アダプター理論
Adapter Theory.
サムネイル:
https://gyazo.com/fc1a6b9c3bbce41aba635a9707ed88d3
背景とメリット
背景
通常、どの組織でも「できる人」と「できない人」が発生する
また近年では水準が上がっており、また人手や若手が不足していて、「合わない人」への強要もできず配慮が要請されている
例: Z世代、発達障害
「できない人」や「合わない人」を上手く使う仕事術は整備されていない
ペイン
「できない人」や「合わない人」を上手く扱えない、一人前どころか半人前に扱うことすらも難しい
ソリューション
上手く扱うための、端的な理論を整理すると役に立つであろう
アダプター理論として整備するsta.icon
アダプター理論
アプローチ
「できない人」や「合わない人」とやりとりする仲介の仕組み(アダプター)を設ける
アダプターとして何を行うか、調整はどうするかといった「設定」を端的にまとめる
メリット
アダプターの考えを使って、ペインをある程度解決できるようになる
アダプター自体はシンプルな考え方であり、調整の余地が大きいので、各自が工夫して使える → 汎用的で誰でも使える
定量的に定義・計測できるので、継続的に改善しやすい
概要
アダプターとは
状況
A <-- B
AとBがやりとりしている
Bのほうが立場が強い。これをAはBから供給されているという
直接やりとりするとA側には何らかの不都合がある
Bの機嫌を損ねてしまう、Aの能力が足りなくてAにとって割に合わない、両者に信頼関係がなくやりづらい etc
解決策
AとBの間にアダプターをつくる
https://gyazo.com/6bd4858c337fb5b277e2782e78583808
https://gyazo.com/eba9d83cf3af3df87f89a053f44e3dd8
用語
Aを消費者、Bを供給者という
A <-- Bと書く
アダプターが供給者から消費者に仲介することをアダプトという
https://gyazo.com/632eebed9fe9ff0be4954b41d08452d7
アダプターが消費者をアダプトする、と表現する
「お膳立てする」「もてなす」と同じだと思えばいい
AからBの方向はアダプトではないことに注意
⭕A <--Adapter <-- B
❌A ->-Adapter --> B
アダプターは、あくまで消費者が(供給者と直接)やりとりできないのをカバーするもの
アダプターをこなす実体をアクターという
人か仕組みのいずれか
人:マネージャが部下をアダプトするなど
https://gyazo.com/e42ebcd119f0b2a96242b8013e0c365f
仕組み:顧客からのメッセージを生成AIを使ってマイルドに変換するなど
ただし供給者にアダプターは見せていけない
External Adapter。供給者から受け止める口。失礼のないようにつくる
Internal Adapter。Externalから得た情報を用いて、消費者をアダプトする
https://gyazo.com/fc1d10648774c75b6d3c32bf1789c5b8
アダプターをつくる者をメンテナーという
人の場合、役割をつくる
仕組みの場合、仕組みをつくる
通常はメンテナー = アクターである
Q: アクターとメンテナーを分けてる理由は?
Ans: 直近は気にしなくていい
設計の余地をもたせてるだけ
将来的にはメンテナーがつくったアダプターを、別のアクターが演じることも想定している
https://gyazo.com/fc1a6b9c3bbce41aba635a9707ed88d3https://gyazo.com/aebc40d791e03f485240926cfb447ebd
私の確信として「検討と実践の才能は両立しない」があり、アダプターを実践できる人自身がその振る舞いをつくるのは難しいことが多い。なので、分けられるようにしているsta.icon
実践
原則
隠蔽の原則
消費者も供給者もアダプターとしかやりとりしない
消費者は供給者を知らないし、供給者も消費者を知らない
また知ってはならない。知られないためのガードもアダプターが担わねばならない
文脈の原則
アダプターは消費者と供給者の双方の文脈を把握しており、文脈に応じたアダプトを消費者に提供する
つまりアダプターは消費者ごとに固有になる
消費者が3人いるならアダプターも3つ
消費者の文脈は消費者ごとに違うので、同じアダプターの使いまわしはできない(しても効果が薄い)
アダプトの種類
加工
補完:供給者が出してない情報を補完して消費者に渡す。情報量は元からは増える。
翻訳:供給者の情報の完全な伝達を諦めて、改変して消費者に渡す。情報量は元からは減る。
ただし「わかりやすさのための補完」などで増えることはある
集約
委譲:「お前に任せた」、消費者に任せる
代行:「俺に任せろ」、アダプターが引き受ける
消費者とアダプター間のバランス
ウェイトバランスと呼ぶ
分担。消費者とアダプターとが作業を分担している。集約しない場合はこれになる
委譲。消費者:アダプターが10:0であり、消費者が全部やる。アダプターは消費者の成果を確認してもいい(おそらく通常はする)
代行。消費者:アダプターが0:10であり、アダプターが全部やる。アダプターは対応後の共有を消費者にしてもいい(おそらく通常はしない、少なくともすぐにはしない)
つまり分担するかしないかを決め、しない場合は委譲か代行かを決める
バランスの仕方
分担する場合、細かいバランスをどう調整するかの戦略が二つある
1: 静的なバランス
消費者:アダプターを、たとえば2:8と決めて、基本的にその通りに過ごす
過ごす≒アダプターが消費者に2割くらいの仕事を渡す
2: 動的なバランス
比率は定めず、臨機応変にアダプターがコントロールしていく
バランスの原則
可視化の原則
消費者に必ず「今どれくらいのウェイトがあたっているか」を示す
別の言い方をすると、消費者は今当たっているウェイトの分だけ対応すればいいとのベストエフォートで動くので、これができるようにする
定量の原則
ウェイトは定量的に測定できるようにする
定量的であれば指標は何でもよい
例:
かけた時間
書いた量
タスクの数
タスクの重み(10ポイントの場合、2ポイントのタスク5と、5ポイントのタスク2つは同じ)
目安として、
状況が見えない場合は、時間や書いた量などでベストエフォートさせる
状況が見える場合は、計画やタスクなど総量をリストアップした上で、どれだけ充てるかを調整する
クロージング
以上である。
このモデルを使って、消費者をどうアダプトするかを考え、運用していけば良い。
まとめ:
アダプターを導入する
❌消費者 <-- 供給者
⭕消費者 <-- アダプター <-- 供給者
アダプターは消費者向けに、以下を担う
加工。補完して伝えたり、翻訳して伝えたりする。
ウェイトバランス。仕事の配分をコントロールする。全部任せる(委譲) or 全部引き取る(代行)も可能
原則を守るようにする
隠蔽の原則。消費者と供給者を直接繋げない。むしろ隠す。
文脈の原則。アダプターは消費者と供給者双方の文脈を理解した上で、適切な仲介をする → 文脈を知ることも仕事
バランスの原則。ウェイトバランスは必ず定量的に可視化し、消費者が「これだけやったらオッケー」のベストエフォートを取れるようにする
アダプターにはメンテナンス(つくる)とアクション(動かす)がある
どちらも同じ人がやってもいいが、別の人がやってもよい
つくれる人と動ける人は、通常才能は両立しないので、分担した方がいいかもしれない
たとえばつくれる人がアダプターをつくり、実際動かす人はそれを参考に自分なりに動かす
おそらく動かす人が一からつくるよりも良いものができるし、動かす人だけではそもそもアダプターの発想すら抱けない