆発野郎!』においては、スチームユニバースによって採用される世界観及びルールが異なる場合があります。その中で、ルールについての変更については『パートタイムルール』であると定義されます。この語は、それぞれの変更が行われたり、代用として用いられるルールは、オフィシャルなルールを代行する『パートタイムなルール』と見なすからです。各マスターは、提案される(またはマスターの作成による)各種のパートから自分の好きな様にルールを選択するのです。
パートタイムルールを設計するために
パートタイムルールを設計するためには、そのルールがもたらす効果に対して自覚的でなければなりません。実際にゲームに導入するためには、それぞれのルールがオフィシャルルールと比較してどのような効果を持つかを明記して下さい。そのパートタイムルールを用いることで、セッションがどのように変化するのか、プレイヤーが改変されたルールによって受ける恩恵はどのようなものか、またマスターがシナリオを作る時にどのような影響があるのかなどが注目される点でしょう。そして必ず実際にそのパートタイムルールを用いたテストプレイを行い、効果を確かめてから長期に運用することが重要です。
パートタイムルールの実例
以下にはパートタイムルールの例がいくつか挙げられています。実際のセッションでは、パートタイムルールを導入するために、マスターとプレイヤーの間で了承が取られている必要があります。
例1:『絶望』と行為判定に関するいくつかのパートタイムルール
キャラクターが『絶望』した際には、行おうとしていた行為は無条件に失敗することになっています。しかし、以下のいくつかのルールは、その部分を変更するパートタイムルールです。プレイヤーとマスターの間で同意が取れていれば、どれを用いても構いません。
1.『絶望』した行為の『達成値』を使用する
これは行為判定の結果を『達成値』で査定するというルールです。これは『絶望』という結果は受け入れるけれども、その『絶対的な失敗』という結果を受け入れないというパートタイムルールです。
この場合、『絶望』した行動に対しても通常の行為判定と同様に、達成値を求めます。この結果が目標値以上であれば、行為自体は成功すると考えます。
このルールを導入すると、『絶望』によってもたらされる影響が小さくなります。ヒロイックなプレイのために導入することが出来るでしょう。
2.『絶望』した場合には行為自体は成功する
このルールは行為判定で『絶望』すれども、必ず行為は成功するというルールです。無論、成功レベルは高いものではありません。
この場合、『絶望』は成功と引き替えに起こります。達成値と関係なく、必ず行為は成功するのです。
このルールを導入すると、『絶望』の影響は小さくなります。『絶望』した行為の『達成値』を使用するよりも、さらにヒロイックなプレイとなるでしょう。
3.『絶望』のサイコロの目の条件を変える
このルールは『熱い魂』を用いた行為判定の質を変化させます。通常は2個以上の1の目が出た場合に『絶望』となりますが、その個数を2から3に変更するというパートタイムルールです。
この場合、『絶望』率は極めて低くなります。よりアクティブに『熱い魂』を用いた行動を試みることが可能になります。
例2:キャラクター作成に関するいくつかのパートタイムルール
キャラクターを作成する際の初期成長や選択技能を選ぶ際のポイントを変更するというパートタイムルールも可能です。例えば、The Age of Monochrome...1の中で紹介された『経歴による技能の習得』(内)も、このタイプのパートタイムルールに相当します。
過去の経歴による技能の習得
選択技能のための各種ポイントの変更
キャラクターを作成する際に、より有能(または無能)にするためのパートタイムルールです。
このルールは各人が初期成長のための経験点を現在の1000点から2000点にする、選択技能のための13ポイントを20ポイントに変更する、主要技能の上限を7レベルにするなどが考えられます。
基本的に技能レベルが変更されるという事は、対象となるプレイヤーがシナリオの要求する技術・地位・名声を持つという事です。この具体的な査定にはこの冊子の追加ルールの章『技能評価について』を参照して下さい。
以上の例の他にも、発明に関するルール、戦闘に関するルールなど、あらゆるルールはパーツ化され、入れ替えることが可能になります。このように、パートタイムルールの概念を理解することによって、マスターが好きなパーツを用いることが可能になります。その結果、マスターは自分の世界観にしっくりくるようなルールでプレイすることができるようになります。