キャラクターと超時空体との関係
まず、はっきりしている事は『蒸気!』のPCは超存在によって選ばれてしまった存在であるという事です。それは彼らが望もうと望むまいと、彼らの上に降りかかってしまった『天災』なのです。
超時空体とは『蒸気!』の世界を成立させるために重要な役割を果たす謎の存在です。その役割は多岐にわたりますが、その一つに『影響を与える』という役割があります。この役割の働きにより、『スチームユニバース』の存在法則も成立し、PCが選ばれてしまうという事態も出現しているのです。PCが選ばれてしまった背景は謎です。これは偶然なのか、必然なのかは歴史が語る事であって、ここで論議しても無駄な話です。
選ばれてしまったキャラクターは、選ばれている期間の間、超時空体の影響によって『熱い魂』を使用することができます。また、『絶望』というしっぺ返しを受ける事もあります。熱い魂を使用できるという事は、超時空体の加護を受けていると考える事ができます。また、PCが冒険活劇に巻込まれ易く、『偶然』事件と関係があるという経験が多いのも、この超時空体の影響があるためです。しかし、キャラクターにとって選ばれてしまったというのは漠然としかわかりません。敏感な人間であれば気が付くという程度のものです。大抵は漠然とした不安とか、被視感とかしか感じられません。
例外として超時空体の加護を強く受けているキャラクターは、加護のための具体的なきっかけが与えられます。これは大抵は現実的ではない出来事としてキャラクターの身に起こります。強い加護を受けるキャラクターとなるための資格は特に無く、望むならPCであれば強い加護を受けているとしても良いでしょう。強い加護を受けているキャラクターは加護を受けているという自覚はありませんが、『何か変だ』と感じる事はできます。マスターはプレイヤーがキャラクターを作成した時点で、何らかの加護のきっかけとなった経験を与えても良いでしょう。
具体例:
シドニー・ジョンソンは注視する視線を受けているような変な感じを自覚した。しかしそれがどんな原因であるかは明確ではない。だから彼は「気のせい」でその経験を処理しようとしている。しかしその「気のせい」は実は加護の始まりであったのだ。
彼が加護を受けていることは明確には他人にわからない。「何か変な感じがするんだ」と他人に言えば、「そんなこともあるよ、気にすんな」と返されてしまう。んな毎日が続き、シドニー・ジョンソンは気にしないようになった……。
加護を受けているキャラクターを看破するのは、同じく超時空体と関っている存在です。それは明確な証拠が無くても敏感であれば(そして加護が強ければ)その加護に気が付く事ができます。占い師や降霊術師にも加護を受けている者がいますし、天導機械であれば確実にPCの受けている加護を看破するでしょう。
具体例:
「お待ち」
街をゆくシドニー・ジョンソンに声をかけたのは黒い衣装に身を包んだしわくちゃの老婆だ。
「なんでしょう?」
シドニー・ジョンソンが答えると、老婆はしわくちゃの顔をさらにしわくちゃにして、
「あんたは神様に選ばれているんだよ。もうお気付きだろう?」
何の事だ、という顔をしたシドニー・ジョンソンに、
「神様がずっと見守っているのさ、感謝おし」
そう言い残して彼女は雑踏に消えた。
シドニー・ジョンソンは自分に注がれる視線が天上からのものとは思えなかったが、自分の経験を老婆が指摘した事に驚き、しばらく雑踏の中に佇んでいた。
例のように人によっては加護の捉えかたが異なります。老婆は『神様の加護』と捉えています。これは誤りでも何でもありません。誰もが自分なりの捉え方をしているのです。