2万ページ以上書いてたScrapboxを非公開にします
はじめに
2020/03~2024/12、公開プロジェクト/staを運用してきました 非公開直前時点で、25000ページくらいありました
そんなScrapbox(現Cosense)の、一ヘビーユーザーの世界観をお届けします
ついでに非公開にした背景も混ぜます
また知的生産の定義に食い違いが生じるかもしれません、必要なら読んでください なんで非公開にした?
Ans: 調子に乗って何でも書きすぎたことによる弊害が大きくなったから。
まずは下記の「やらかし面」が起きたので、けじめとして非公開にしました。
申し訳ありません。
次に、メリ > デメになればいいわけですが、デメリットが大きくなったので辞め時かなとも思っていました。
最後に、私は知的生産者としてヘッドハント・登用されることを狙っていましたが、起きなかったのでやめようとも思っていました。
やらかしについて:
一部の読者を(体調を崩すくらい)傷つけてしまいました
センシティブなのでこれ以上の深堀りはしません
メリデメ:
デメリット:
コスト面
何でも公開する変人的キャラクターの維持
機密やプライバシーを常に意識して変換(抽象的にする、意図的にノイズや嘘を入れる等)する手間
ダメージ面
いつ、どのページを、誰に見られて突っ込まれるかわからないというプレッシャー
不安定面
良いページと悪いページが混在しており、切り離せない
後述しますが、真面目な技術の話の隣にR-18の小説ネタが出たりもします
メリット:
アウトプット能力、行動力、知識などを持っていることを示せる
Scrapboxのスキルを示せる
「ぼくがつくったさいきょうのちしきげん」でもあり、他の環境からでもアクセスできて便利
情報が集まる
情報は出す人のもとに集まる
機会が集まる
純粋に「外に出している接点の量」が桁違いなので、その分反応、認知、その他機会が増える可能性も高い(私が捕捉できるかは別として)
ヘッドハントについて:
私は知的生産者です
実用的な新しい概念をつくっています
待っていました
ヘッドハントしてもらえるくらいの価値があると自負していました
公開し続けることで、そのうち「わかってくれる人」の目に触れるだろうとの戦略でした
しかし一向に来ませんし、来たこともありません
この作戦は間違いだと判断しました
(Historyにはにじみ出ていると思いますが、2024年からは、成果物をつくった上でこちらから「刺さりそうな相手」に持ち込む活動にシフトしました) どんな立ち回りをしていた?
Ans: オープンソース、ソフトウェアエンジニアリング、創作、ライフハック、Youtuberのすべてがインストールされた変人、のような立ち回りです。
要するに、できる限り何でも公開していました
ITの備忘録、調査勉強メモ
つくったプログラム、仕組み、概念の紹介や解説
買い物メモや家計簿(支出記録)
知的生産の過程および成果物
他のScrapboxを引用してコメントを書く、という緩やかなコミュニケーション
Scrapboxの一部界隈で見られる文化です
バズったネタやニュースのメモと、それに対する自分のポエム
ある種の男性向けラノベやR-18を含む創作ネタ
ある種のカミングアウトや、その特性を前提とした生々しい体験や考察
etc.
またコンテンツとしてインプレッションを稼ぐために、以下も積極的に行っていました
容姿や声など非言語情報を出す
盛り上がりやすいジャンルで、逆張りをする
例: 男女論、陰キャや非モテの話、童貞含む性の話
主語を大きくした、大胆な主張
非モテ、陰キャ、ぼっち、万年平社員といった特徴づけとそのアピール
(特にScrapboxユーザーに対して)相手のページを見に行き、何かしら言及する
また相手の名前とアバターを書いたページをつくる
sta.icon ← これもそうですが、つくっておくとアイコンで言及しやすくなって便利です。界隈の文化です
こうすると何を書かれているか気になるので、本人が見に来るようになります
ナルシスト的な振る舞い
etc.
学んだことを雑多に
悪かった:
非常に多くのエネルギーを使っていた
できるだけ情報を出したいが、出しちゃいけないものは出さないとのバランスを常に意識していました
やめてから気付きましたが、相当エネルギーを使っていたようですsta.icon
私は気合を入れれば書籍コンテンツを2作並行してつくれますが、本活動があると1作しかつくれないか、1作すらつくれなくなるほどです
面白がってはもらえるし、知ってももらえるが、その先がない
たとえば転職が決まったり、ヘッドハントしてもらえたりといったことはありませんでした
言葉にしてみればかんたんですが、以下ですねsta.icon
現代はチームの時代、またプロジェクトエコノミーであり、実力がありそうだからといってほいほい任せる時代ではない
多少プラスがあっても、マイナスやネガティブがあれば論外
ビジネスもキャリアも人間関係も、よほど実績がない限りは、こちらから売り込んでいかないと何にも繋がらない
言うてそんなにPVは集まらない
アナリティクスがないので厳密なことは言えませんが、月10万アクセスの壁は超えていないと思います
はてブで50user以上に至ったこともありません
本当に集められているなら、フォロワーがいなくても上記くらいは行きますsta.icon
行かなかった理由として以下が挙げられそうです:
コンテンツが玉石混交すぎて「誰にも刺さらない」
無関係のコンテンツや、想定外の気持ち悪いコンテンツが普通に(かつアトランダムに)出てくるので、物好き以外には定着しない
そもそもScrapboxはデザイン的に、あちこち漁る動線になっていない
いえ、なってはいるのですが、それをする「Scrapboxのリテラシーを持つユーザー」は非常に限られます
ページ数が多いほど検索流入が増えるわけではない
Googleの詳細はわかりませんが、/staという「一サイト」のページを全部表示してくれるほどのお人好しさは無いように感じました 造語忌避
私は知的生産者なので「新しい名前をつけること」含む造語は頻繁ですが、一般的には忌避されます
エビデンスまたコードの欠如
Scrapboxのリテラシーを持つユーザーは「エンジニア」か「アカデミック寄り」が多いからか、技術的に具体的な話やコード、あるいは何らかの根拠や権威(PV多くてバズってるでも良い)を示せないと、その情報を相手にしないように思います
私はあまり示していませんでした
個性の忌避
上述のとおり、私は自分という人間的な部分も積極的に出していましたが、リテラシーを持つユーザーはそういうコンテンツには興味がないか、毛嫌いするように思います
顔が見えないこと
しかし、私は身元など個人情報は出していなかったので、人間的なコンテンツを好む層からも「正体不明」「どういう人物かよくわからない」と見えて、いまいちだったようです
見限られやすかった
上述してきたとおり、気持ち悪さ・得体の知れなさなどがあったので、コイツは「ない」と下されがちだったように思います
コミュニティでも思っているほど人望はつくれなかったですし、むしろ浮いていましたし、より直接的には転職の文脈で、A/Bテスト的に/staを見せたときは書類選考すら通らなかったりしました ここをカバーできるだけの魅力があれば良かったのですが、これも上述したとおり、そこまではありませんsta.icon
良かった:
知的生産の能力が上がった
エンジニアはコードを書き、作家は物語を書きます
同様に、知的生産者は概念(言語化して第三者でも理解可能にした観念)を書きます
Scrapboxは概念エディタとしてうってつけで、書く量が増えたので、当然力もつきますsta.icon
界隈の知り合いや友達が増えた
数は多くないですが、非常に内向的かつ仙人的な私にとっては信じられないことです
「アラサーでも友達がいない」はキャラ付けの一つでしたが、使えなくなりましたsta.icon
ネットワーク的なものの考え方ができるようになった
そんなScrapboxを私は、おそらく誰よりもヘビーユースしてきたはずです
この感覚は知的生産においても非常に役立っており、一生の財産だと思っていますsta.icon
認知の歪みをある程度矯正できた
Scrapboxは空気や通知がなく、お互いに言いたいことを言えますし、スルーもしやすいです
だからこそ私は読者や知人友人からたくさんのフィードバックをいただくことができました
今までは怖くて仙人として生きることしかできませんでしたが、少し外に出れるようになりましたsta.icon
まとめると、圧倒的行動量による成長はできましたが、露出のやり方が頭悪すぎてもったいない、といったところです。
また、「情報出して相手から来るの待つ」スタンスもこすいと思います。
今後は露出(特に露悪面)をセーブしつつ、自分から堅実にアプローチしていったほうがいいでしょう。
あるいは待ちのスタンスで望むにしても、堅実なコンテンツのみで地道に勝負するべきでしょうし、玉石混交ではなく秩序立てるべきです。
出せば出すほど良い、というほど単純ではないのです。