D%表:倫敦短報百連発
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以下に記されている短報形式の記事は、『蒸気爆発野郎!』の世界において起きた様々な事件やイベントなどをまとめたものです。これを読む事でシナリオを作成する際のヒントとしたり、また、世界観を把握するための資料として用いるなどの活用を行ってください。便宜上99種類及びマスターによる決定という100項目が収録されていますが、サイコロを使用するのは、ランダムに読み進もうと考えた時に限られるかもしれません。
この文章を読む事で、『蒸気爆発野郎!』の世界が少しでも把握し易くなれば幸いです。
1 脱獄犯倫敦に潜伏か
孤島の刑務所から脱獄した男が倫敦市内に潜伏しているという情報が当局に寄せられている。当局は全力をもって捜索に当たっている。市民は外出の際くれぐれも用心されたし。
2 似非錬金術師逮捕
この科学全盛の時代に錬金術とは片腹痛いことだが、昨日未明錬金術を用いて楽に稼ぐ事が出来ると、複数の名士に話を持ち掛け、合計1万ポンド以上をせしめていた男が詐欺の疑いで逮捕された。男は以前にも詐欺罪で収監されている。
3 悪徳占い師逮捕
占い師を偽り、詐欺を繰り返していた男が逮捕された。この詐欺は客に対して占いの結果が悪いと告げた後、運勢を変える方法があると持ちかけ、金品を騙し取るというもの。近年同種の事件が多発しており、世紀末であることを伺わせる。
4 蝋人形館の恐怖
マダムタッソー蝋人形館では、本日より2週間『恐怖の館』コレクションを全面公開、普段の倍近い数の人形を展示している。その中には余りにも風紀を乱すと当局から通達のあった各種人形も展示されているという。世の怪奇趣味を自認する諸氏は出掛けられたし。
5 魔犬?捕獲される
倫敦の街を恐怖せしめた魔犬と目されるセントバーナード種の犬がリージェントパークにて捕獲された。体長約4フィート、体重約120ポンド。捕獲時にはあばらが浮き出るほどに痩せ、衰弱も激しく、これがあの魔犬かと疑問視する向きもある。
6 怪異現象続く
怪異は既に世界に轟く倫敦の名物となったが、昨夜も幾つかの路上で鬼火が目撃されたとの情報が当新聞社に寄せられている。この鬼火を科学的に検証しようという動きも出ているが、市民の多くは謎が解明されることについて否定的である。
7 失踪街道?
最近倫敦郊外のある街で流れている噂によれば、○○街道においてここ数ヶ月間に女性ばかりが既に4名も失踪しているという。当局はその噂を重く見て捜査を開始したともいう。
8 写真コンテスト開催
××新聞社開催の写真コンテストが行われる。締め切りは○月×日。腕に覚えのある方は自信作を投稿されたし。今回のテーマは『花』。美しい作品が多く集まることが期待されている。
9 ポルターガイストによる死者発生?
サウスイーストの住宅街において家具などが空中に浮き上がり、その結果7歳になる女児が死亡するという事件が起こった。現在調査が行われているが、科学者は首を捻るばかりである。当紙が独自に心霊学者に解説を願った所、この現象はポルターガイストと呼ばれる現象で、霊魂が物体に作用して物理現象を起こしたのだという回答が得られた。
10 テムズに謎の生物?
歴史家はエジプトはナイルの賜物と看破したが、倫敦はテムズの賜物である。そのテムズに謎の巨大生物が生息しているとの情報が、連綿と当局に寄せられて続けている。当初担当者は眉に唾を塗ってそれらの通報を処理していたが、ここ数週間その目撃談が真実味を増してきているため、腰を上げざるを得なくなった。賢兄諸君、テムズに巣食う巨大生物について知るところあれば当社まで連絡を。
11 天下の機巧時計設計家、天寿を全うす
倫敦の好事家であれば知らぬ人とていないグリニッジ堂であるが、その店主エドワード・グリニッジ氏が過日天に召された。グリニッジ堂といえば機巧の施された精密時計で有名であるが、そのほとんど全ての設計をグリニッジ氏本人が手がけていたという。喪主は彼の孫であり、グリニッジ堂の次期主人エドワード・グリニッジ氏。グリニッジ堂の愛好家グループは、故人を偲ぶ記念の時計をデザインする予定であるという。
12 病院船テムズに係留さる。
過日、猛悪なる伝染病『花嫁病』が倫敦を席巻したが、その患者を収容する病院船がテムズ河岸に設置された。病院船には経験豊富なる医師数名が交替制で勤務し、哀れなる患者の治療に当たる。心当たりの者には救いの手だてとなるかもしれぬ。問い合わせは倫敦市民病院まで。なお、導引機械端末による情報提供も行われる。
13 暗黒大陸の奇風習を紹介する講演会
半年にも及ぶアフリカ探検より帰国した探検家エドガー・ホールディング氏によって、暗黒大陸奥地の原住民の宗教的儀式の数々が紹介される。この会は彼の後援者であり、倫敦の好奇者の一人として高名なるベンサム・ヒューストン氏の私邸において開催される。問い合わせは当社企画部まで。
14 新進舞台女優失踪か?
アイリーン・ホウプ女史の最新作、『神々の黄昏』主演女優エリザ・ハドソン嬢が先週末から行方がわからなくなっている。警察は失踪事件として捜査を開始した。舞台はレイチェル・バトラー主演で引き続き興行される。
15 児童連続殺害事件発生
倫敦の裏道にうずくまる、恵まれない地位の孤児たちを無慈悲にも殺害するという残虐非道なる事件がイーストエンドを中心として、この一月の間に確認されているだけでも3件発生している。当局は、手口が似ていることから同一犯の犯行と断定。市民には勝手知ったる自分の街といえども、児童の一人歩きは避けるように呼びかけている。
16 機巧人形師殺害さる
昨夜未明、機巧人形工房『赤目堂』の主人R R フォード氏宅に賊が押し入り、氏が殺害されるという事件が起こった。現場は人形の頭部の破片が散らばっており、犯人はピストルで氏を殺害後、制作中の人形の頭部を粉々に打ち砕いたとみられる。当局は怨恨の線で調査を開始した。
17 無差別馬車爆破事件
昨日ヴィクトリア駅前で馬車に仕掛けられていた爆弾が突如爆発し、御者のピーター・コゼット氏が重傷を負った。これで馬車に爆発物が仕掛けられたのは今年に入って4回目に当たる。現在の所、容疑者は上がっていないが、アイルランド系の過激分子によるものではないかとの見方も出ている。
18 宝石店襲わる
昨日早朝バーミンガムの宝石店マーティン商会に二人の賊が押し入り、店主エドワード・ジョージ氏を射殺するという事件が発生した。賊は氏を殺害後ショーケース内の20万ポンド相当の宝石類を奪い、逃走した。現在当局は目撃者による情報を募っている。
19 夏至の夜の悪夢
氷づけの女性の死体がハイドパークに置き去りにされるという猟奇事件が発生した。被害者は20代前半の女性であり全裸、身元を判断する材料は一切存在しない。当局は殺人死体遺棄事件と断定し、製氷業者を中心として捜査を開始した。犯人の目的は不明である。
20 身元不明死体発見
昨晩の濃い霧のせいか、はたまた別の魔物のせいか、またもや血生臭い事件が発生した。本日未明エンバンクメントに中年男性が倒れているとの通報があり、夜回りの警官が急行したところ、被害者は鋭利な刃物で頚部を切り裂かれ死亡していた。男性の身元及び、通報した人物の行方について調査が行われている。当紙としては1888年の『切り裂きジャック』事件との類似性を指摘したい所だ。
21 倫敦塔に侵入者?
昨晩未明、倫敦塔ホワイトタワーの鍵が破壊され、何者かが侵入した形跡が発見された。警備員によれば被害はまるで無いとのことで、侵入者が何の目的でホワイトタワーに忍び込んだのかは不明である。
22 芸術作品持ち去られる
倫敦の新進画家アダム・ワース氏の工房に賊が押し入り、描きかけの肖像画数枚が持ち去られるという事件が起こった。それらの肖像画は、国立肖像画美術館にて○月×日より開催される美術展に出展予定の作品であったという。
23 少女誘拐さる
昨晩、世の子供を持つ親であれば身をよじるであろう事件が発生した。身の代金目当てと見られる誘拐事件である。誘拐されたのはサウスロンドンのランベス地区の名士、エドワード・ハンガム氏の一人娘キャサリン嬢(6歳)。キャサリン嬢は自宅近辺で乳母といる所を共に数名の男拉致されたという。半日後に乳母が解放され、事件が明るみに出た。当局は事件の解決に血道を上げている。記者としてもキャサリン嬢の無事を祈るばかりだ。
24 違法アルコール業者逮捕
醸造アルコールは免許のある者のみが流通させることができるが、この免許を偽造し、倫敦市内の数店のパブに醸造アルコールを供給していた業者が逮捕された。それらのパブではビールなどにこのアルコールを混入し、水増しして販売していた疑いも持たれている。現在当局では余罪を追及している。
25 霧の殺人者
霧の夜にだけ出没する殺人者が、未だ法の網をかいくぐり、倫敦を闊歩していることが当紙の独自調査で明らかになった。『霧の殺人者』との異名を持つこの犯罪者の被害者は、既に3名にのぼっているとの話であるが、スコットランドヤードのスティーブ・ジョブス警部はコメントを控えている。
26 仮想人格でまたも死者?
仮想人格を間違った用法で用いた場合、その効果は使用者の予想を遥かに超え、場合によっては使用者を死に至らしめる可能性があることがいわれている。今回の事件もそれに類する事件である。死亡したのは18歳の男性で、仮想人格を常用、最近は違法の仮想人格を愛好していたという。このような政府の機関が指導を行っていない仮想人格にはとかく安全面に問題が存在することが報告されており、当局は政府謹製のもの以外は使用しないようにと呼び掛けている。
27 導引機械機構に問題か?
エンゲージシステムに各種問題点が存在することを指摘する論文が発表された。エンゲージシステムとは人と導引機械との仲立ちをする機構のこと。エンゲージシステムの利用は導引機械本来のパフォーマンスを下げるという趣旨。エンゲージシステムは複雑な機構であるため、力の伝達などに問題が生じるのはある意味で必然。しかし、エンゲージシステムのおかげで一般人の導引機械利用が爆発的に増加したのは事実であり、問題点については今後の改善が望まれる。
28 大英博物館で不審火
昨晩未明、大英博物館において扉の一部がくすぶっているのを見回り中の警備員が見つけ、慌てて消し止めるという事件が起こった。幸い展示物などに被害は出ていないが、侵入者があった形跡も無く、関係者は首をひねっている。
29 違法導入屋逮捕
先頃より当紙は政府筋が仮想人格についての見直しを行っているとの報道を行っているが、その最中、違法の仮想人格を大量に売りさばいた疑いで、数名の導入屋が身柄を拘束されたという未確認の情報が寄せられた。信用筋によれば、違法の仮想人格を扱う超法規組織によってスケープゴートにされたのではないかとのことである。
30 郵便配達人襲われる
昨晩の冷たい雨の中、郵便配達人が鈍器状の物で頭部を猛打され、死亡するという事件が起こった。奪われた物品などはなく、犯人の目的は不明。怨恨の線で捜査を行っているが、現在の所目撃者は名乗り出ておらず、捜査は難航する模様。
31 降霊会の悲劇
上流階級の余興として近年衰えぬ人気を博している降霊会であるが、注意を払わねば恐ろしい危険を呼び込む可能性がある。特に名を伏せるが、倫敦西端区に居を構えるある屋敷で降霊会が行われた際に、開催者の婦人がヒステリー状態になったということである。彼女は現在療養中であると伝えられているが、このような経験をしながらも再び霊魂との交信を求め続けるかどうかは明らかになっていない。
32 悪徳医師逮捕
偽の診断書を作成し、患者から必要以上の薬代及び診療代を請求していた疑いで、倫敦のイーストエンドの開業医が逮捕された。現在余罪を追及中。
33 ソーホー地区で盗難相次ぐ
ソーホーはエキゾチックな活気に満ちた街だが、その街で盗難が相次いでいるとの通告があり、現在警備の強化が行われている。複数の目撃者の証言により、事件前後で見慣れぬ2人組みの男が界隈をうろついていたことが明らかになった。当局は不審な二人組みの男を重要参考人として手配した。
34 清国雑技団公演
倫敦市民に夏の夜の楽しみとなるであろうイベントが開催される。清国の有名なサーカス団である『清国雑技団』の倫敦公演がハイドパークの一角で開催される。東洋の神秘を目のあたりにする良いチャンス。
35 ドックで密輸仮想人格押収
倫敦東方に位置する港地区で、違法な品々を取り引きしていた輸入業者一味が逮捕された。特にフランスで複製されたと思われる仮想人格プログラムカルテが大量に押収された模様。様々な国家の頭脳が流出している背景が明らかになる可能性もあり、事件は重要性を増している。
36 天体観測に導引機械技術を応用
占星術が厳密な数学的な体系を持つ科学であることは、よもや科学の光の恩恵を十分に受けた教養高い市民には言わずもがなのことであろう。その天体の動きなどの計算に導引機械を用いようという計画が提出されている。理論的にはすべての惑星の動きを精密に再現し得るとのことである。
37 人体改造に新技法? 倫敦大学医学局発表
義足や義手など、身体の一部を機械で代用する技術と、それに由来する『機械主義』によって、人体を改造することは以前よりも一般的になってきている。今回のニュースはその風潮を一層助長することになると考えられている。今回倫敦大学の医学局の手によって、以前までのエレガントさに欠ける手術の歴史は終焉を向かえることになるであろうと予言された。具体的な方法などは現在出版が予定されている『身体への戦略』という書物にまとめられている。
38 海難事故に仮想人格を用いた対策
海難事故は多くの人命を一瞬の内に奪う可能性のある恐ろしい事故である。この被害者数を可能な限り減少させるために仮想人格の技術が応用するというプロジェクトが複数の保険会社によって立てらている。これは海水が粘膜に触れた刺激と、海水の温度という二つの刺激が与えられた場合に、海難事故に対応できる知識や技術が提供されるというものである。
39 倫敦上空に怪光現わる
昨晩遅くに大倫敦上空にオレンジ色の灯火状の物体が突如出現し、西から東に向けて急速に飛び去った。天文学者らはこの現象について現代天文学では説明のつかない事例と首をかしげている。
40 自殺人格流通。仮想人格市場に衝撃走る
新しい技術が市場に出回ると、それを利用した各種犯罪が増加するというのは世の習いである。今回のショッキングな出来事も、その良い例であろう。政府制式の仮想人格に似せた装丁の仮想人格プログラムカルテに、使用者が自殺を行おうとするという余りにも凶悪な仮想人格が刻まれ、さらに市場に流通してしまったという事件であり、類似の事件は他に例を見ない。既にほとんどのものについては回収がなされたと発表されているが、当局は仮想人格販売業者に警戒を呼びかけている。
41 グラスゴーで列車事故
アイルランドのグラスゴーで貨物列車同士が衝突し、両列車とも脱線転覆するという事件が発生した。幸い機関士は衝突前に列車から飛び降り、死者は無かった。線路の切り替え機構に問題があったのではないかとして、現在調査が進んでいる。
42 非合法仮想人格一斉取り締まり。いたちごっこに嘆息する当局
仮想人格も英国民の間で一般的な物となったが、近年急激に被害が増えているのが非合法仮想人格である。これらの使用によって精神に取り返しのつかない傷を負う者も多く、当局は一層の管理強化を呼び掛けている。今回一斉取り締まりによって、かなりの数の仮想人格プログラムカルテが押収されたが、今回の取り締まりの影響で、より巧妙な非合法仮想人格が流通する可能性が示唆されている。
43 導引機械犯罪増加。警視庁が発表
文明国家の頭脳として既に無数の導引機械が運転を続けている訳だが、近年当局の頭を悩ませているのは新しく導引機械を対象にした犯罪が増加の一途を辿っているという点である。犯罪の多くは導引機械クレジットの端末を狙ったものだが、その他にも導引機械通信網などの根幹となる気送管を破損させる、歯車の回転速度を故意に変化させることによる計算結果の操作などの例が挙げられている。
44 警視庁に猟奇課。翌年8月までの試設
世紀末の近づく近年、人々を震撼させるような猟奇的な犯罪が増加している。それに伴い倫敦警視庁は翌年8月まで試験的に『猟奇課』なる猟奇事件専門の課を設立することにした。これによって猟奇犯罪の迅速な解決が行われることが期待されている。
45 導引機械グラフィックエンジンに技術革新
導引機械の演算がいくら人間を上回っていようとも、我々の目に結果が映らなければ無意味である。しかし、今回の仰天すべき発明は、その状態を打破してくれそうだ。導引機械の計算結果表示部分は、現在多くの場合は細かい木片を回転させ、その組み合わせで様々な表示を行っている。しかし、今回の発明では光の3原色の理論を使用した画期的なものである。理論的には我々の知りうる限りの色を再現できるという。開発者は今世紀中に普及を目指すと語っている。
46 スコットランドヤードの導引機械に不安定要素?
スコットランドヤードの頭脳と目される導引機械『ピール卿』に何らかの問題を起こすような細工を施したとの犯行声明が『暁団』と名乗る狂信的組織によって行われたが、担当者によれば現在問題となる要素は発見できないという。引き続き調査がなされる予定。
47 導引機械演算コンテスト
導引機械における計算の速度は、機械の評価において最も重要な要素である。この度開催される導引機械演算コンテストは、個人・法人を問わず、全ての導引機械技師が参加できるものである。導引機械を設計し、組み上げ得る人物であれば誰でもこのコンテストに参加し、栄冠を得る可能性を持っている。詳しくは当新聞広報部へ。
48 倫敦動物園から大蛇逃げ出す。リージェントパークを大捜索
リージェントパークの倫敦動物園は、最も古い動物園として人気が高い。その動物園で昨日午後から予期せぬ大捕り物が繰り広げられている。動物園で飼われている大蛇の内一匹が公園内に逃げ出し、係員が総出で公園内を捜索したのだが、捜索は難航、結局現在に至るまで蛇は見つかっていない。幸いにも毒を持たぬ種類の蛇であるが、目撃者は至急動物園または当紙にまで連絡を。
49 下水道に複数の死体
またもや都市の暗黒部をさらけ出すような事件が起こった。昨日午後4時頃、クイーンズパーク地区のグランドジャンクション運河に注ぎ込む下水道に、複数の遺体が麻袋に包まれて詰め込まれているのを、偶然通りがかった水道管理局員が見つけ警察に届け出た。死体の損傷が激しいため身元の確認は難航している。当局は殺人死体遺棄事件として捜査を開始した。
50 眠り病倫敦に蔓延の兆し
『眠り病』と異名を持つ奇病が倫敦に蔓延しているという調査結果が提出され、医学関係者を当惑させている。『眠り病』は南アフリカ周辺の風土病であり、感染者は約2週間の潜伏期間を経て徐々に睡眠時間が長くなり、最終的に一日の大半を睡眠状態で過ごすことになる。『眠り病』による死者の記録は無いが、長い場合、一月以上に渡って眠り続ける例も在るという。現在当局は南アフリカからからの入国者から伝染した可能性があるとみて調査を続けている。
51 不良品瓶詰回収される
リバプールの食品製造会社BBB商店の工場で○月に製造された瓶詰めに不良品が混入しているとして、問屋及び販売店に回収を働きかけていた事が明らかになった。個人であっても○月の製造印のある瓶詰めであれば、新品と交換するとのこと。
52 月夜の飛行物体
本日未明、蝙蝠状の羽根をばたつかせて月の前面を横切る謎の飛行物体を目撃したという情報が複数名の読者から寄せられている。以前から月の明るい深夜に飛行物体を目撃したという投書が寄せられていたが、今回のように複数名が情報を提供したのは初めてのこと。当紙では現在碩学を中心とした調査班を結成、慎重に調査を続けている。
53 石工ミイラ死体で発見さる
イーストエンドにおける再開発事業が進む中、取り壊し中の建築から約100年前の石工のものと見られる遺体が発見された。遺体はミイラ化していた。今月半ばに工事関係者による埋葬が執り行われる予定。
54 夢占大繁盛
降霊会は上流階級の流行となっているが、我々庶民の間では夢占いという神秘が手頃のようだ。先日発売され、瞬く間にベストセラーとなったキュー博士の名著『絵入り夢占い』の人気を追い風として、倫敦の至る所で夢占いの専門店が開店、どの店も固定客が付く程の人気だという。
55 電報局強盗事件
昨日深夜、チャリングクロス駅近くの電報局に賊が押し入り、金銭を奪って逃走した。警察の発表によればこの事件には確かな目撃者がおり、早期の事件解決が見込まれるという。
56 機械党本部に爆発物郵送さる
本日早朝『機械党』の本部に時限式の爆発物が郵送されていたことが明らかになった。爆発物は専門家の手によって取り外され、適切に処理された。被害は特になかった。機械党は今世紀後半に加わった様々な文化の一つとして挙げられる『機械主義』を礎とした政党。この事件に関して犯人側からの声明は出ていない。
57 倫敦郊外邸宅全焼。飛び立つ謎の飛行船
北倫敦郊外の閑静な森の中でウイリアム・ドーバー氏邸が全焼するという事件が起こった。しかし、主人であるドーバー氏は現在北アフリカを探検中であり、保険会社が調査に当たっている。また、当夜、邸宅上空に身元不明の飛行船が航行中であった事から、当局ではこの飛行船の行方を探っている。
58 テムズの底に謎の巨大魚?目撃相次ぐ
テムズ河に最近巨大な魚と思われる謎の生物が巣食っているとの情報が寄せられている。テムズの両岸にはその謎の魚を一目見ようと野次馬が絶えない。また、この騒ぎでテムズ観光船は普段の倍以上の収入になっているとのこと。
59 犬島で麻薬取り引き
テムズ河を倫敦からさらに東に下った犬島(ドッグアイランド)で、強力な麻薬が取り引きされているという現状が明らかになった。当局捜査班が決死の覚悟で侵入した結果、倫敦の麻薬密売の現場を押さえることが出来、乱闘の末、数名の密売グループ構成員を逮捕した。現在芋蔓式に主犯格の者を逮捕するべく調査が進んでいる。
60 導引機械音楽会開催
導引機械によってオーケストラを制御するという研究がケンブリッジ大学において進んでいたが、その成果が音楽会という形で発表される運びとなった。この音楽会では楽器を制御するのは全て機械群であり、人間は一切楽器を演奏しない。また、指揮もなく、全てが事前にプログラムされているという。関係者は「人間の演奏と変わりない」と自信満々。
61 遺体が持ち去られる
昨日夜、聖バーソロミュー病院の遺体安置所から男性の遺体が持ち去られているのを警備員が発見した。遺体は身元不明であり、何らかの事件に巻込まれ殺害されたと見なされていた。当局は事件に関る者の犯行であると断定し、捜査に当たっている。
62 ホワイトリー百貨店でも偽札を発見。古書店のものと同一。
ストランド街の古本屋で偽札が発見された事件に引き続き、名門百貨店であるホワイトリーでも同一の原版によるものとみられる5ポンド札が発見された。当局は偽造紙幣製造犯の手がかりを追っている。
63 交通事故多発に策。導引機械による都市計画
倫敦市内では慢性的な渋滞に加え、馬車同士による交通事故が多発しているが、その現状を打開するための基礎的研究が行われる事になった。具体的には現在の交通量を測定し、導引機械を用いた仮想実験を繰り返す事で、最適な交通網を組み上げるというもの。これは20世紀初頭に計画されている倫敦の新都市計画へ続くプロジェクトであると考えられる。
64 逃亡を続ける発明家
当紙独自の調査によると、現在不遇なる発明家であるリチャード・ホーバー氏(仮名)は、彼の設計した高性能な通信装置の特許権を巡る争いの結果、倫敦を追われ、現在逃亡を続けているという。彼と敵対すると目されている団体は、この件についてコメントを控えている。
65 ボウストリートで悪臭騒ぎ
ロイヤルオペラハウスの東を通るボウストリートで、昨日夕方に悪臭騒ぎが起こった。悪臭はすぐに風に紛れたが、数名が病院に収容された。現場を捜索した結果、用途不明の円筒形の金属物体及び、ガラス製試験管の破片が発見された。当局はこの騒ぎが人為的なものであったとして、調査を開始した。
66 義足細工職人の悲劇
義足細工職人が客に殺害されるという事件が発生した。殺害されたのはアイリントンのベテラン義足細工職人ジョージ・エライアス氏。氏は銃を内蔵した義足を作成するようマイルス・キングと名乗る男からの注文を受け、その受け渡し時に、彼の細工した義足から発射された銃弾に倒れた模様。当局はマイルス・キングを重要参考人として行方を追っている。
67 落雷による被害
昨日倫敦を襲った嵐の最中、ハイドパークの楡の木に落雷があり、炎を上げて燃え上がった。風を受けた炎はあっという間に燃え広がり、広範囲に渡って木々が焼失した。幸い飛び火が少なかったため、被害が限定されたが、今後も落雷による発火を警戒する声が高まっている。
68 新惑星発見さる?専門家は疑問視
太陽系に新たなる惑星を発見したとの報告が提出されている。導引機械による数ヵ月に渡る反復計算の結果算出されたもの。現在知られている最も外側に位置する海王星発見は1846年ガレ(独)によるものだが、この時も天王星に関する計算と実測値のズレから海王星の位置が推測されている。しかし、現在のところ、専門家は疑問の声を上げている。
69 密輸入品販売会社摘発。ドックに隠し倉庫
ドックには毎日大量の輸入品が到着するが、その中には正規のルート以外で取り引きされるものも多そうだ。今回摘発されたのは大手輸入会社フレデリック商会。一昨年末より密輸入品を買い付け、それらの品々の一部をドック周辺の自社倉庫に隠し、裏ルートを通じて販売していた疑い。現在引き続き調査が行われている。
70 仮想人格用揮発剤を水増し販売。問われる品質管理
仮想人格を用いる人であれば誰でも、あの粘膜を通して人格をスイッチする水薬の世話になったことがあるはずだ。現在この水薬に蒸留水を混合し、販売を行っていた専門店が起訴されている。店主は効果に違いはないと主張しているが、法廷では販売物の品質の問題が焦点となる模様。
71 イーストエンドでコレラ蔓延の恐れ
倫敦の東に広がる地区でコレラ患者が連続して発生しており、患者が病院に収容されている。コレラの症状は発熱・吐瀉・激しい下痢であり、重症の場合は急に衰弱し死に至る可能性がある。当局では特に生水に注意するよう呼びかけている。
72 図書館に賊侵入
倫敦に多くある個人図書館は、特に図書館を解放している者の専門の知識が反映され、時に総合図書館よりも使い勝手が良い。そのような個人図書館であるチェルシーのジョンソン・エンド図書館に賊が押し入り稀覯本十数冊を奪い逃走した。この図書館には手彩色の木版印刷物が数多く収集されている。現在保険会社と警視庁による調査が進んでいる。
73 電信線切断される
地方と中央とを結ぶ電信線は、我々の想像を遥かに超える重要性を持っている。特に地方に危機が起きた場合、その命綱は電信であるといえよう。このように重要窮まりない電信線を切断するという犯罪が、この1年で少なくとも7回は起きていると伝えられている。政府は電信線のセキュリティーを高めるように指導している。
74 気送管を用いた気体毒の蔓延計画発覚す
各種研究所や大学、政府機関などの間に設置され倫敦を網の目のように覆う気送管を使用することで、容易な情報のやり取りが行われている。今回殺人未遂で逮捕された男の計画は、この気送管に猛毒を流し込み、英国の中枢部を破滅させようというものであった。これを受け、政府筋ではこのようなテロに関して対応策を練っている。
75 船上パーティ最中に失火
昨夜、テムズに揺られながらパーティを楽しんでいた男女を災難が襲った。船の調理場から出た火が折りからの風を受け勢いを増し、船は全焼した。幸いにも救助が迅速であったため、死傷者は出ていない。
76 売春宿で殺人事件
哀れな日銭を稼ぐ女性をまたもや悲劇が襲った。イーストエンドのスラムで3名の娼婦が連続して殺害されたのである。ジャック・ザ・リッパーと比肩するこの殺人者は、未だ捕縛されていないが、犯人がどのような人物であるかの証拠が数多く残されているとして、警視庁は迅速な捜査を開始した。
77 地下鉄列車内で少年が自殺
昨日、倫敦地下鉄の車内が騒然となる事件が発生した。騒がしい車内で、少年が自らの頭部を拳銃で打ち抜き自殺したのである。調べによると少年はホワイトチャペルのスラム周辺の路上に住むストリートチルドレンであった。彼がなぜ地下鉄に乗り込み、さらに拳銃で自殺を行ったかなどについてははっきりした事は解っていない。
78 導引機械クレジットサービス強盗
倫敦市民に利便を供給している導引機械クレジットサービスであるが、その端末を狙った強盗事件が発生した。昨晩未明、クレジットハウスと通称される端末施設がバール状のものでこじ開けられ、現金およそ50ポンドが奪われた。扉などに異常が発生した際に自動的に通報がなされるが、今回の事件では通報を受けた警官が現場に駆けつけた時には既に犯行が行われた後であった。
79 宝石故買商逮捕。密売ルート解明に一歩前進
盗まれた宝石は一体どのようにして売りさばかれるのか?そんな疑問に対する回答が求められそうだ。倫敦警視庁は盗品の故買を行っているとの情報を受けた宝石故買専門店に目を付け、遂にその商店において盗品宝石の売買の現場を押さえ、店主を始めとする数名を現行犯逮捕した。事件担当のコジャック警部は、今後盗品の宝石の密売ルートも明らかになるだろうと記者団に答えている。
80 ミュージックホールの俳優の謎の死
倫敦のバタシーに情婦を持つ俳優のジョージ・ハイドマンの死体が情婦の部屋の4階下に当たる地下2階に安置されているのが発見されてから既に10日が経過しようとしているが、彼が一体どうして殺される事になったのか、そしてどうしてその様な場所に安置されるなどという事態になったかについて、誰にも説明できないでいる。警視庁は事件発生の前後から行方が解らないでいる情婦を重要参考人として手配している。
81 仮想人格を教育に活かせるか?
仮想人格が社会に根付いたと考えるのに早急であるかそうでないかは各人の意見の分かれる所だ。しかし、現在急進的な教育学者達は、教育のための1戦略として仮想人格を用いる事を本気で検討している。全ての必要最低限の知識が仮想人格で身に付くのであれば、それで義務教育は完成するという意見である。これに対して伝統的教育を重んじる立場の教育研究家は不快感をあらわにしている。
82 殺人劇
演劇を楽しみに行って、演劇以上に劇的な場面に出会ってしまったらどうしたら良いのだろうか?今回サザンパークのミュージックホールで行われた新進仮想人格劇『殺人喜劇』の中で、俳優のヘンリー・ボールドが突如舞台の上で怒鳴り声を挙げ、拳銃を乱射するという事件が起き、1名が死亡、2名が重傷を負った。ボールドは警官によって取り押さえられ、現在彼は精神病院に収容されている。
83 ビッグ・ベン爆破予告
国会議事堂の威風堂々とした時計台に爆弾を仕掛けた、そんな犯行声明が当紙に寄せられた。犯人は自信たっぷりな口調で、英国政府の政策を批判し、最終的に天誅を下すためにビッグ・ベンを爆破すると予告している。しかし不可思議なのは予告はすれども犯行日時が書かれていない事であり、いたずらとして処理される模様。
84 家庭料理コンテスト開催
英国の料理はとても不味い、そんな噂は今回のコンテストで払拭されると期待されている。このコンテストは英国の家庭料理に限定し、その出来栄えを採点するというもの。しかし、このコンテストに意味が在るかという点については疑問である。なぜなら採点官は自分の家の料理以外に高い得点を付けようとはしないだろうから。
85 扉に髑髏マーク。悪戯か?呪いか?
アリババの話ではないが、最近イーストエンドの貧しい地区の住宅の扉に白いチョークで髑髏マークが描かれるという悪戯が続いている。最初は住民も子供の悪戯だろうと噂していたが、現在では呪いだのいけにえだのといった猟奇的な話に発展し、近隣の住民は部屋に閉じこもりきりである。
86 怪奇植物公開される
アフリカや中央アジアなどに自生する各種の奇妙な植物がキュー植物園にて公開されている。普段見る事の出来ない不思議な植物の世界を堪能する良いチャンスであることは確実である。
87 雑な仕事。盗みを働いた老娼婦が逮捕される
恵まれない階級の女性がまたもや犯罪に手を染めてしまった。被疑者はマーガレット・ミッチェルと名乗る老娼婦。彼女は自分の属している娼館の金庫をこじ開け、金を盗み、そのまま逃走した疑いで逮捕された。
88 大恐竜化石展示会場に賊侵入
来週の木曜日に公開予定の大恐竜化石展示会の会場となる王立科学博物館に賊が侵入し、会場を荒らすという事件が起きた。警視庁のヘンリー・ハリス巡査は、犯人が何かを探していたらしい痕跡を発見したが、犯人が何を探していたかについてまでは明らかにしていない。
89 高級娼婦殺害事件の未決の謎
既に犯人が捕らえられ、解決をみたと思われているピップ殺人事件であるが、考えれば考えるほど、現在身柄を拘束されている青年が犯行に及んだとは考えられない。当紙は彼が無罪である事を声高に主張する。警察はまず、青年がピップ嬢と直接面識がなかった点、彼自身が犯行を行ったと証言した後に、すぐにその撤回を図っている点、警察で暴力が行われた点などをもう一度考え直すべきである。
90 幼児を殺害した女性が自殺
幼児を河に投げ込み、死亡させたと警察に自首した女性が、その夜のうちに署内で首を吊って自殺した。現在女性が幼児を殺害したと自白した地点から下流域を捜索しているが、幼児の遺体は発見できていない。また、この女性の身元についての確認を急いでいる。
91 霊媒が少女の遺体を発見
約2週間前から行方が解らなくなっていた少女を探すように家族に依頼された霊媒のトッド・パーマーは、少女が倫敦とグリニッジの鉄道路線脇の下水溝で見つかるであろうと予言した。その予言は的中し、哀れな少女は遺体で発見され、無言の帰宅となった。
92 駅周辺で少年が行方不明になる
鉄道の駅周辺で野宿をしていた少年達が行方不明になるという事件が起きた。駅にたむろしている少年の一人によると、数週間前に赤い帽子を被った女性が現れ、現在行方不明になっている少年達と短い時間、話をしていたという。現在その女性の行方を調査している。
93 砒素による殺害?
サリー州クロイドンで、砒素中毒によって5人家族の内3名が死亡するという事件が起こった。しかし、この家族にうらみを抱いている者は誰もおらず、また、残された家族、親戚に至るまで殺害の動機は見当たらない。警察当局は新たなる証拠を探そうと努力を続けているが、現在のところ、この事件は未解決のままになりそうである。
94 偽死体事件——本物はどこだ?
死亡したと思われている人物が、実はよく似た他人だった。こんな不可思議な事件が倫敦の街をにぎわせている。もしも彼が生きているのであれば、なぜ姿を現さないのであろうか?その男の名前はハーバート・スモールという。彼は全く瓜二つの人物になりすましているのだろうか?それとも何か社会に名乗りを挙げられない理由でもあるのだろうか?
95 地下に通じる道を発見?
倫敦の地下鉄は世界でも有数の人工地下空間である。人類の威容は大地の女神からも恩恵を受けているといえよう。ところで最近地下鉄関係者の間で、ある噂が流れているのをご存知か?それは地下鉄構内から秘密の通路が地下深くまで伸びており、その先には地底人が住んでいるというものである。子供騙しと馬鹿にする事なかれ、このうわさ話を聞きつけた政府のある調査機関が地下に潜ったとまで言われているのだ。どこに通じるか解らない人工の地下空間。倫敦の怪異はこんな最新の都市施設にまで手を伸ばし始めたらしい。
96 テムズに変死体
テムズ川に重りを体に巻き付けた女性の死体が投げ込まれているのを、河川運搬船の操舵手が見つけ、警察に通報した。女性の身元は不明。現在死因及び死亡日時を特定する作業が続いている。警察は死体遺棄の疑いで捜索を開始した。
97 大降霊会開催される
この数年で最も大規模であると噂される降霊会の集いが来週末に開催される運びだ。200名もの人が集うこのイベントは、正しい降霊の技術を共有するために開かれるものであるという。上流階級の道楽から始まったと考えられるこの降霊会も、最近は次第に下火になっているが、今回の大会で再び人気を取り戻すか?
98 非番警官殺害される
スコットランドヤードの有能な巡査、エドワード・ピックマンは、昨晩未明、非番の時間帯に自警団の指導に当たっていた。しかし運悪く町内で強盗事件が発生し、彼が職務に忠実に犯人の一名を捕らえようとした所、強盗の内一名が彼を拳銃で狙撃した。銃弾は彼の左胸を貫通、ピックマンは即死した。スコットランドヤードで葬儀が執り行われる予定。
99 19世紀末の魔女狩り
魔法や呪いなど、科学全盛の世の中で滅亡すると考えられていた伝統的な儀式は、19世紀末の倫敦でも密やかに生き長らえているようだ。昨日未明全身を白装束で固めた青年の一団が、イーストエンドの女魔術医師の異名を取るフランシス・ハイド宅に押し入り、彼女を刀状のものでめった刺しにし、惨殺するという事件が発生した。犯行声明は未だ出ていないが、これは12年前のエマ・ジャクソンを殺害した集団と瓜二つの殺害方法であり、その事からも、現代の魔女狩りの意味が在るのではないかと推測されている。
00 マスターの決定による