ゲームへの導入
以下のページには、『蒸気爆発野郎!』というゲームを楽しむためのルールが収録されています。このゲームを通じて、あなたは小説や映画などの(いわば押し着せの)キャラクターで語られる物語だけではなく、あなただけが得ることのできる唯一の物語を得ることができるでしょう。しかも、望むならばその楽しみはずっと続けることさえできるのです。
このゲームの所属するゲームの分野は『テーブルトークロールプレイングゲーム』と呼ばれています。テーブルトークロールプレイングゲームは、多くの場合TRPGと略されます。大事なことは、このゲームを楽しむには複数のゲーム参加者が必要である、ということです。残念ながらこのゲームは本質的には一人で楽しむことは出来ません。つまりコミュニケーションをすることが求められるのです。
一人で楽しむために提供された『ソロプレイシナリオ』と呼ばれる独立したゲームをプレイするのは個人的な作業です。ソロプレイシナリオは項目を選択して物語を進めるタイプのゲームで、一般的なテーブルトークロールプレイングゲームそのものとは異なります。
ゲームの準備と用意するもの
『蒸気爆発野郎!』のゲームに参加するためには、このテキストと数枚の紙、鉛筆などの筆記用具、サイコロが幾つか、数人が食べたり飲んだりできるジャンクフードとドリンクの山などが必要です。サイコロは普通の6面体サイコロで、特に1の目が赤いものが良いでしょう。大きさは適当で構いませんが、10個くらいあると便利かもしれません。参加人数は最低2名ですが、ゲームをプレイして面白いのは4-5人でしょう。参加人数の上限は特に設定されていませんが、スムースなゲーム進行のためには8名程度が上限となるでしょう。もちろんゲームを実際に行うためにはそれだけの人数が収容できる部屋と、筆記用具を広げることのできるスペースが必要です。『蒸気爆発野郎!』のプレイは主に言葉を使ってコミュニケーションすることが必要になりますから、少しくらい声を出しても迷惑にならないスペースである必要があります。
最近はオンラインでゲームを行う環境が整っていることもあり、今後はオンラインで楽しむことが主流になることでしょう。今後『蒸気!』もオンラインでのプレイに関して確認と環境の整備を続けることになります。by3peta.icon
プレイヤーとゲームマスター
『蒸気爆発野郎!』のゲームにおける最低参加人数は二名です。『蒸気爆発野郎!』は一人以上の(一般的な)プレイヤーと、一人のゲームマスターという特別なプレイヤーを必要とするからです。プレイヤーもゲームマスターも『蒸気爆発野郎!』をプレイするためには必須です。あなたがどちらを選んでも十分な楽しみを得ることができます。
プレイヤーは『蒸気爆発野郎!』の世界に生きる最低一名( 多くの場合は複数名)の架空のキャラクターを作成します。そしてそのキャラクターの担当者としてキャラクターの演出を行います。キャラクターが直面する事態に対する様々な判断を行うことや、キャラクターの行動を宣言することもその中に含まれます。そのキャラクターらしく架空の世界で行動するように演出する必要もあります。プレイヤーとなったあなたは、他のプレイヤーや、ゲームマスターと協力しながらゲームを進行させることで楽しみを得ます。『蒸気爆発野郎!』ではプレイヤーが担当するキャラクターを演出することがゲームを進行させるための重要な役割を持ちます。
もしもあなたがゲームマスターとなることを選んだならば、プレイヤーでは決して得ることのできない楽しみを得ることができるでしょう。ゲームマスターはゲームの管理者であり、レフェリーのような存在です。ゲームマスターはまたゲームの真の進行役でもあります。ゲームマスターは、ゲーム中の場面転換を管理し、プレイヤーの扱うキャラクターの見たり聞いたり感じたりできるあらゆる場面を説明し、プレイヤーの扱うキャラクター以外の全てのキャラクターとして発言します。舞台でいえば演出、大道具、小道具、エキストラ役を兼ねたような存在です。これだけ聞くと大変な仕事のように思えますが、楽しみは人一倍です(余談ですが、悪役を正々堂々とプレイできるというのもゲームマスターの楽しみの一つかもしれません)。
ゲームマスターは実際にゲームをプレイする前に、『シナリオ』と呼ばれる「ゲームの素地」を準備する必要があります。しかしこれはゲームマスターにしか許されていない仕事です。ゲームマスターは自由に世界を構築し、演出することのできる特権的な存在です。ゲームマスターは、自分の設定した世界の中で、プレイヤーの扱うキャラクターが、どのような反応をするかを見たり、自分がシナリオで設定したゴールに、どのように自然な形でプレイヤーを誘導するかという独特の楽しみを持っています。これはもちろん毎回巧くいくとは限りません。しかし、キャラクターの演出を担当しているプレイヤー達と共同戦線を張ることで、何らかのエピソードがリアルタイムに組み上げられていくという楽しみを得ることができます。このように、リアルタイムでエピソードが積み重ねられていくゲーム展開の形式を、このゲームでは「リアルタイムレンダリング方式」と呼ぶことにします。
『蒸気爆発野郎!』のセッション
実際の『蒸気爆発野郎!』のゲームは、ゲームマスターが準備した世界の中で、プレイヤーが自分の操るキャラクターとして振る舞ったり、そのキャラクターが経験する運命を演出するなどの介入を行ったりすることで進行します。このようなゲームの一回一回のプレイを『セッション』と呼びます。『蒸気爆発野郎!』のセッションは、短いもので2時間程度の時間を必要とします。長いものになると一晩かかるものも珍しくありません。セッションの長さは、ゲームマスターの準備した『シナリオ』によって左右されます。もちろん、ゲームの進行状況によってシナリオは随時変更されます。それが『蒸気爆発野郎!』のセッションの醍醐味でもあります。プレイヤーの操るキャラクターがどう動くかによって、リアルタイムで状況は変更され、その変更された状況に従ってマスターは状況を語るのです。その語られた状況は再びプレイヤーがキャラクターを演出するための材料になります。このように『蒸気爆発野郎!』セッションはシナリオの最後まで「リアルタイムに組み上げられる」のです。
もう少し専門的にいうならば、ダイスロールはオープンダイスでルールは全てオープンに適用、というのが『蒸気爆発野郎!』の基本的なプレイスタイルです。また、プレイヤーによる状況演出が過剰に行われますから、シナリオは細かい部分まで作成することができないというのが現実です(もちろん方向性を事前に設定しておくことは重要です)。セッションの内容は、それぞれのプレイヤーの演出するキャラクターと、マスターの演出するNPCとの行動規範を参考にしながら、その場で解釈するという『リアルタイムレンダリング』という方法を取ります(このリアルタイムレンダリングとは3Dグラフィックシステムで用いられる用語の転用です)。