アベイラブル(Available)
定義
元はコンサル用語だと思うが、一時的に仕事が無い人のこと。
アサインされている案件が無くて空いてますよ(利用可能ですよ)というニュアンス。
メカニズム
マトリックス組織で起きる
組織には「所属上の組織」と「業務上の組織」がある
前者はレポートライン、後者はプロジェクトと呼ばれることが多い
事業会社では両者は一致するが、機能会社では一致しないことが多い
機能会社:SIerやコンサルなど「案件」に入って食べる 例: 所属上の上司と業務上の上司が違う
前者をグループ、後者をチームと呼ぶとすると
通常グループは1つだけ所属で、チームはnつ所属できる
チーム所属が0だとアベイラブルsta.icon
マトリックス組織では、業務アサインも所属上の上司が行う
しかし所属上の上司はただでさえ抱える人数が多いし、業務に詳しいわけでもない(下手すると無関係)
したがって、打ち合わせによる調整がかなり発生する → 調整コストが高い
アサインに繋げられるほどの調整に及べないことが多い
つまり構造的に「アサインされてる案件が一つもない」「すぐにはアサインできない」がありえるsta.icon
属人化や単一化が進んでいると、アベイラブルが起きやすい
属人化
仕事の進め方を現在の担当者だけが握っている状態
この状態で新しい人を迎え入れる場合、担当者と密に連携しなくてはならない
ただでさえ忙しい担当者を損ねないよう適応が必要なので、高度なソフトスキルと我慢が要求されるsta.icon
単一化
多様性がない(単一のあり方しか許容されていない)状態
例: 全員毎日出社せよ
この状態の場所に来た人は、その単一的なあり方に適応できなければならない
上記例だと毎日出社できないといけない(もちろんその前提でパフォーマンスを出せないといけない)
過ごし方に鈍感で頑丈な者か、仕事中毒な者は気にしないが、それ以外の人にとっては厳しいsta.icon
本題、会社も(よほどでなければ)無知ではない
なので、アサインの段階で「属人化や単一化した状態にも耐える人材か?」を見る
これをWarrior(戦士)と呼びましょうか。戦士タイプとかの戦士sta.icon
戦士タイプでない人材は「んー、アサインはきつくないか?」となって、安全側に倒す。アサインしない
つまり戦士タイプでない人材は不利でアベイラブルになりがちsta.icon
実態を覗きたい
人材強化で中途採用たくさん集めてるけどアベイラブルが多い……みたいなコメントをちらほら見れる
アベイラブルを軽減するには?
方向性としては以下
1: 属人化と単一化を軽減する
2: フルコミット型の役割以外の役割を開拓する
1: 属人化と単一化を軽減する
属人化の軽減については、標準化しましょうとか、プロセスを根本的にシンプルにしましょうとか、情報は全部残して辿れるようにしましょう(透明性確保しましょう)といったことをする
複数のあり方が共存できるような具体的なやり方・考え方・仕組みをつくる、教える、試す、定着させる
これはかなりむずい
融通が利くITの会社や、でかくて賢いGAFAMレベルですら単一化しがち
だからこそ整備と啓蒙が急務だと思ってて、僕はそれでご飯を食べようとしているsta.icon
2: フルコミット型の役割以外の役割を開拓する
フルコミット型の役割:プロジェクトメンバーとして参加して、前進するために何でもやる感じの役割
これは戦士タイプでないとできない
スキルその他能力があっても、戦士タイプとしての力がないと役立たず認定される
なので戦士タイプでなくても貢献する役割の型を新たにつくらねばならない
バックオフィスということではなくて
世界的にも未開拓だし、sta.iconが開拓しているものでもあるが、たとえばsta.iconは以下をつくった
Internal Evangelist:全社員向けに情報提供を続ける者。ブロガーでも配信者でもGitHubリポジトリにプロトやドキュメント置きまくるでも何でも
Glue Worker:Glue Workと呼ばれる「こぼれがちな雑務」をこなす専任者。いろんなプロジェクトを横断する
Knowledge Catalyst:チーム内のナレッジを外に出したり、チーム外のナレッジを内に入れたりする者。言語化と共有の力が強くないとできない。たとえば7人チームの中にナレッジカタリストが1人いるイメージ
これに限らず、その組織に合った役割はいくらでもあるはず。それをちゃんと役割として定義する
フルコミット型でない人材はどうせ役に立たないんだから、別の型を当てはめればいいわけですsta.icon
なのにフルコミット型を神聖視して無理やり当てはめようとするから悲劇になる or 悲劇になりたくないからってアベイラブルにして放置することしかできない
無論、解雇の力を持つ組織は(じっくりとシナリオと体制を整えた上で)ある日まとめてリストラする
Q&A
Q: アベイラブルは個人が悪い?
Ans: ケースバイケース
まず管理職より上の立場だったら個人が悪い
なぜならそういう立場なら自分で仕事取ってこないといけないから
責務としてもおそらく定義されてるはず
そもそも仕事は現場層が取ってくるものじゃない
現場層は「上や組織が取ってきた仕事をこなす」存在であって、取ってくるのは上や組織の仕事
これには「アサインできるような仕事を取ってくること」や「上手くマッチングさせること」も含む
つまり上や組織が悪い
なのに現代はVUCAだのキャリアなんちゃらだので現場に押し付けてきてるからたちが悪い
別に押し付けても相応の権限や待遇を与えるなら問題ないが、与えてない事が多いと思う
良くないsta.icon*2
一方で個人側に問題がある場合、マッチングがNGになることが多くてアベイラブルになりやすい
これは個人側に問題があると言えるだろう
Q: マトリックスじゃない組織では起きないの?たとえば所属上も業務上も同じ組織にいる場合は?
Ans: 起きるけど、アベイラブルとは言わない
すでにアサインはされている状態なので、アベイラブルではない
ここではアサイン=業務上の組織に所属すること
タスクのアサインではない
なので「業務上の組織には属してるけど仕事がない」という状態になるsta.icon
一方、アベイラブルは「業務上の組織への所属がゼロ」
Q: アベイラブルは必ずしも悪とは言えないよね?
Ans: はい。そう思います
勉強や充電は必要だと思うが、アベイラブル中はまさに適している
欧米で気前がいいと長い休み取ったりするけど
日本でもないことはないと思うが誤差だと思う、一介の社員が「仕事落ち着いたんで一ヶ月休みます」ができる組織はほぼないんじゃないか?sta.icon
そもそも本質的に複雑な状況なのだから、アベイラブルを無理やり潰す・ゼロに近づけるのは現実的じゃない
資本主義的な理屈の上では理想ではあるが、俺達は機械じゃない
し、機械でもメンテナンスや配置換え、そのための検討や準備は要るだろう
アベイラブルを根絶するというよりも、ある程度はしゃーないと受け入れた上で、その前提で持続的にするのが良いと思う
逆にこうじゃない組織の方が不自然と感じる、単一化が強そうだなとか
ビジネスとしては結果出しやすいけど